アパート建設の法規制とは-安全・防災に関する規制について

アパートの多くは法律上「共同住宅」に分類され、特殊建築物とされています(戸建住宅は一般建築物である「専用住宅」に分類されます)。そのため、建設の際にはさまざまな法律の規制を受けることになります。今回は、アパート建設の際に関わってくる主な法律や制限、土地についてご紹介します。

アパートの建築に関連する主な法規

1. 都市計画法

都市の健全な発展などを目的とし、住みよい街づくりのための計画として、昭和43年6月に制定された法律です。都市計画の内容およびその決定手続、都市計画を行う場所の区域区分の指定、地域地区、その他都市計画に関して必要な事項が定められています。
特にアパート建設時においては、「用途地域」(土地の大枠としての用途を住宅・商業・工業など12種別に定めたもの)の指定が重要となってきます。

2. 建築基準法・建築基準法施行令

「建築基準法」は都市機能の増進と建築物の構造上・防火上・衛生上などの安全性の確保を目的に、昭和25年10月に制定されました。建築物の敷地、構造、設備、用途などについて、その最低基準を定めています。
建築基準法の規定に基づいて、建築物におけるより具体的な基準や制限などについて定めたのが、「建築基準法施行令」です。いずれもアパートの設計・建築に大きく関わってくる重要な法規です。

アパートの建築に関連する主な制限

アパートの建築に関連する主な制限

1. 建ぺい率・容積率の制限

建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を上から見た時の面積のこと。建坪とも)の割合、容積率とは敷地面積に対する延床面積(各階の床面積の合計)の割合を言います。いずれも用途地域ごとに制限があり、同じ広さの土地であっても、用途地域によって建てられるアパートの面積が違ってきます。なお、容積率についてはさらに敷地前面道路の幅員による制限を受けます。

2. 高さ制限

建物の高さは、周辺の日当たりに影響を与えるほか、火災の際にも危険が増すため、用途地域によって異なるいくつかの制限が設けられています。例えば、低層住居専用地域では、高さ10メートルまたは12メートル(都市計画で定められます)を超える建築物を建てることはできません。

3. 斜線制限

建物周辺の日照と通風を守るため、周辺の敷地境界線から所定の基準で引いた、斜線の中に建物が収まるように建築しなければならないという「斜線制限」が定められています。建物の高さや位置、屋根の形状に影響します。上の階になるほど、面積が小さくなっている建物や、屋根が斜めに下がっている建物があるのはこのためです。斜線には、北側斜線、隣地斜線、道路斜線があり、用途地域によって適用が異なります。

4. 防火に関する制限

防火地域および準防火地域が都市計画法で指定されています。防火地域に建物を建てる際は、3階建て以上、または延べ床面積が100平方メートルを超える建物は耐火構造で、その他の建物は耐火構造あるいは準耐火構造にしなければなりません。
上述のほかにも、遮音性や避難経路の確保、消防法に定められた定期点検など、アパート建設と賃貸経営には、さまざまな規制が絡んできます。

規制によってアパートが建てられない土地

規制によってアパートが建てられない土地
法規制の対象は建物だけではありません。土地についても、場合によってはアパート建設が禁止され、希望通りの建物を建てられないことがあります。アパートを新築する際は、その土地にアパート建設が可能かどうかの事前調査が必須です。以下の例に該当する場合は、アパート建設ができないこともあるので注意が必要です。

1. 都市計画区域外・市街化調整区域・工業専用地域の土地

都市計画法において都市計画区域外、市街化調整区域に指定されている土地には、建築物を建てることができません。また、都市計画区域内において上述の「用途地域」で「工業専用地域」に指定されている土地には、共同住宅であるアパートが建てられません。

2. 接道義務(接道要件)を満たさない土地

建築基準法では、都市計画区域内の土地に建築物を建てる場合、その敷地は幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接しなければならないと定められています。これを「接道義務」または「接道要件」と言い、要件を満たさない土地には建物を新築することができません。
なお、現時点で接道の幅員が4メートルに満たない場合、再建築する際は道路中心線から敷地を2メートル後退(セットバック)したところを境界線としなければなりません。さらに、接しているのが建築基準法上の道路であるかどうかも要注意です。建築基準法制定以前の建物では、他人の敷地を通路として使用しているケースがあります。それが法律上道路と認められない場合は、接道していないという理由でその土地は再建築ができません。

3. 袋小路の突き当たりの土地

各自治体が個別に定めている条例や指導要領によって、住宅が密集している路地や袋小路の奥などにアパートを建設することを禁止している場合があります。

4. 建築協定の有無

計画地が市町村の条例指定区域に該当する場合、一定の基準を近隣住民が取り決める建築協定が存在するケースがあります。その建築協定に「アパート建設の禁止」といった条項がある場合も、アパートの建設はできません。

まとめ

上述した各種の法規制にかからないための計画地の事前調査や、敷地に適したプランの提案は、アパート建築のプロである不動産会社が行ってくれます。しかし、事業主として、アパートが周辺の環境に与える影響や責任を理解しておくことは大切でしょう。
法規制は、街並みと、そこに住む人々の安全で健やかな暮らしを守るために定められています。不動産を所有し、そこに人々の住まいとなる建物を建てるということは、その街の景観や歴史にも関わることなのです。長い時間をかけ、都市や人々とともに、都市計画に参加している意識を持つことで、アパート経営の奥深さがさらに味わえるのではないでしょうか。