アパート経営を法人化する6つのメリット

個人でのアパート・マンション経営に当たり、不動産管理会社を設立する方は少なくありません。その主な理由として、節税効果が挙げられます。法人化によって、所得分散や給与所得控除など、節税の選択肢が広がるのです。そして不動産で得られる収入が増えれば増えるほど、会社を設立した方が得られる税務上のメリットは大きくなります。
今回は、アパート経営の法人化による具体的なメリットについてご説明します。

1. 個人と法人の税率差で節税

法人化が節税対策につながる理由に、まずは個人と法人での実行税率の違いがあります。
日本の税制度では、個人に発生する所得税には累進課税方式が適用され、所得金額が大きくなるほど税率が高くなる仕組みです。さらに一般企業で働きながら個人でアパート経営をしている人となれば、不動産所得と給与を合算したものが所得となるので、不動産にかかる税率はより高くなります。
一方で、法人に適用される税率は年々軽減される傾向があり、基本税率も個人の場合よりも低く設定されています。所得金額に応じて税率は異なりますが、最終的な納税額を減らすことが可能です。

2. 所得の分配で節税

所得の分配で節税
アパート経営を法人化すると、役員報酬や社員への給与を会社の経費として計上することができます。個人でアパート経営をする場合は、不動産で得た収入を所得にしても、給与所得控除を受けることはできません。
しかし法人の場合は、他で給与を受け取っていない役員は、給与所得控除を受けることが可能となります。このように役員や社員に給与所得を支払うことで、法人の課税対象額を下げることができるのです。
そのため、他に給与所得を持たない妻や子供などといった親族を役員や社員にし、所得を分散して課税対象額を圧縮すると、個人の場合よりも適用される税率を下げらます。
また法人の場合だと、役員や社員でなくても、例えば親族や知人が仕事を手伝ってくれた時、アルバイト代として給与を支払うことができるので、役員や社員以外の人にも所得分散することが可能となります。
なお、あまり1人の役員に集中して報酬を分配してしまうと、対象の個人には税率の高い累進課税方式が適用されますので注意しましょう。

3. 経費として計上可能なものが増える

法人化によって、個人の場合よりも経費計上できる項目が増え、これも節税対策に役立ちます。法人が経費として計上可能なものとして、大きく分けて以下のような項目があります。
・小規模企業共済(掛け金限度の7万円を経費として計上できる)
・会社で加入した役員の保険(保険料を経費として計上できる)
・倒産防止共済(全額経費として計上でき、40か月以上加入すれば全額戻ってくる)

これらの制度を上手く活用すれば、節税効果が得られます。
とはいえ、小規模企業共済や保険に関しては全て課税の繰り延べです。そのため、途中で解約をしたり満期になったりしてお金が戻ってきた場合は、雑収入として計上され課金の対象となってしまいます。そのため、退職金に充てるなどで損金として計上できるようにしましょう。

4. 相続税対策にも有効

相続税対策にも有効
相続が発生した際、個人の場合だと、自身が所有している不動産の評価額によって相続税が決まります。ですが、法人で所有している不動産に対しては相続税が発生しません。そのため、個人で所有する不動産を法人に移転すれば個人の相続財産は減少し、相続税を節税できます。
また、前述の通り、妻や子供を役員にして不動産所得を役員報酬として分散することで、実質的には生前からの資産の移転ができ相続税の納税で資金が発生した時の備えにもなります。

5. 欠損金の繰越が可能

また、アパート経営で発生した赤字は、青色申告を行うことで繰り越すことができます。これを青色欠損金の繰越控除制度といい、翌年以降の所得や利益との相殺が可能となります。
個人と法人とでは、この繰り越せる期間が異なります。個人が赤字になった場合は、繰越可能な期間が3年間しかありませんが、法人だと9年間にわたって欠損金の繰越控除ができます。

6. 利益を減価償却として調整できる

減価償却費についても、個人と法人では扱いが異なります。
建物の減価償却費を経費として不動産収入から引くことはできますが、個人の減価償却費は強制償却となり、決められた計算式で算出された金額を定期的に計上しなければなりません。
これに対し、法人の場合だと償却限度額の範囲内であれば、自由に調整が可能となります。つまり、利益が出た時は償却費を計上し、出ていない時は計上しない、といった利益幅の調整ができるのです。

まとめ

法人化による数多くのメリットを解説してきましたが、必ずしも良いことばかりではなく、法人化する時期やタイミングによってはデメリットもあります。
法人設立の費用は発生しますし、税理士の報酬や経理費用など、さまざまな運営コストがかかります。また、法人は収益が赤字であった場合でも、最低年7万円の法人税がかかります。こうしたデメリットもあることは注意して下さい。
法人化を検討される際は、個人と法人の場合での総合的な課税額の違いや、法人化にかかるコストのバランスを考え、税理士などに相談しながら、どちらにメリットがあるかで判断しましょう。