民泊での規制緩和-新たに導入されるそのルールとは?

国土交通省の発表によると、2015年に日本を訪れた外国人観光客の数は、過去最高の約1974万人であったことがわかりました。このペースでいけば、2016年は2000万人を突破するだろうといわれています。
外国人観光客が特に多く集まる東京・大阪などの大都市圏を中心に、ホテルや旅館では連日ほぼ満室の状態が続いています。そのため、日本政府は宿泊施設不足の解消と東京オリンピックに向けて、民泊に関する規制を緩和する方針を掲げています。
この規制緩和によって、どのようなルールが導入されるのか、解説したいと思います。

民泊、Airbnbの問題点

外国人観光客の増加に伴い、所有物件を有料で貸し出す人と宿泊者を仲介する「Airbnb」が急速に普及しています。日本国内の登録物件は2万件以上(2016年1月現在)、47都道府県すべてにAirbnbの物件がある状態です。Airbnbのサービスが日本にもたらした経済効果は、年間で約2219億円にも上ると発表されています。
本来、所有する部屋に有料で繰り返し人を泊める場合は、旅館業法上の許可が必要となります。しかし、現在Airbnbに掲載されている物件は、この届出を行わずに無許可で営業しているものが大半を占めています。また、賃貸物件では無断転賃が禁止されているにも関わらず、賃貸マンションやアパートの部屋をAirbnbで提供する、いわゆる「また貸し」も横行し、問題となっていました。

民泊を「簡易宿所」と定義し、旅館業法の法改正が行われる見通し

民泊を「簡易宿所」と定義し、旅館業法の法改正が行われる見通し
こうした状況の中、政府はこれまでの民泊の規制自体を見直し、一般の人が合法的に営業できる体制を整えるための議論を規制改革会議で行っています。2016年中には明確なルールを決定し、個人による民泊の営業が正式に認められる予定です。
また、企業が営利目的で行う大規模な民泊についても、オリンピック開催に間に合うよう2018年を目標に認める予定です。
2016年1月に行われた厚生労働省と観光庁の有識者会議で、「旅館業法上の営業許可の取得を促す対策案」が提出されました。旅館業法上において、民泊をカプセルホテルなどと同じ扱いの「簡易宿所」とした上で、これまで簡易宿所に定められていた、帳場を宿に設置する義務や客室の延べ床面積の基準などを2016年の春頃までに緩和する方針です。
これまで「簡易宿所」には、床面積が33平方メートル以上なければならないという基準がありました。しかし、現在Airbnbなどに掲載されている民泊物件には、この基準を満たしていないものが多数あります。民泊営業の障害となっていた旅館業法を一部改正することで、合法的な民泊の営業を促す方針です。
一方で、政府の規制改革会議の中では民泊を旅館業法の適用「外」とし、許可制ではなくあくまで「届け出制」にすべきではないかという意見も出ています。民泊の規制緩和によって日本にもたらされる経済効果は約10兆円とも言われており、日本政府としても基準を厳しくしすぎて好機を逃してしまうより、多少緩やかな規則を定め、民泊をさらに拡大させたいという狙いがあります。
このような意見の相違はあるにせよ、全体的には民泊の規制緩和を前向きに進めています。また、不動産仲介業者の規制のあり方や、すでに一部規制緩和が行われているホームステイ型の民泊などについては、5月にも方針が発表される予定です。

分譲マンションの標準管理規約の解釈も課題に

分譲マンションの標準管理規約の解釈も課題に
最近では、国家戦略特区である東京都大田区が民泊を認める条例を制定し、2016年2月から本格的に民泊が開始されました。しかし、分譲マンションの管理規約について、国土交通省と国家戦略特区の民間議員の間で意見が分かれています。
現在の分譲マンションの管理規約は、国土交通省が制定した標準管理規約を元に作成されています。標準管理規約の中には、「専ら住宅として利用する」という記載があります。
国土交通省からは、「住宅」においてのみ民泊が可能であり、民泊として分譲マンションの部屋を利用する場合は、現在の標準管理規約を変更すべきであるとの意見があがっています。その一方で、国家戦略特区の民間議員からは、民泊は管理規約上の「住宅」には当たらないという考えで、いまだ結論は出ていません。

まとめ

民泊営業が許可制、届け出制のどちらになるのか、旅館業法の改正がどこまで行われるのか、分譲マンションの管理規約の問題はどうなるのか、まだまだ議論すべき点は多々ありますが、いずれにせよ近いうちに規制のハードルが低くなり、一般の人が合法的に民泊の営業に参入できるようになるとみられています。
今回の規制緩和により、これまで民泊営業を行っていた人のみならず、新たに所有する物件で民泊を始める人が増加するとみて間違いないでしょう。