アパート経営の経費と経費削減策の有効な手段

アパート経営で家賃収入を得るためにかかった費用は経費として計上できます。不動産所得税の節税には、必要経費を漏らすことなく適正に計上することが重要です。そのためには日頃から領収書などをきちんと集める必要があります。
もしあなたがサラリーマン大家なら、不動産収入よりも経費が多く不動産所得が赤字になると、確定申告の「損益通算」で給与所得税の一部を還付してもらえます。
しかし、経費が節税になるからといって、たくさん費用がかかって構わないのだという考えはやめましょう。確かに経費は節税対策に使えますが、アパート経営において経費の使い方を間違えると、損失が出るだけでなく、投資に失敗して物件を売却しなければならなくなるかもしれません。
今回はアパート経営の経費とその削減策について考えます。

アパート経営で認められる経費

一般的にアパート経営で認められている経費は以下の通りです。

1. 支払い利子

新築アパートの建設のために金融機関から受けたローンの利息は、必要経費で計上できます。ただし、借入金の返済額のうちの元本に相当する部分は経費として認められません。(賃貸業務を開始する前までのローンの利息も経費に算入することはできません)

2. 減価償却費

アパート経営の経費で、一番重要なものは減価償却費です。あなたの新築アパートも、時間の経過ともに古くなり、建物の価値は下がります。この劣化してしまう価値を、建物の構造・用途により定められている耐用年数に応じて、減価償却費として毎年経費計上することができます。
計算方法は「定額法」と「定率法」の2種類です。1998年4月1日以後に取得した建物は定額法のみの適用です。建物の構造で耐用年数(減価償却できる期間)は変わります。鉄筋コンクリート造は47年で、木造は22年です。
納める税金が減るとキャッシュフローは楽になります。何年にも渡り、計上できる減価償却費はアパート経営において大変重要です。

3. 損害保険料

賃貸アパートのために加入した損害保険の保険料は経費になります。火災保険、地震保険、賃貸住宅費用補償保険などです。保険料を一括払いした場合は、当年度分しか必要経費になりません。

4. 旅費交通費

入居者募集の内覧などで物件訪問した際の電車賃や、物件管理などで生じたタクシー代は、経費として計上可能です。

5.通信費

不動産会社や入居者との連絡などで発生した電話代、郵便代は経費になります。

6. 宣伝広告費

入居者募集のために、仲介会社に物件をネット掲載してもらった広告費用や仲介手数料です。

7. 管理委託費

アパートを管理している管理会社へ支払う管理費や修繕積立金、入居者の募集、管理の費用なども必要経費になります。

8. 水道光熱費

貸主が負担している水道代、電気代は、必要経費として計上する事が出来ます。

9. 修繕費

アパート経営で通常の維持管理に必要な費用、または、災害などで毀損した場合の原状回復の支出は、修繕費として計上することが出来ます。建物の壁やベランダの塗り替え、ドア、トイレ、台所、換気扇など、部屋の設備の修理、畳の取替え、障子、襖の張替えなどです。
簡単に言うと20万円を超えない修繕費は経費として税務署も認めてくれます。ただし、修繕が目的でも資産価値を高めたり、建物の耐久性が高くなったりする支出は「資本的支出」と判断されて、経費として認めてもらえませんので注意が必要です。
経費として認められる簡単な判断基準は以下の通りとなります。
● 3年以内に周期的に修繕が行われている。費用が20万円未満である。
● 修繕費か資本的支出かの判断は不明確だが、60万円未満の場合。または、その資産の取得価格の10%以下である場合。

10. 租税公課

アパート経営に関連して納付しなければならない税金は必要経費になります。土地・建物に対する固定資産税・都市計画税。賃貸物件を取得した際の登録免許税・不動産取得税。賃貸による儲けに課せられる事業税。物件を購入、または売却し、作成した契約書にかかった印紙税などです。

11. その他

以上の10項目以外にも、確定申告をするための税理士費用などは経費として認められます。接待交際費、新聞図書費、個人経営であれば自宅家賃の一部も経費として計上できます。

税務上の「合理的な基準」を守る

出来ることは自分でもやってみる
一番大切なことは、計上した経費が税務上の「合理的な基準」の範中に収まっているかどうかです。電車代、車のガソリン代、駐車場代、高速道路料金、車検費用、保険料、自動車税などの費用も、アパート経営のためならばすべて経費です。
管理会社の担当者や、税理士、司法書士、弁護士との打合せのための飲食費も「必要だ」と判断されれば経費なのです。
ここからは経費を使う場合の注意点と削減方法について考えます。

出来ることは自分でもやってみる

収益物件の管理は、通常、業務委託契約を結んで管理会社に頼みます。ところが、その内容に問題が潜んでいたりします。原状回復工事を管理会社の系列業者が実施する契約になっていたり、一定金額までなら、管理会社の判断で修繕などの工事ができる契約になっていたりして、思わぬところで高い経費がかかってしまうことがあるのです。
最低限、原状回復工事や、修繕の見積書をきちんと用意してくれる管理会社を選んでください。なお、管理委託費は家賃の2.5%~10%程度で、管理会社や委託内容でかなり差があります。管理委託費が割安な会社を選ぶと経費が抑えられます。
また、委託内容を見直して、例えばアパート共用部分の清掃は費用の安い業者に委託するとか、時間に余裕があるのならば自分でやってみるとか、一部の業務を管理会社から切り離して考えてみるのも良いかもしれません。

電気、ガス、水道で経費削減

電気、ガス、水道で経費削減
新築アパートを建てる時に見落としがちなのが、水道引込みに関する費用です。敷地の前面道路に水道管がない場合は、建設予定地まで水道を引っ張る必要があります。通常、この費用はオーナーが負担します。
もし、建設地で飲用可能な井戸水が掘れたら、水道負担金を支払う必要がなくなりますし、水道代がかからないので入居者にも喜ばれます。
また、賃貸アパートの屋根で太陽光パネルを設置して、自家発電を行い電気代を節約したり、発電量によっては電力を販売したりして、経費を抑えるという方法もあります。太陽光発電には自治体から補助金が付きますし、ローンも組めるので上手に利用すると導入しやすいです。
また、使用するガスを都市ガスからプロパンガスに切り替えるとコスト削減になることがあるそうです。ガス設備工事費用はすべてプロパンガス業者が負担してくれて、場合によってはガス配管工事だけでなく、エアコン、浴室乾燥機、給湯器まで、無償で設置してくれる場合もあるようです。

経費は節税になるからはダメ

不動産投資では初年度が最も経費がかかります。投資物件取得に関わる諸経費が計上されるからです。
• 仲介手数料
• 印紙代、司法書士報酬
• 登録免許税、不動産取得税
• 修繕、リフォーム費用(中古物件を購入した場合)
これらだけで初年度は赤字になる可能性が高いのです。最初の2年間は節税の必要などありません。ムダな経費を使わないという前提で経営しましょう。節税だけのためにアパート経営をするのではありません。
戦略的に経費で赤字にすることがあっても、長期的には経費を極力抑えて黒字経営にするべきなのです。利益を上げることがアパート経営の一番の目的です。経営者は本末転倒にならないように気をつけないといけません。