大家さんの管理義務はどこまでなのか? アパート横の道路の掃除は誰がするの?

初めてアパートの大家さんになる方は、自分が何を管理しなければならないのか、気になることでしょう。「どこまで管理すればよいのか分からない」「毎日のように苦情や要望の電話があったらどうしよう?」といった心配をされている方もいらっしゃると思います。そこで今回は、アパート経営における管理義務についてお伝えしたいと思います。

入居者に快適な環境を提供する管理義務

アパートの大家さんにとって最も望ましい状況は、「トラブルなく満室が継続すること」です。一方、入居者にとって最も大事なことは「快適に生活できること」でしょう。ひと口に管理義務といっても、「入居者が快適に生活できるように保つ」ための「建物に対する管理義務」と、入居者とのやりとりや入居者同士のトラブルに対応する「人に対する管理義務」の二つがあります。
1.建物に対する管理義務
・共用部分の清掃、老朽化した物品の交換
・建物の消耗品の交換
・退去後の清掃作業
・不法投棄された粗大ゴミなどの回収
・水回りのトラブルなどの対応
2.人に対する管理義務
・家賃滞納の催促
・契約違反への対応
・退去時の敷金など、入居者との金銭に関する管理
・入居者同士のトラブル対応
このような管理義務について、大家さんの中には「物件は自分の所有物だから、管理は好きにしたい」と考える方がいるかもしれません。しかし、共益費や管理費を徴収している場合は、そのような考え方は通用しません。また、建物や人の管理をしっかりしないと、建物が荒れ退去者が増えるだけではなく、新しい入居者が決まりにくくなります。入居者同士のトラブルや騒音を立てるような入居者を見過ごしていると、結果的に空室が増えてしまい大家さんにとって最も大切な家賃収入が減るという問題が発生するのです。
そうならないためには、管理義務について「ここまで」と線を引くのではなく、「すべて対応する」ことを前提に考える心構えを持つべきでしょう。

共益費や管理費の意味

共益費や管理費の意味
アパート経営では、建物の管理費用として、家賃とは別に共益費や管理費を徴収するケースが多いです。共益費とは、共用部分の清掃費用や電気代、部品交換代などのことで、管理費とはもっと広く建物全体の管理や維持をするための費用とお考えください。
入居者が毎月数千円程度ですが、このような費用を負担している場合、大家さんの管理責任は重くなります。「共益費や管理費は家賃とは別に建物全体をしっかり維持してもらうためのお金だ」という意識を、入居者は持つからです。例えば、共用部分の電球が切れたまま放置しておけば、入居者からは必ずクレームがくるでしょう。家賃とは別に共益費や管理費を徴収している大家さんは、強い責任感を持って管理義務に対応しなければならないことを忘れないでください。

付帯設備の交換は慎重に

アパートが古くなってきた時の問題の一つに、エアコンなど付帯設備の交換があります。
賃貸借契約に、「付帯設備は入居者が交換して、退去時に撤去する」といった規定を盛り込み、交換の義務を逃れることは可能です。一方、「エアコンを交換してくれたら入居する」という入居希望者は少なくありません。もし、入居希望者からこうした希望があった場合、それまで空室期間が長く続いていたとしても、安易に返事をするのではなく、きちんと設置費用と減価償却費を計算してから回答するようにしましょう。
入居者に快適な環境を提供したい気持ちは大切ですが、家賃収入からねん出できる費用には限りがあります。他の付帯設備についても同様で、まずは掛かる費用について検討しその上で可能な範囲での対応をしましょう。

できない場合は、その理由や解決策を明確に

入居者の中には、自分の要望ばかりを言ってくる人もいます。例えば、「上の部屋がうるさいから防音工事をしてほしい」「防犯カメラを自分の部屋の前に設置してほしい」「自動販売機を設置してほしい」といったものです。
こうした要望は、大家さんの管理義務の範囲外です。しかし、入居者との今後の関係を考えると、即座に否定してしまうのも得策ではありません。このような場合は、管理義務に当たらない理由を伝え、かつ、解決策を一緒に考えるのが良いでしょう。
上記の要望については、次のような対応が考えられます。
1.上の部屋がうるさい
まずは警告の張り紙や文書を全室に入れます。それでもだめなら大家さんが騒音源の入居者と話し合います。
2.防犯カメラ
高額費用がかかるため、共益費や管理費では購入できません。「入居者に侵入者がいるかもしれないことを認識してもらう」「侵入者に対する警告書を出す」「近所の交番にパトロールを依頼する」などの提案をします。
3.自動販売機の設置
空き缶の放置などで共有部分が汚くなるといった理由を伝えて、近所のコンビニなどでの購入を促します。

アパート横の道路は誰が掃除をするのか?

アパート横の道路は誰が掃除をするのか?
さて、今回のテーマに掲げた「アパートに隣接する道路の管理義務」はどうなるのでしょうか。
道路には、国道、県道、市道、私道があります。これらの管理義務が誰にあるかというと、端的に言えば、その所有者です。国道や県道、市道はそれらの管理者である地方自治体などが清掃することになります。もし道路が汚ければ市役所などに電話をして相談しましょう。
私道の場合も、その所有者が管理責任者です。ただし、私道の場合は数世帯が共同で所有している場合が多いので、「定期的に一緒に清掃活動を行う」「各自が家の前を掃除する」など、事前に取り決めをしましょう。アパート経営の場合、前の道路が私道で、大家さんがその所有者となるのであれば、大家さんもしくは、物件管理を委託した不動産会社が清掃をすることになります。

まとめ

大家さんがアパート経営をする中で生じる管理義務とは、法的な義務というよりも「満室経営を目指すため」に必要な業務と考えるべきでしょう。問題が発生したら何らかの対応をすることを前提に、金銭的、時間的に可能な範囲を検討し、対応できない場合は入居者へ誠実にその理由を伝えるか、解決策を一緒に考えましょう。特に共益費や管理費を設定している場合、入居者はその分「快適な住環境を提供してもらえる」と期待しますので、大家さんは強い責任感を持って対応することが求められていると考えてください。