これも一つの不動産投資? 墓地への投資方法とは?

中国では一風変わった投資が行われているのをご存知ですか? それは「墓地」を対象とする投資です。
不動産投資といえば、アパートやマンションなどを対象に行われるのが一般的です。日本ではまったく馴染みのない墓地への投資ですが、中国では一部の霊園企業などの法人単位で行われているようです。今回は、そんな中国を例に墓地投資について考えてみようと思います。

人口増加と高齢化に伴う墓地需要の増加で、深刻な「墓不足」に

現在中国では、一部を除いたほとんどの都市で不動産価格が下落し、国の経済をひっ迫させるほどの影響を及ぼしています。しかしそうした中でも、人口増加と高齢化の影響により、墓地の需要に対して供給数が不足し「墓地」の価格は上昇傾向にあります。
中国民政部が発表した「中国埋葬事業発展報告」は、中国で1年間に死亡する人の数は800万人に上り、このままのペースだと、今後10年以内に、ほとんどの都市や省で墓地が満員になってしまうだろうと述べています。
中国では日本のように寺に墓地が併設されているということはなく、単独の共同墓地として郊外に建てられているケースが多く見られます。1990年代から政府の働きかけによって郊外への墓地の移転が進み、現在、都市部にはほとんど残っていません。共同墓地自体の数が少ないため、膨大な敷地をきっちりと区画ごとに仕切り、一つの墓地に多くの墓を建てている状況です。

一部霊園企業による販売価格押し上げで、中国の墓地開発投資は年率20%上昇

一部霊園企業による販売価格押し上げで、中国の墓地開発投資は年率20%上昇
特に上海や北京などの大都市では特に「墓不足」が深刻で、墓地の開発投資は年率20%も上昇しています。結果、墓地の価格が高騰、都市内で墓地を購入することが困難になり、やむなく他の都市で購入する人も少なくありません。一部の霊園企業が墓の販売価格を押し上げるべく、安く購入した土地を高い価格で売ることにより高い利益率を得る行為が問題になっており、政府による管理が必要だと報じられています。
特に墓地の販売価格高騰が顕著である上海では、1平方メートルあたりの単価が住居よりも高くなっています。他の不動産と同じように、アクセスの便利さなど立地条件が良いことはもちろん、「風水」で良いとされる墓地の価格は値上がりする傾向にあります。都心部では、2006年に1平方メートルあたり1万元だった墓が、2014年には6万元に高騰しているところもあるそうです。

中国でも墓地投資は法人のみ―日本で行われる可能性は低い

中国でも墓地投資は法人のみ―日本で行われる可能性は低い
中国では不動産の私有権が認められていません。その代わりに50年から70年程度の「墓地の使用権」を獲得し、転貸をして「使用料」を得ることがあります。これは、アパートなどの投資用物件を購入し、貸し出すことによって家賃収入を得る不動産投資の仕組みによく似ています。
墓地の場合、1平方メートルから3平方メートルの広さが一般的であるため、土地の広さだけを考えた場合不動産の売買に比べると、儲けには結びつきにくいと考えられます。しかし、墓地不足があまりに深刻化している中国では、2003年に8000元で取得した墓地が、2010年には4万元になったというケースもあります。
中国の場合は、人口増加と高齢化、墓地の数の少なさが墓不足の主な原因となっていますが、日本においても少子高齢化が同様に問題になっています。日本国内の人口は減少傾向にあるものの、単身世帯が増え、世帯数は増加傾向にあります。東京への人口の流入も増加しており、全国の約3割の人が東京で暮らしていると言われる状況です。そのため、日本においても将来的には「墓不足」が起こる可能性があります。
しかし、墓地投資は実質的には難しい現状があります。
日本の墓地は一般的な土地とは異なり、法律によって個人が墓地を所有できないと定められているため、転貸や売買を行うことができません。墓地を使用するためには、中国と同じように「永代使用権」を取得する必要があります。一般的な不動産の所有者が亡くなった場合、その物件は財産として取り扱われますが、墓の所有者が亡くなった場合には「祭祀財産」として扱われ、法要や墓の管理を行う祭祀継承者が墓を継ぐことになります。
墓地として開発する土地も、日本では「墓埋法」と呼ばれる墓地や埋葬に関する法律で定められており、県や市町村などの行政に許可を得なければ、墓を建てることはできません。そのため、土地の転貸も難しいでしょう。
以前中国では、墓地の使用権を転売して収益を得る、個人の「墓地投資家」がいました。しかし、国の規制もあり、現在では法人がメインで、個人による投資は一部を除いてほとんど行われていないようです。

まとめ

少子高齢化が進む日本も、将来的に中国のように墓不足が起こる可能性があり、今後「お墓ビジネス」の需要が高まる可能性はあります。しかし、「墓地投資」については、日本の法律で墓地を簡単に所有できないことや、土地に墓を建てる許可を受けるハードルが高いことなどから、法律が変わらない限り国内で墓地投資をビジネスとして成立させることは難しそうです。