投資家必見! 不動産査定方法の一般的な流れ

収益物件の売却は、売出価格を決定することから始まります。不動産価格の査定方法の一般的な流れとポイントを知っておきましょう。

「売出価格」を決定する際に参考にする「査定価格」

売り出し中の中古不動産の広告などに記載されている物件価格を、「売出価格」と言います。
これは売主が決定しますが、その際にプロの不動産会社の意見を参考にして決めるのが一般的です。また、不動産会社が相場などを踏まえて提案する価格、物件が売れるであろう価格の事を「査定価格」と言います。

不動産を査定する2つの方法

査定価格の決め方には、「簡易査定」と「訪問査定」の2種類があります。
「簡易査定」は、物件の所在地を地図上で確認し、周辺の売出事例や過去の取引事例、市場の動向などから概算価格を算出する方法です。売却物件を実際に見ずにほとんど机上で行うため、「机上査定」とも呼ばれる事もあります。
電話やメールで気軽に依頼できるうえに、早い不動産会社では査定を依頼した当日中に結果を提示してもらうことも可能で、スピーディーに査定価格を知ることができます。
「訪問査定」では、まず物件の現地を訪れ、立地条件、周辺環境、間取り、日当たり、眺望、接道状況、建物や設備の傷み具合など、実際に見なければ分からない詳細な項目を確認します。そのうえで、法務局や各行政庁を回り、権利関係や法令上の制限、インフラ関係に問題がないかを役所で調査し、成約できるであろう価格を算出する方法です。
現地調査の時間は数十分程度ですが、調査日程の事前調整が必要で、詳細な調査を行った上で概算価格を導き出すため、査定には数日かかります。簡易査定・机上査定に対し、「詳細査定」とも呼ばれます。

「取引事例比較法」とは

また、不動産会社の価格査定には、「取引事例比較法」という評価方法を用いることが、最も一般的とされています。
取引事例比較法とは不動産鑑定評価の一つで、近隣不動産の過去の取引や成約事例情報をベースに、対象不動産の価格を求める方法です。
多数の取引事例の中から、駅からの距離や建物の広さ、構造や築年数などの条件が類似する比較事例として、適切なものを選定し、必要に応じて、それぞれの事情補正、時点修正(後述)などの個別的要因の標準補正を行い、地域による相場の格差などを考慮した上で比較し、最終的に価格を算出します。
事情補正
成約した取引事例の中には、売り急ぎのために相場より安く成約したもの、買い急ぎのために高く成約したもの、競売物件などの特殊事情による事例もあります。それらを加味して、比較事例として適切な価格に補正するのが、事情補正です。
時点修正
比較対象となる取引事例は、すべて過去のものをベースにしています。そのため、価格を決定する時点までに、市場変動(相場の上昇または下落)のある場合があります。その変動割合を取引事例価格に掛け合わせて調整するのが時点修正です。

収益不動産の査定には「収益還元法」を用いる

投資用物件の価格査定は、一般住居用物件と異なり、「収益還元法」という評価方法が最も多く用いられます。投資家が不動産の購入を検討する際に、「利回り」を最も重視するためです。
収益還元法とは、対象物件が将来生み出す収益性に基づいて価格を算出する方法で、物件の収益力が価格に大きく影響を及ぼします。収益還元法によって求められる不動産価格を「収益価格」といい、2つの計算方法があります。
1. 直接還元法
対象物件が1年間に生み出す年間賃料収入から、諸経費(管理費や修繕費など)を差し引いた1年間の純利益を、還元利回り(投資利回り)で割り戻して収益価格を求める方法
2. DCF法
「Discounted Cash Flow」の略で、時間的価値を考慮した上で、物件が将来生み出す収益を予測して、一定の割引率で割り引いて現在価値を求める方法

価格査定を依頼する際の注意点

価格査定を依頼する際、物件の状況は、プラス要因もマイナス要因も正確に伝えるようにしましょう。
査定価格が下がるのを恐れて、マイナス点を伝えることにためらいを感じるかもしれません。しかしそうしないと、後々大きく価格を下げなければならなくなるかもしれません。契約後に不具合が発覚した場合、契約解除やトラブルの原因になりかねません。
また、不動産は個別性が高く、物件独自の特性や複雑な要因のすべてが価格に影響するため、確実な売出価格を検討するには、実際に現地を見て調査する「訪問査定」が必須です。「簡易査定」は、手間をかけずに査定価格を知ることができますが、これだけでは根拠として不十分です。
査定価格の提示を受けた際には、なぜその価格となるのか、査定根拠の詳しい説明も必ず受けて下さい。その対応を通して、信頼できる不動産会社かどうかを見極める機会にもなります。納得できるまでしっかりと説明を受けることが大切です。