不動産融資額、26年ぶりに過去最高! マイナス金利によってさらに増加?

日銀の発表によりますと、2015年の不動産業向け新規貸し出し金額は10兆6730億円で、前年より6.1%増加したことが分かりました。この金額は26年ぶりに過去最高となったもので、不動産バブルの再来と言われています。また、2016年2月にマイナス金利が導入されたことにより、今後はさらに不動産融資額が増加する可能性があります。
今回は、マイナス金利がもたらす不動産投資市場への影響について見ていきます。

マイナス金利導入の効果は、住宅ローンなどに確実に表れている

過去の「不動産バブル」は1989年頃がピークでした。同年の不動産業向け新規貸し出し金額は10兆4419億円で、この翌年に財務省(当時は大蔵省)が不動産融資の総量規制を行ったことなどをきっかけに、バブルが崩壊したと言われています。
一方、今回のマイナス金利導入から1か月後の2016年3月に行われた金融政策決定会合では、日銀の黒田総裁が「企業向け貸し出しや住宅ローン金利ははっきりと低下しており、金利面では政策効果が表れている」と評価しました。経済面への実質的な効果はまだ少ないことから、今後しばらくはマイナス金利政策を続ける意向を示しています。
もともと日本の住宅ローンは低金利が続いていましたが、マイナス金利政策の導入で、大手銀行を中心に続々と住宅ローン金利の引き下げが行われています。その影響で、主力の10年固定型の最優遇金利が過去最低水準の年0.5~0.8%%となり、住宅ローンの借り換えを行う人が非常に増えてきています。その影響で銀行も専用相談窓口を設けるなど対応を行っています。
これまでのところ住宅ローン借り換えの申し込みがほとんどで、新規に住宅ローンを組む人は増えていないようですが、全般的な金利低下によって資金調達がしやすくなり今後は新規借り入れを行う人が増える可能性があります。そうなると、不動産価格はさらに上昇すると予想されます。

先にマイナス金利を導入したデンマークやスウェーデンでは

先にマイナス金利を導入したデンマークやスウェーデンでは
世界ではこれまでに、スイス、スウェーデン、デンマーク各国の中央銀行、そして、欧州中央銀行(ECB)でマイナス金利が導入されています。その結果、デンマークやスウェーデンでは不動産価格が上昇し、不動産バブルが起きています。
デンマークではクローネ通貨の高騰を防ぐため、2012年に日本と似たような仕組みのマイナス金利が導入されました。これによって現在の日本と同じように住宅ローンが低下した結果、不動産価格が高騰しました。首都コペンハーゲンでは不動産価格が4倍に高騰した物件などもあり、大きな話題となりました。
2015年には住宅不足に陥るほどの状況となり、これを見かねた政府は、2015年11月から不動産購入価格の5%以上を頭金にすることを顧客に求めるなど、融資規制に乗り出しました。

これまで以上に不動産向け融資が受けやすい状況になる

2016年3月に行われた記者会見で、全国地方銀行協会の寺沢辰麿会長は、マイナス金利については容認したものの「銀行収益に大きな影響が出る」と話しています。
マイナス金利政策が続く限り、銀行側は日銀に預けた当座預金の利息を取られてしまうわけですから、何も手を打たなければ業績悪化が避けられません。緩和マネーを滞留させておくよりも融資に向けた方が少しでもリターンの可能性があるため、今後は銀行から企業への設備投資や担保が取れて融資がしやすい不動産投資向けの融資を増やす傾向が強まっていくものと考えられます。

REIT、不動産関連株も好調

REIT、不動産関連株も好調
なおマイナス金利の影響で、不動産関連株やREIT(不動産投資信託)も順調です。REITとは、投資家から資金を集めて不動産を運用し、そこで得た家賃収入などを投資家に分配する特性を持つ金融商品です。単独で不動産投資を行うのとは異なり、複数の投資家と不動産を購入するため1口あたりの投資金額が低く抑えられるのがメリットです。
REITでは得た利益のほとんどを投資家に分配するため、REITが新たな不動産を取得するためには増資または銀行からの借り入れが必要となり、銀行からの借り入れ率は自ずと高くなります。マイナス金利下では、REIT自体が支払う利子の額が少なくなり、収益力が増え、結果として投資家はより多くの分配金を受けられるということがREIT人気につながっているようです。投資家によるREITの購入が相次ぎ、一部では「買われすぎ」と見られる懸念もありますが、今後しばらくは現在のような状況が続くものと思われます。

まとめ

建設費の高騰やアジア系不動産投資家の流入、2020年の東京オリンピック開催などの影響で、不動産価格が上がっているにも関わらず、マイナス金利の影響で、今後さらに不動産価格は高騰する可能性があります。日銀側は、「マイナス金利政策はある程度長期的になる」と述べているものの、景気を良くするための一時的な政策である可能性も高く、資金調達がしやすい今は不動産投資に適したタイミングと言えます。
不動産投資家は、2013年4月からの異次元の量的金融緩和政策の影響で、以前よりはるかに融資を受けやすい状況にありましたが、今後はさらに不動産への金融機関の融資額が増える可能性が出てきたと言えるでしょう。