3つの目的から考える「不動産投資の出口戦略」

不動産投資は、最終的な目標をどのように設定し、その目標を達成できたかどうかで成否が決まります。今回は、不動産投資の出口戦略として、「継続保有」「売却」「事業拡大」という3つの選択肢について考えてみたいと思います。

1. 「継続保有」で賃貸収入を

不動産投資の収益には、賃料収入(インカムゲイン)を得ることと、物件売却益(キャピタルゲイン)の二つがあります。不動産投資家は、収益の安定性を重視するタイプと利回りの高さを重視するタイプに分かれると思いますが、もしあなたが前者であれば投資物件から収益がある限り、物件の保有を継続して安定的に家賃収入(インカムゲイン)を得る選択をするべきでしょう。
不動産市況が上昇傾向にあれば、より大きな売却益(キャピタルゲイン)を得て、「出口」から出られるかもしれません。しかし、次の新たな投資(物件購入)への初期費用は、市場が好況であるだけに過大なものとなる可能性があります。そして、その後に市況が下降に転じれば、買い替えた物件の利回りや最終的な売却価格は、購入当時よりも大きく下落するというリスクをはらんでいるのです。
もちろん保有し続ける場合は、現時点の周辺相場などを勘案して家賃や管理費、空室率や将来的な家賃の低下、修繕費など費用の増大を想定した新しい収益計画を立てる必要があります。その結果、今後も長期的に収益が得られる可能性が高いと判断できたならば、「継続保有」を選択するという事でしょう。

2. 売却で投資から撤退を

2. 売却で投資から撤退を
第二の選択肢として「売却」があります。この選択は、売却益(キャピタルゲイン)の利ざやが大きい場合に限りません。不動産投資の入口=物件購入当初に想定した収益が上がらない、予想から大きくかけ離れてしまった場合は、売却により一旦精算し、その不動産への投資から「撤退」するということもあります。
ただし、売却の時期は、慎重に見極める必要があります。不動産市況には循環サイクルがあり、数年ごとに価格の上昇と下降を繰り返すと言われています。昨今はデフレ脱却が政府の政策目標として挙げられ、日銀の「異次元の金融緩和」の影響もあり都心部のマンション価格は上昇が続いていますが、不動産価格の見通しを立てる事は難しく、必ずしも地価が上昇し続けるとは言い切れません。長期的なトレンドとして人口減少が続く日本では、年平均2%で地価が下落していくという研究結果もあります。
全国的に見れば、エリアによって不動産価格の上昇・下降傾向には大きな違いがあり、特に地方で下降しているエリアは少なくありません。
また、地域によっては物件の実勢価格が非常に安定しています。そういうところでは、購入金額が高額であったとしても購入金額と同額、場合によってはそれを上回る金額で売却できる場合もあります。いずれにしても、不動産投資は「出口」を出た瞬間、売却した時に最終的な収支が確定します。ですので、投資から撤退するにしても、あまり売り急いで損をしないように慎重に検討しましょう。

事業拡大(追加購入または買い替え)

事業拡大(追加購入または買い替え)
収益性の悪い投資物件の買い替えや、投資が好調であれば、物件の追加購入という積極的な選択肢もあるでしょう。
既存の物件とは別に新たに物件を持つことは、不動産投資のキャッシュフローを増やしたり、空室リスクを分散したりすることになります。また、異なる立地や条件の物件を複数経営すると条件の違いによる収益性の比較ができるので、不動産投資の知識や経験が得られるでしょう。
不動産投資の実績を積み上げていくことができれば、賃貸事業の継続力、経営者としての経営能力を金融機関にアピールできます。結果的に、それが将来のさらなる不動産投資への手助けになることは間違いありません。

まとめ

出口戦略がない不動産投資とは、目的地が決まっていないまま船旅に出るようなものです。不動産投資では、これまで述べてきた「出口戦略」を頭の片隅に置きながら、スタートすることが望ましいです。どういう状況になったらどうするのか、常にイメージしておきましょう。ただし、市況や社会情勢によって出口戦略は調整が必要です。当初決めた目標をかたくなに守る必要はありませんが、今回述べた3つの選択肢を踏まえ、最終的な「出口」のイメージを、投資初期の段階からシミュレーションしてみることをお勧めします。