新築タワーマンションは買うべきではない? 監視強化によって薄れた節税効果

以前から富裕層の利用が指摘されていたタワーマンションによる相続税の節税対策について、国税庁は2015年11月、全国の国税局に対して監視強化を通達しました。看過できないほど行き過ぎた節税と判断した場合には、個別に評価をし直す方針も明らかにしています。
また、総務省は2016年に入り、タワーマンションを始めとする高層マンションを利用した相続税節税を防止する対策の検討を開始しました。早ければ2018年度から課税強化案が適用される予定です。
そこで今回は、タワーマンション節税についての概要や、規制をめぐる動きを紹介します。

タワーマンションは低層階でも高層階でも評価額は同じに

自分の死後、配偶者や子どもなどの法定相続人に相続するにあたっては、現金、家屋、貴金属など財産の種類に関わらず、相続税が掛かります。なかでも現金は相続税が高くなるため、節税方法として不動産など現金以外のものに変えるという手法は以前から行われていました。
その中で、タワーマンション節税が広がっていったことには理由があります。
マンションの場合、相続税の評価額は土地と建物を分けて算出されます。土地については敷地全体を戸数で分けた評価になるため、戸建てなどに比べてタワーマンションのように総戸数が多いほど一戸当たりの評価額は低くなります。
建物については固定資産税評価額で評価されますが、現在の評価方法ですと専有面積が同じであれば低層階でも高層階でも評価額は変わらないという仕組みがあります。つまり、例えば40階建てタワーマンションの中で同じ専有面積の部屋ならば、日当たりが悪い3階と、最上階角部屋の40階の評価額は同じになるのです。
マンションの場合、低層階よりも高層階の市場価格が高いことは周知の事実です。
富裕層は相続財産が多く、現金のままだと相続税も高くなることから、高額のタワーマンション高層階を購入して相続させ、相続税を圧縮するという節税方法が高い効果を発揮していたと言えます。
特に2015年から相続税が増税となったことを受けて、このタワーマンションによる節税対策は注目されてきました。
しかし、あまりに行き過ぎた節税対策が見受けられることや、一般層でなく富裕層のみに効果的な節税対策であるため、所得や財産の格差で節税の可否が異なるのは不公平だという声も挙がっていました。

タワーマンション節税監視強化に加え、2018年度から評価額の仕組みが変わる可能性も

実際に、国税庁が全国の20階以上のマンションの評価額と売却価格を調査したところ、2011~2013年の2年間で、平均評価額が売却価格の約3分の1であることが分かりました。
逆の言い方をすれば、相続税評価額3,000万円程度のタワーマンションの一室は、約9,000万円で売却されていたということです。恐らく、タワーマンションによる節税対策を利用した相続人が、より多くの差益を手に入れたケースもあったことでしょう。
そこで国税庁は2015年11月から全国の国税局にタワーマンション節税の監視強化を通達しました。
もちろん、居住用に購入するのであれば、まったく問題ありません。しかし、居住していた事実がなく、相続発生直後にすぐ売却する場合などは、相続税の節税のために売却したと見なされて、再評価の対象となる可能性が高くなり、明らかに節税対策であることが判明した場合は、恐らく追徴課税を課されることになるでしょう。
また、総務省の有識者会議では、マンションの全階層が一律で評価されるこれまでの仕組みを、階層別に変えるような仕組みに見直す案が検討されています。
この案が実施されれば、マンションの高層階ほど相続税の評価額が高くなるため、これまでのようにタワーマンションの高層階を購入することで行う実質的な節税はできなくなります。早ければ、2018年度の固定資産評価基準の改正で見直されるとみられています。

まとめ

現在の国税局の監視強化や、評価方法の見直しの動きなどを考えると、タワーマンション購入による相続税節税のハードルは一層高くなるでしょう。
もちろん、相続税対策のためだけに高層階を購入する人ばかりではありませんが、高層階はタワーマンションの中でも特に高価格帯であることがほとんどで、1億円を超えるような部屋も少なくありませんし、事実そうした目的の需要が一定数あったことは確かです。
多くのタワーマンションは、ブランド性も高く立地条件も良いため、売買価格が下落しにくいという面があります。しかし、富裕層が相続税の追徴課税を恐れ、今後はタワーマンションの購入を見送り、それ以外の節税方法に流れることも考えられます。
もしかするとその影響で購入者が減り、これまで高止まりしていたタワーマンションの市場価格が下がる可能性も出てきました。今後の動向が注目されています。