アパート人口は減少しない!? 都市部での単身者世帯の増加傾向について

2月末に総務省が発表した国勢調査の速報値によれば、日本の人口は1億2711万47人で、2010年の前回調査時と比べ、約95万人減ったことが分かりました。人口が減ったのは1920年の調査開始以降初めての事態で、総務省が「日本は人口減少の局面に入った」とコメントしたほどです。
現在、不動産投資に関わっている方々にとってはもちろんのこと、これから不動産投資を始めようと考えている方々にとっても、賃貸物件の空室率と密接な関係がある「人口減少問題」は、最大の懸念材料と言えるでしょう。
そこで今回は、今後の人口減少問題と世帯数の推移を紐解きながら、投資物件の中でも特に需要が高いとされる「アパート経営」について考えてみたいと思います。

東京圏の一極集中が強さを増す 〜全国の8割で人口減少

日本の人口減少問題を考える前に、まず、現在の日本の都道府県別人口分布について考えてみることにしましょう。
今回の国勢調査の速報値から、人口が最も多いのは東京都の1351万人で、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)の人口は、全国の人口の4分の1以上を占める3600万人余りです。2010年時よりも約51万人増えたことが分かりました。また、2010年~2015年の人口増加数を都道府県別に見ると、8都県(東京都、神奈川県、愛知県、埼玉県、沖縄県、福岡県、千葉県、滋賀県)のみ増加しており、最も多い東京都では35万4000人が増加しました。
人口増加数の多い市町村トップ5は東京23区、福岡市、川崎市、さいたま市、札幌市で、上記8都県の人口増加率を前回(2005年~2010年)と今回(2010年~2015年)で比較した結果、沖縄県や福岡県で増加の割合が著しいことが分かりました。
一方、人口が減ったのは秋田県や福島県、大阪府など39の道府県で、大阪府は前回増加でしたが、今回は減少に転じています。また、人口減少数の多い市町村トップ5は北九州市、長崎市、石巻市、南相馬市、函館市で、全国1719市町村のうち、実に8割以上にあたる1416市町村で人口が減少していることが明らかになりました。
これらのことから東京都23区、政令指定都市およびその周辺市町村を中心に人口は増加傾向にあるものの、東日本大震災で津波などの被害を受けた地域や過疎地域では、人口流出に拍車がかかっている状態であるということが読み取れます。

人口減も東京圏では世帯数増加、1世帯当たり人員は2.38人と減少傾向

人口減も東京圏では世帯数増加、1世帯当たり人員は2.38人と減少傾向
次は、世帯数の推移についてです。市区町村ごとの人口、世帯構成や住まい方の数値は、国勢調査の結果をもとに算出されますが、2015年に実施された国勢調査の集計結果は、今のところ速報値しか出ておらず、確定値は2016年10月に公表される予定です。そこで今回は、国勢調査の速報値と5年前に実施された国勢調査の確定値をもとに分析したいと思います。
人口減少=世帯数減少と単純に考えてしまいそうですが、2015年に行われた国勢調査による世帯数は5340万3000世帯で、5年前の調査時よりも145万3000世帯増加したことが分かっています。
人口が減っているにもかかわらず世帯数が増えているのは、1世帯当たりの人員が減り、細分化されたと考えるのが自然です。それを裏付けるかのように、1世帯当たり人員は2.38人で、前回の2.46人と比較すると減少傾向にあります。これはすべての都道府県に共通しています。
単身者や核家族の増加により今後の不動産市場では、ファミリー向けよりも単身者やDINKS向けの物件の需要が高まることが予測されます。2020年に行われる次回の国勢調査では、1世帯当たり人員数はさらに減少するのではないでしょうか。
また、2010年~2015年の都道府県別世帯増減数を見てみると、東京都は29万8000世帯増、神奈川県は13万4000世帯増、埼玉県と愛知県は12万7000世帯増となっており、東京圏を中心に世帯数が増加していることが分かります。
このほか、宮城県、兵庫県、大阪府、福岡県でも世帯数は増加傾向にあり、地方圏でも人が集まるエリアや人口数が安定しているエリアにおいては、賃貸需要が見込めると考えられます。

2060年の人口は9000万人弱、うち65歳以上の割合が4割以上に

今後の日本の人口減少問題を考える上で必ず押さえておきたいのが、国勢調査のデータをもとに国立社会保障・人口問題研究所が算出した「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」です。
この資料には、2060年の人口は8674万人、65歳以上の人口の割合が約40%になることが記されているほか、各市町村の将来人口および都道府県別の世帯主の男女・年齢5歳階級別・家族類型別世帯数なども簡単に推計できます。これは投資対象物件を選定する上で、非常に役立つ資料になると思います。

単身者世帯の賃貸アパート需要は減らない

単身者世帯の賃貸アパート需要は減らない
単身者世帯やDINKS、核家族世帯が増えた一番の理由は、非正規社員の増加による晩婚化、高齢出産による少子化でしょう。非正規社員の低賃金では、家族を養うだけの余裕がなく、結婚や子どもを作ることになかなか踏み切れません。その結果、晩婚化や少子化といった現象が起こりやすくなっています。また、非正規社員の方の場合、ローンが組みにくいなどの理由から、持ち家を持つ人の割合は正社員に比べて少なく、まとまった購入資金や維持費用が掛からない賃貸物件を住まいにすることが多いようです。
こうした状況が続く限り、マンションよりも比較的賃料が安いアパートの需要が高まる可能性があります。特に非正規社員にとって仕事を見つけやすい都心では、実際に世帯数が増加しており、賃貸アパートの需要は高いのではないでしょうか。
「人口がどんどん減少する国で、アパート経営をしても大丈夫なのか?」という不安を持つかもしれませんが、投資物件のエリアを狭めて、徹底的なリサーチ(将来人口、世帯数の推移、都市開発の有無、借り手が見込めるような施設の有無など)を行い、物件の維持管理に力を注げば、きっと安定した収益が得られるはずです。これからは高齢者の割合が増加しますので、元気な単身高齢者向けのバリアフリー仕様のアパートなども引き合いが増えるでしょう。これからのアパート経営は、こうしたデータをもとに綿密な計画を立てて実行する事をお勧めします。