ニーズをつかんだアパート建築とは? 入居者の満足度を先取りしよう

2015年の相続税改正を受けて、土地への「賃貸アパート建築」が再び注目されています。今回は、アパート経営において大切な「入居者のニーズ」を先読みしていくことの解説をいたします。

「空き家約820万戸」の衝撃

総務省統計局の調査によると、平成25年の空き家数は約820万戸でした。これは、総住宅数の実に13.5%にも達しています。この調査後も全国的に空き家は増加傾向にあり、次回(5年後)の調査では、1000万戸の大台を突破するのは確実とされています。そして、このおよそ半分が「賃貸アパート(マンション)の空室」ともいわれているのです。
なお、この調査はあくまで「外観からの調査」のため、実際には人が居住しているのに空き家と判断されてしまったケースもあるのかもしれません。ただし、空き家が増加の一途をたどっているのは間違いなく、賃貸オーナーにとっても、悩みのタネとなることは間違いありません。こうした時代の流れに負けない土地活用を行うには、競合物件よりも入居者の動向やニーズを先読みしたアパート経営を展開する必要があります。

「今」だけではなく、「築年数が経過してからのこと」を考える

「今」だけではなく、「築年数が経過してからのこと」を考える
新築の賃貸アパートは、数年の間は建物が新しいこともあり、入居者に困ることは少ないでしょう。ニーズを捉えているか否かの問題が顕在化するのは、もっと年数が経過してからです。例えば、アパート建築時には砂利敷きの駐車場であった近隣の敷地が、十数年後にはオーナーが代替わりし、最新型の大きなマンションになったとなると、アパート入居率への悪影響は必至です。
築十数年と言えばちょうど建物が古くなってくる頃で、まだアパートローンの残債も残っていることでしょう。賃料が返済額を下回れば、「持ち出し」も起こりかねません。修繕、建て替えともなれば、アパート経営のキャッシュフローはさらに悪化します。これでは、せっかくの土地活用も意味がないというものです。
そのため、賃貸アパート経営で大切なのは「建物が古くなってから、周辺物件とどう差別化するか」を想定しておくことです。とはいえ、新築時に「建物が古くなってからのことを考えておく」と言われても難しいものです。今はまず、「将来、どのようなニーズが賃貸アパートに求められるか」をシミュレーションしてみましょう。そのためには、小手先の対応ではなく、思い切った「発想の転換」が求められることもあるでしょう。

外国人をターゲットとしたアパート経営

一つは、「外国人居住用のアパート」です。
労働目的で来日する外国人に対しては、極端に言えば「日本人の入居者の応募がないから、仕方なく住んでもらう」という考え方のオーナーが多数派のようです。ですが、これはひと昔前の考え方です。この最近は、所得層の高い外国人入居者が一定の割合を占め、高い入居率を維持している物件も多く存在します。外国の方々のコミュニティで評判の物件となれば、紹介が紹介を呼ぶようになります。
東京都内ならば、インド国籍の人が多い江戸川区葛西や、ミャンマー国籍の人が多い新宿区高田馬場。これらの街には既にコミュニティが完成しています。飲食店などはもちろん、行政のサービスも彼らの母国語を使用するなど対応を始めています。今後、さらにこの傾向は顕著になると言われています。4年後に控えた東京オリンピックも、外国の方々が日本の治安の良さに魅力を感じ、長期滞在を考える契機となるでしょう。

「民泊」や「シェアハウス」の展開をする

「民泊」や「シェアハウス」の展開をする
「民泊(みんぱく)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ホテルや旅館ではない一般住宅で、主に外国から来日している人たちに有料で宿泊してもらう、新しいビジネスのことを言います。Airbnb(エアビーアンドビー)というアメリカの民間会社が先進的に展開し、ここ数年、日本でも急速に利用者が広がっています。
日本では法律面でグレーな部分もあったものの、今春を目途に既存の旅館業法を拡大するなど法整備も進んでいます。先日、都内大手私鉄の京王電鉄が、この民泊に本格参入する意向を示しました。こうした報道を受けて、賃貸不動産会社のいくつかの株価が急騰するなど、株価にも影響するほどになっています。このように、全面的な解禁に向けて環境が整備されていくであろう「民泊」は今後、賃貸住宅の経営にとって「切り札」になる可能性を秘めています。こうした民泊での利用、転用も注目すべき「新しいアパート建築のニーズ」と言えるでしょう。
また、数年前から広がりつつあるシェアハウス化も、入居率を高め、かつ入居者の満足度を高める有効な方策の一つです。駅徒歩10分-15分以上と駅から離れて、築年数が20-30年以上でも、物件のコンセプトを打ち出し、特徴を持たせることで、賃料設定も高めにし、入居率を高く維持できているところが少なくありません。

まとめ

「空きアパート時代に負けない土地活用とは、時代の趨勢を読むこと」と言うと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、何も専門知識が必要という訳ではありません。所有するアパートの周囲や入居者の動向やニーズが、これからどうなっていくのかを予測し手を打つことです。繰り返しになりますが、「建物が古くなってからの入居者ニーズをどう取り込むか」が勝負です。将来の入居者ニーズを先取りするには、発想の転換が必要になるかもしれません。