不動産投資の基礎講座! 積算価格って何?

物件取得の際に一番気になるのは、やはり物件価格ではないでしょうか。投資する物件が適正価格より高いのか? 安いのか? それが分からなければ不動産投資はうまくいきません。
今回は、不動産の適正価格を知る上でカギとなる「積算価格」について解説いたします。

不動産の適正価格の算定は?

投資物件の適正価格を算出する方法として知られているのが、「デューデリジェンス(資産の適正評価)」です。
デューデリジェンスは、経済的側面・法的側面・物理的側面の3つの側面から分析を行うもので、経済的側面では賃料動向など物件を取り巻くさまざまな市況を、法的側面では権利関係などを、物理的側面では建物や環境、地震などのリスクの分析を行います。
デューデリジェンスによって得られた鑑定評価額は公的信用力もあり、客観的な評価額とみて間違いないでしょう。しかし、この鑑定評価額は必ずしも、実際の不動産経営の実態や将来性を反映するものではありません。また、小規模な物件にはあまり適していないというデメリットがあります。
そこで、より簡単に大まかな不動産の価格を算定する方法のひとつが、冒頭でご紹介した「積算価格」なのです。

積算価格とはどんなものなのか?

不動産の価格には、「積算価格」「比準価格」「収益価格」の3つがあります。また、それぞれの算出方法として、「原価法」「取引事例比較法」「収益還元法」があります。今回は、積算価格に焦点を絞ります。
積算価格とは、原価法によって求められる価格です。原価法とは、価格時点における対象不動産の「再調達原価」を求めて、この再調達原価から減価修正を行って対象不動産の価格を求める手法です。再調達原価とは、ある時点において、土地を購入して対象不動産と同じ建物をもう一度建てた場合、必要になる価格です。積算価格は、上述の3つの中でも特に不動産の費用面に着目した価格と言えるでしょう。

「物件の積算価格 = 土地の価格 + 建物の積算価格」

まず、土地の価格を調べるには、国税庁の「相続税評価額路線価」、市町村の「固定資産税路線価」、国土交通省の「公示価格」、都道府県の「基準地価」などの価格を基にして、土地の形状や接道状況などを考慮しながら、土地の価格を推定します。
公示価格は実勢価格の90%、相続税評価額路線価は実勢価格の70~80%、固定資産税路線価は実勢価格の60~70%程度といわれています。
これらは、資産評価システム研究センターが運営している「全国地価マップ」で調べることができます。また、土地の形状や接道状況などを考慮するというのは、例えば「角地の場合は1割増す」「2面道路に接道する場合は高い方の道路の評価額を使う」「旗竿地の場合は評価額の7割とする」などです。
次に建物の積算価格は、総面積 × 再調達単価 × (残存年数(耐用年数 - 築年数) ÷ 耐用年数)で計算します。
再調達単価や耐用年数は、物件の構造によって異なります。再調達単価は、大まかに鉄筋コンクリート20万円/平方メートル、重量鉄骨18万円/平方メートル、木造15万円/平方メートル、軽量鉄骨15万円/平方メートル程度で計算します。耐用年数は、鉄筋コンクリート47年、重量鉄骨34年、木造22年で計算します。

積算価格を効率良く利用するには?

積算価格を知ると、どのような利点があるのでしょうか? 一つには、積算価格と融資額の関係をうまく利用すると、不動産投資の規模を大きくできるということでしょう。なぜなら、金融機関が物件を評価する際に積算価格を利用することが多いからです。融資限度額は、だいたい積算価格の7割ぐらいです。つまり、積算価格と物件の売買価格を比較して、物件価格が積算価格の7割程度ならフルローンも可能だということになります。フルローンができれば、次の不動産投資の資金も手当てしやすく、不動産投資の規模も大きくできます。
ただし、積算価格が物件価格を大きく上回っている物件は、注意が必要かもしれません。物件価格が低いということは、利用価値が低い不動産である可能性があります。駅から遠く不便な場所、空き部屋になりやすく賃貸収入が上がりにくい場所などはその傾向が強いでしょう。自分で住むための物件ならば、利用価値が低くても自分が納得すれば良いわけですが、不動産投資の場合は空き部屋になってしまうと不動産投資の生命線である賃貸収入に大きな影響が出てしまいます。


まとめ

積算価格の算出方法や活用方法についてご説明しました。
不動産投資の場合、積算価格だけを見て購入の可否を決めてしまうのは良くありません。安い物件を購入できたと思ったら、逆に、経営的には高い物件だったということもあるわけです。ですが、上述の比準価格や収益価格は、今後の不動産売買や賃貸の市況によって大きく変化します。
積算価格は地価や再調達価格の変化によるものの、それでも比較的安定した価格の評価方法と言えるでしょう。