初心者必見! アパート経営で知るべき確定申告の基本知識 その3 青色申告とその経費の特徴

アパート経営で収益があがれば、それは「不動産所得」を得ることになります。この不動産所得については、年間所得を確定させて税金を申告する「確定申告」を行う必要があります。確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2つの方法があります。青色申告を行うと、白色申告よりも所得税の節税効果が得られることをご存知でしょうか?
今回は、青色申告を受けるための要件と、青色申告における経費の取り扱いについてご紹介します。

青色申告を受けるための要件

青色申告は、受けようとする年の3月15日までに、納税地の管轄税務署に青色申告承認申請書を提出します。それには正確な帳簿作成が必要であり、複式簿記による記帳が必要です。帳簿、決算書類や現金取引関連の書類は7年間、見積書や注文書などは5年間の保存義務があります。
白色申告と異なる点は、複式簿記による記帳が必要になることです。複式簿記による記帳が不安な方は、税理士などの専門家に依頼することを検討しましょう。
事業所得の場合、青色申告の申請に特別な要件はありませんが、不動産所得の場合は「5棟10室」という事業的規模と認められるだけの不動産物件を所有している必要があります。
「5棟10室」の具体的な要件は下記を参考にしてください。
・貸間、アパート、マンションであれば独立した室数がおおむね10室以上
・独立家屋であれば、おおむね5棟以上
・青空駐車場であれば5台で貸室1室分とみなす

不動産所得の青色申告における経費

不動産所得の青色申告における経費
不動産所得で青色申告を行う場合、経費として計上できるものがあります。

・ 減価償却費

減価償却費とは、建物や備品、車両などの固定資産の価値の減少分を必要経費として計上することです。この減価償却費は、通常10万円以上の固定資産であれば、取得した年のみの経費ではなく、使用可能な期間(耐用年数)にわたって経費で計上するように定められています。
例えば、100万円の車両を5年間使用する場合、100万円÷5年=20万円を経費として毎年計上するのです。ただし、青色申告を行っていて、一定の条件を満たす場合であれば、申告する年の3月31日までに取得した減価償却の対象となる固定資産のうち、30万円未満であれば全額を取得年度の経費とすることができます。言い換えると、通常の10万円という基準よりも条件が緩和され、経費として認めてもらえるということです。

・ 租税公課

租税公課は税金の支払いに対する経費ですが、全ての税金を経費にできるわけではありません。具体的には、固定資産税や印紙税、不動産取得税といった、アパート経営を行う際に納付する税金が対象になります。所得税や住民税の納付分は経費にならないので、注意してください。

・ 修繕費

アパート経営を行う上で欠かせないのが、修繕費の問題です。修繕費とは、アパートの建物部分を通常の維持管理のために支出した修繕の費用、または損傷した部分に対する原状回復の費用のことです。
建物部分の価値を高めるため、耐用年数を延長させるようなための支出は、固定資産として計上する必要があります。この支出を「資本的支出」と言います。具体的には、建物の耐震補強の費用などのことです。固定資産として計上すると、その年の修繕費にはできず減価償却する必要が出てきます。
資本的支出と修繕費の見極めは会計知識などがないと難しいので、税理士などの専門家に相談して下さい。

・ その他

火災保険料や地震保険料などの損害保険料は経費計上が可能です。ただし、アパート経営において経費とできるのは損害保険料のうちの賃貸部分だけで、自宅部分は経費にできません。ご注意ください。

青色申告する最大のメリット

青色申告する最大のメリット
不動産所得の青色申告における最大のメリットは、65万円の青色申告特別控除が受けられることです。
この65万円の青色申告特別控除は、アパートの賃貸収入から必要経費とさまざまな所得控除を差し引いた金額(課税所得)から、さらに差し引かれます。よって、白色申告では得られない所得税の節税効果が得られるのです。
また、不動産所得で赤字が発生した場合、3年間の繰り越しが可能となります。この繰り越し分は、赤字が発生している状態から黒字になったときに、黒字になった年の所得から赤字分の所得を差し引くことができるというものです。よって、このケースにおいても所得税の節税効果が得られます。
さらに、家族を従業員として雇用しているときは、支払った給与分の専従者給与控除を受けることができます。白色申告では専従者給与控除が一定額までと決まっているので、白色申告よりもメリットがあると言えるでしょう。
ただし、この専従者には条件があります。同居している、もしくは生計を同一にしている15歳以上の配偶者や親、子供、祖父母となっています。また、納税地の管轄税務署に青色事業専従者給与に関する届出書を提出する必要があります。この届出書は給与額を記入する書類になっており、開業から2カ月以内が提出期限です。

まとめ

青色申告を行うと、所得税におけるさまざまな特典が受けられます。ただし、その特典を受けるためには、複式簿記の記帳や届出書の書類提出が必要となります。また不動産所得で申告する場合は、一定の事業規模の要件を満たしている必要があります。
しかし、白色申告の場合でも簡易形式の帳簿作成や書類の保存は必要となるので、事業規模の要件を満たせるようであれば、節税効果が高い青色申告を検討してみてはいかがでしょうか。アパート経営に専念したいという方は、申告業務を税理士などの専門家にお願いすると良いでしょう。