実家の相続で考えておきたい、高い固定資産税のこと

「固定資産税」は1月1日現在で建物と土地を保有している人が納めなければならない税金です。土地にかかる固定資産税は、建物が建っている状態だと大幅に減額されます。
今回は、実家を相続した場合にかかる「固定資産税」と、それに関連する国の空家対策についてご紹介します。

建物による固定資産税・土地計画税の軽減

相続によって子が親の実家を相続した時、既に子の世帯が別の場所に自宅を所有していると、わざわざ生活圏を移動させてまで、実家に移り住むことは難しいでしょう。その場合は相続した実家を解体し、「更地」にするという選択肢が考えられます。
しかし、更地にしてしまうと税金面でのデメリットが発生します。それは、固定資産税と都市計画税に認められている住宅用地の特例などの「軽減措置」の対象から外れてしまうからです。
この2つの税金は土地・建物ともに課税対象ですが、もし土地の上に住宅用の建物が建っていた場合、土地にかかる税金の課税標準額は以下のように軽減されます。

区分 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき
200平方メートルまでの部分
価格 × 1 / 6 価格 × 1 / 3
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 価格 × 1 / 3 価格 × 2 / 3

実家の相続が「空き家問題」の原因に?

総務省統計局の調査によると、2013年の空き家数は約820万戸で、総住宅数の13.5%に達しています。全国的に空き家は増加傾向にあり、次回の調査では、約1,000万戸を突破し、これまで以上に問題が顕在化するのではないかと言われています。
平成25年住宅・土地統計調査結果
出典:総務省統計局 「平成25年住宅・土地統計調査結果」(確報集計)
この「空き家問題」の要因となっているのが、今回取り上げた「実家の相続」です。解体したくても、高い固定資産税がネックになって解体できないという状況に問題があると言われています。
現在、国はこの空き家問題に対して、次の2つの施策を行っています。

対策① 問題のある空き家は固定資産税削減の対象外に

まず、近隣住民が安全な生活を送る上で問題となっている空き家を、固定資産税・都市計画税の軽減措置の「対象外」とするように定める「空家等対策の推進に関する特別措置法」があります。
相続された実家のように所有者や関係者の居所が遠く離れている建物は、管理が行き届きにくくなり老朽化による倒壊の危険性や、少年非行の場所として使われてしまう懸念が以前より指摘されていました。
2015年度から施行されている同法では、まず問題のある空き家を「特定空家等」として勧告の対象とします。次に、指導を受けても改善しない空き家は、固定資産税・都市計画税の軽減対象から外すというものです。
国土交通省では同法実施のガイドラインを策定し各市町村にその判断がゆだねられましたが、現段階はどの機関が「特定空家等」を決めるのか、具体的に指導や勧告はどのようなものにするのかなどが決定しておらず、また、行政が判断を間違えると個人の財産権を侵害する可能性もあるために、施行は慎重に進められているようです。

対策② 空き家の売却を活性化させる新法

もう一つは、空き家の売買を活発にして空き家を減らしていく目的で定められた「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。
これは一定の条件を満たした空き家の売却に対し、譲渡所得から3,000万円の特別控除を行うことができるというもので、2016年税制改正大綱に含まれたものです。2016年4月1日から2019年12月31日までの売却が対象です。この制度は、相続した実家に住むわけでもなく固定資産税を払い続けるよりも、売却できるうちに売却してしまおうという方にとっては朗報と言えるでしょう。
前述の「一定の条件」とは、次に挙げるものすべてを満たす必要があります。

〇相続開始までは被相続人の自宅であって、相続により空き家になったものであること
〇1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたものであること
〇マンションなどの区分所有建築物ではないこと
〇相続から3年を経過する日の属する12月31日までの売却であること
〇売却額が1億円を超えないこと
〇相続から売却時までずっと空き家状態であったこと(居住・賃貸などの使用履歴がないこと)
〇売却時において一定の耐震基準を満たしていること
〇行政から要件を満たす証明書等が発行されていること

控除額は3,000万円と高額ですが、まずは上記の通り、様々な条件下での「実家の相続」に限定した適用となるようです。これはあくまでも税制の大綱であり、今後、詳細についての発表が待たれます。

まとめ

まとめ
実家の相続に伴う税金の問題は避けて通れません。後々トラブルにならないためにも、実家の相続後の解体や売却という選択肢を想定しておくべきでしょう。
また、相続が生じてから慌てるのではなく、あらかじめ家族で話をしておき、売却した場合の価格の査定や実家を解体した場合の費用も想定しておくべきでしょう。早い段階から、税理士やFP(ファイナンシャルプランナー)の専門家に相談しておくこともお勧めです。