J‐REITとは何? 不動産投資を考えるなら、まずは知っておきたい不動産投資ファンド

現在日本では、非正規労働者の割合が増しています。将来に不安を感じながら過ごされている方も多いのではないでしょうか。マイナス金利の今、金融資産は銀行に預けておくだけで良いのでしょうか? リタイア後の人生をより豊かにするため、金融資産の一部を「不動産」に回してみるのはいかがでしょうか。
資金計画や投資リスクをしっかりと把握した上で行う不動産投資は、老後の生活を豊かなものに導いてくれるかもしれません。とはいえ、現物の不動産投資には、数百から数千万円の資金が必要になります。
そこで今回は、初心者の方が小口でも購入ができる不動産ファンドの「J-REIT(不動産投資信託)」について、ご紹介しましょう。

不動産ファンド「J-REIT」とは?

最初に不動産ファンドについて簡単にご説明しましょう。不動産ファンドとは、証券会社や投資法人が投資家から資金を集めて不動産(オフィスビルや商業施設、マンションなど)を取得し、その物件の家賃収入や売却などで得た利益を投資家に分配する仕組みや組織のことを指します。
ですので、自ら不動産を購入し、賃貸や売却で利益を得る「現物不動産投資」は、不動産ファンドには当てはまりません。
不動産ファンドの一つに、「J-REIT(ジェイ・リート)」と呼ばれるものがあります。REITは「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略で、1960年代に米国で誕生しました。
日本では2001年9月に市場が創設され、現在、53の銘柄が存在しています(2016年1月末時点)。仕組みがアメリカのREITと異なる点もあるため、日本を意味する「JAPAN」のJを付け、区別しています。
J-REITは、法律で運用などの実質的な業務を行うことを禁止されています。運営は全て外部の専門会社に委託し、「不動産投資法人」と呼ばれる会社のような形態をとっています。
J-REITに投資する場合は、証券市場で売買されている不動産投資法人が発行した投資証券(一般企業の株式に相当する証券)を購入して、不動産投資法人に投資します。
一般的に、不動産は株式や債券に比べると流動性が低く、すぐに現金化することは難しい資産とされています。しかし、J-REITの場合は証券取引所に上場しているので、市場で証券を売却するだけで現金化できます。そういった意味では、流動性が高い金融商品と言えるでしょう。
基本的に利益の90%超を分配すれば法人税が課税されるので、利益のほとんどは投資家に分配されることになります。このため、株式と比べて高い配当が期待できますが、原資となる賃貸収入や売却益は、不動産市況や経済状況に大きく影響される性質を持っています。

J-REITの銘柄を選ぶ際の注意点とは?

J-REITの銘柄を選ぶ際の注意点とは?
J‐REITの銘柄を選ぶ基準には以下のようなものがあります。
・分配金利回り
・PER(株価収益率。企業の株価と利益がどのように関係しているかを表したもの)
・PBR(株価純資産倍率。その企業が持っている全ての資産と株価を比較した指標)
・ROE(株主資本利益率。株主資本を使ってどれだけの利益を上げたかを表す指標)
・NAV倍率(不動産を時価評価した純資産価値に対する投資口価格の割安度を表す指標)
・借入率
一般的にROEの値が高く、PERやPBR、NAV倍率、借入率の指数が低いほど良い銘柄とされています。ただし、指数だけですべてを判断するのではなく、四季報や決算書をチェックし、リスク要因を徹底的に洗い出すことが必要です。

J‐REITで注目の3銘柄

J‐REITの中でも、特に注目される3銘柄を紹介させていただきます。
まず、ローリスク・ローリターンの銘柄です。訪日客の増加や東京オリンピックを控え、全国的にホテル需要が旺盛な背景から、ホテル主体型の銘柄は、今後も安定的な収益が見込まれるローリスク・ローリターン銘柄として取引されています。
例えば、「星野リゾート・リート投資法人」は、その代表格でしょう。分配金利回り3.39%(2016年2月15日時点、以下同じ)で、有利子負債率も18.6%とかなり低く、健在な銘柄と言えます。
また、マーケット全体の空室率低下が鮮明であることから、今後、オフィスビル特化型の銘柄にも期待が持てそうです。
資産規模が1兆円超えを果たすなど、J-REIT全銘柄のうち最大の規模を誇る「日本ビルファンド投資法人」は、分配金利回りが安定して推移している銘柄の一つで、現在は2.73%ですが、個々の投資比率がとても低く、個別物件のリスクも分散されていることが評価できます。
次に、ハイリスク・ハイリターンの銘柄です。分配金利回りでみてみると、2015年6月に上場した住居特化型のレジデンスREIT「サムティ・レジデンシャル投資法人」、オフィス・商業施設・住宅など総合型の「トーセイ・リート投資法人」、オフィスビル・都市型商業施設など複合型の「SIA不動産投資法人」が挙げられます。
3銘柄とも分配金利回りは5%を超えていますが、規模が小さく、個々の物件の投資比率が高いため、物件の入れ替わりなどが、利回りに強く影響する可能性があります。

レジデンシャル(住居)主体型のJ-REITの銘柄とは?

レジデンシャル(住居)主体型のJ-REITの銘柄とは?
53銘柄を比較してみると、ワンルームなどの賃貸住宅に投資を行っている住居主体型の銘柄は、分配金の利回り分布が3.31%~6.11%と全体的に高く、好調です。
特に全国主要都市を中心にシングル・コンパクトタイプへの投資を行う「サムティ・レジデンシャル投資法人」は、分配金利回りが6.11%、首都圏を中心にシングル~ファミリータイプの住居に投資する「スターツプロシード投資法人」は、同5.02%と好成績を収めています。
銘柄を選ぶ際、各種指標や投資戦略を参考に判断する必要はありますが、毎月一定のキャッシュフローが見込める安定銘柄であることに加えて、住居主体型のように、成長に勢いが感じられる銘柄への投資を検討してみるのも良いかもしれません。