アパート経営のための資金を上手に調達する方法

アパート経営を始めたいと考えても、最初に必ず数千万円の資金が必要になります。数万円からでも始められる金融商品などへの投資に比べると、文字通り「桁違い」の額です。しかし、この資金額のハードルでアパート経営に参入する投資家が限られるからこそ、投資妙味があるとも言えます。
そこで今回は、アパート経営の開始の際の最大ハードルとも言うべき、資金調達について考えてみましょう。

資金調達の心得

例えば、年間500万円の家賃収入のある5000万円のアパートがあったとします。これを自己資金1000万円+銀行借り入れ4000万円で購入すると、どうなるでしょうか? あなたは1000万円の投資をして、満室なら年間500万円の家賃を手にします。当然、借り入れの4000万円に対しては金利がかかります。仮に3%と設定すると年間で支払う金利の総額は120万円です。管理費などの経費を差し引いても、200万円以上のキャッシュフローが残るはずです。
これが、いわゆる「レバレッジ効果」です。つまり、金融機関からの借入金をもとに、投資のリターンを生み出すことです。アパート経営の実質利回りが、借り入れ金利の利率を上回ることで、このような利益が生み出せるのです。
だからといって、金融機関から借りられるだけ借りた方が良いかというと、そうではありません。借り入れが大きくなると経営が不安定になり、さまざまなトラブルに見舞われる危険性もあるのです。

借入額が大きいと赤字を垂れ流しの可能性も

借入額が大きいと赤字を垂れ流しの可能性も
当然のことながら、借入額が大きくなると毎月の返済額も大きくなります。つまり、借入額が多い場合、たった1室や2室の空室が出ただけで、たちまち赤字に陥ってしまう危険性があるのです。一般的な空室率は30%程度と言われるため、満室時の70%まで家賃収入が落ち込んでも赤字に陥らないように、借入額を抑える(自己資金を増やす)ことが鉄則です。
また、ローン返済が大きいと手持ちキャッシュが少なくなるため、修理やメンテナンスに費用を回せなくなりがちです。この結果、建物や共用部が荒れて入居者の質が低下し、入居率や家賃額を低下させる悪循環に陥る懸念があります。このような点からも、過度な借り入れは避けて適正なキャッシュフローが見込める資金計画を立てることが重要でしょう。

借入れは7割以下を目安に

貸す側の金融機関もアパート経営で失敗されては困るため、融資に当たっては厳しい審査を行います。言い換えれば金融機関が融資する範囲で資金計画を作れば、失敗する危険性は小さいと言えます。金融機関は「原価法」「収益還元法」「取引事例比較法」など、専門的な手法でアパートの価値を査定し、融資額を決定します。
融資規模は物件価格の6~7割が一般的です。そうすると、3~4割の自己資金を用意する必要があります。しかしそれでも充分なレバレッジ効果は期待できるため、この水準を目安に堅実な資金計画を作るようにしましょう。

資金調達の実際は

賃貸アパートはマイホームと違い、家賃収入が得られます。マイホームローンだと、借入者の収入や職業だけで返済能力が審査されますが、アパートローンの場合はアパートの収益力(事業収支)が大きな判断基準となります。
つまり、立地や築年数、建物のグレードなどから安定的で確実な事業収入が見込まれるかどうかで、融資の可否と融資額が判断されるわけです。もちろん、万が一のときには家計からの持ち出しでローンを返済してもらうため、借入者に安定収入があるのかも判断材料になりますが第一に見られる点は物件の収益力になります。
では、どうすれば、より円滑な融資が受けられるのでしょうか。

信用金庫が狙い目

借入額が大きいと赤字を垂れ流しの可能性も
アパートローンは都市銀行や地方銀行、信用金庫などでも取り扱っています。この中で最も金利が低いのは都市銀行ですが、残念ながら個人投資家はあまり相手にしてもらえません。審査基準が最も厳しく、潤沢な自己資金が用意できないと稟議(りんぎ)すら上げてもらえないといわれています。逆を言えば、都市銀行の融資が受けられるのであれば、アパート経営として極めて健全ということになります。
一般的に最も親身になってくれるのが信用金庫と言われ、都銀や地銀よりも融資の基準が緩やかです。初めてのアパート経営なら、まずは信用金庫に相談するのがよいでしょう。また、担当者が意欲的で、上司を積極的に説得してくれるかどうかでも結果は大きく変わってきます。複数の金融機関に相談して、意欲的で親身になってくれる担当者に巡りあうことも、大切なポイントといえるでしょう。

不動産会社やハウスメーカーなどを経由する

アパート経営を始めるには、不動産会社やハウスメーカーなどに土地や建物の支払いが生じます。金融機関から受けた融資金は、そのまま不動産会社やハウスメーカーへの支払いに充てられるわけです。そのため、不動産会社やハウスメーカーは資金調達への協力を惜しみません。
従って、金融機関に融資の相談を直接するよりは、不動産会社やハウスメーカーを通じた「提携ローン」で融資手続きを進めた方が、円滑に進む場合が多いのです。

まとめ

アパート経営の利回りは、金融機関の金利を大きく上回るのが一般的です。従って、融資が受けられれば「借金が利益を生む 」という、「レバレッジ効果」を手にすることができます。
しかし、過度な融資に頼ってしまうと経営が不安定になり、たちまち負の資産になってしまうリスクもあります。レバレッジ効果の恩恵を得るためには、やはり、一定の自己資金を用意することが必要なのです。