不動産投資の基礎講座! 収益価格って何?

不動産投資をする際に、「収益価格」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。また、不動産価格の算出方法としては収益価格のほかに、「積算価格」「比準価格」という手法があります。
積算価格、比準価格、収益価格。
この3つの価格は、不動産の価値を評価する上で、非常に重要な考え方です。今回は、この中の収益価格について解説します。

収益価格とは

収益価格は、簡単に言えば、不動産から得られる家賃などの「収益面」に着目して、現在の物件価値を評価しようというものです。つまり、投資利回りから見た評価額のことです。ちなみに、積算価格は原価法によって算出するもので、建物の再調達価格から築年数分の価値を減価して、その時点の価格を導き出す手法です。
もう一つの比準価格は取引事例比較法により算出するもので、実際に売買された近隣の類似物件を参考にしながら、いろいろな補正を加味して価格を導き出す手法です。
収益価格の計算方法は、「直接還元法」「DCF法」に大別されます。
直接還元法とは、半永久的に不動産を保有し続けた時に、ある1年間にその不動産から生み出される純収益に着目し、不動産価格を評価する方法です。
DCF法とは、不動産を投資対象と考えて、保有中の一定期間の収益と、最終的な売却による収益までを想定して価格を評価する方法です。

収益価格の仕組み (直接還元法)

上述の直接還元法では、不動産の純収益を還元利回りで割ることで収益価格を算出します。
この純収益とは、賃貸収入などの年間に得られる総収入から、維持管理費、修繕費、公租公課、損害保険料、空室損失、貸倒れ損失などの年間に掛かる総費用を差し引いて求めます(還元利回りについては後述します)。
上記のうち「空室損失」とは、実際の空室ではなく、一定の割合で想定した空室ということです。そして空室率について詳しくは、時点空室率、稼働空室率、賃料空室率という考え方があります。
● 時点空室率
ある時点での実態をそのまま採用する方法で、5室のうち1室が空室なら、空室率は20%となります。
● 稼働空室率
1年間の稼働月数のうち、空室月数が全体の何%かという考え方です。
5部屋を12カ月稼働させた場合の稼働総月数は60カ月、1部屋の空室が3カ月続いた場合、稼働しなかった月数は3カ月、3カ月 ÷ 60カ月 × 100 = 空室率5%となります。
● 賃料空室率
稼働空室率の計算にあった月数の分母・分子を、それぞれ賃料の分母・分子として計算する方法です。不動産投資では通常、稼働空室率と賃料空室率を利用します。
では、「還元利回り」はどうでしょうか? これをどれだけにするかによって、収益価格が大きく変わってしまいます。
還元利回りを求める方法は、取引利回りから求める方法と、借入金返済カバー率から求める方法、自己資金と借入金の還元利回りを構成割合で加重平均して求める方法などがあります。
● 取引利回りから求める方法
収益用不動産の現実の取引事例から求められます。
「取引利回り = 不動産の家賃などグロスの収入 ÷ 取引価額」
● 借入金返済カバー率から求める方法
借入金返済カバー率は「年間純収益 ÷ 借入金年間返済額」で求めます。ちなみに借入金返済カバー率は、投資不動産の借入金返済能力を示す指標です。
● 自己資金と借入金の還元利回りを構成割合で加重平均して求める方法
「還元利回り = 借入金還元利回り (元利均等償還率) × 借入金割合 + 自己資金還元利回り × 自己資金割合」で求めます。

収益価格の仕組み (DCF法)

DCF法の計算式は複雑ですので、ここでは計算式は示さずに、考え方のみ紹介したいと思います。
分かりやすく言えば、「DCF法の収益価格=毎期の純収益の現在価値の合計+復帰価格の現在価値」です。
毎期の現在価値の求め方には割引率を使います。割引率は、類似の不動産の取引事例との比較、借入金と自己資金に係る割引率、金融資産の利回りに不動産の個別性を加味して求める方法などがあります。
手順としては、このようになります。
1. 1年ごとの純収益を見積もる
2. 保有期間中の純収益の総額を割引計算する
3. 売却価格を予測する
4. 最後に、割引計算した純収益総額と予測した売却価格を合計する

収益価格から見た、不動産投資の際に購入したくない物件

では、不動産投資において冒頭に挙げた不動産価格の3つの算出方法は、どのように応用したらよいのでしょうか。
端的に言えば、積算価格(原価の積み上げなどで算出)や比準価格(近隣の類似の物件の売買価格を参考にした算出)は高いが、収益価格が低いという物件は不動産投資の対象には向いていません。
不動産投資で購入を避けるべき物件は、「積算価格>比準価格>収益価格」のような物件です。
このような物件は、おおむね地方や駅から離れた不便な場所、人気のない場所であることが多く、賃料や空室損失を考えると購入は避けた方が無難でしょう。
逆に、「収益価格 > 比準価格 > 積算価格」のような物件は、収益性の高い物件とみなすことができ、不動産投資対象に向いていると言って良いでしょう。

まとめ

不動産の価格を評価するための3つの価格算出方法は、必ずしも確実な評価方法というわけではありません。そこには不確実な将来の見積もりが必要ですし、その点では主観も入ります。
しかし、価格評価は、大枠での基準、もしくは指標としてうまく利用することができれば、より良い不動産取引ができ、不動産投資に役立てることができるでしょう。