今だから見直したい。資産三分法の考え方

昨今の株価下落で評価損を抱えてしまった投資家の方も多いと思います。そのため、資産全体のポートフォリオの見直しが必要な方もいらっしゃるでしょう。そこで今回は、ポートフォリオの考え方の一つである「資産三分法」について考えてみたいと思います。

リスクの分散とポートフォリオ

資産三分法では、異なる資産特性を持つ3種類の投資対象に資産を分散して保有します。リスクを分散しながら、収益性向上を目指すポートフォリオで資産運用することを指します。
資産三分法は基本的に安全性を最も重視しています。換金性、流動性の高い現金や預金などの「キャッシュ」、収益性、換金性は高いが、リスクが大きく安全性が低い「株式」、安全性は株式よりも高いが、少し収益性が低く、換金性が低い「不動産」という3種類の資産で構成します。
ただし、キャッシュ、株式、不動産の3つに、資産を均等分割するという意味ではありません。分散させる資産の種類や保有比率は、個人の投資態度やリスク許容度で異なるのです。
それでは、それぞれの資産の特徴を見ていきましょう。

キャッシュの種類と特徴

ここでいうキャッシュとは、現金、当座預金、普通預金、定期預金などのことです。MMFやMRFなどで運用される短期金融資産などもここに含めていいでしょう。短期金融資産とは、短期金融市場で運用、調達され、1年以内に償還が来る資産のことで、代表的なものに、コールローンや譲渡性預金、コマーシャルペーパーなどがあります。金融機関や法人などを対象とした短期に融通する確定金利の金融商品です。
キャッシュの最大の特長は、環境の変化に機動的に対応できることでしょう。ただし、キャッシュはデフレーションの局面で自然に資産価値が高まり、反対にインフレーションでは、価値が下がり続けます。
極端なケースですが、通貨危機や金融危機などが起こると、「預金封鎖」のようなことが過去には起きました。長い間には、予想もしないようなことが起こるものです。そのような時に現金を持っておくことは重要で、株式や不動産が暴落した時に現金で購入し、それで財を成すという方法もあるのです。

株式の種類と特徴

株式は、企業が倒産すればその価値はゼロになります。株式は証券を保有しているだけであり、企業の資産について、直接の所有権を持っているわけではありません。株式は金融市場の動向に左右される側面もあり、株価が必ずしも実際の企業価値を反映しているとは限りません。
株式の種類には、通常の株主権が与えられている「普通株」、配当の支払いや残余財産の分配において普通株より優先的に取り扱われる「優先株」、普通株より遅れて配当や残余財産の分配を受ける「後配株」(いわゆる「劣後株」)などがあります。
資産三分法でいう株式とは、株式そのものだけではありません。投資信託やETF(上場投資信託、Exchange Traded Fund)も、ここに含めて良いと思います。要は、金融市場の動きに連動する金融商品が、ここで言う株式に該当します。ちなみにETFとは証券取引所に上場している投資信託で、株の売買と同じように証券会社を通して取引ができるものです。
国内株式や外国株式などは株式の代表ですが、この投資信託やETFは簡単にいうと、その株式をいろいろな組みあわせでパッケージにして取引できるようにしたものです。そのため、株式を個別銘柄で保有するよりもリスク分散が図られているといえます。

不動産の種類と特徴

不動産は、現物資産の代表です。その所有者は、法律が定めた非常に強力な「所有権」を持つことになり、不動産という財産はこの権利により守られます。
不動産の特長であり、株式と大きく異なる点は、毎月の賃料収入(インカムゲイン)があることでしょう。例えば金融市場が暴落し、株式など資産価値が大幅に減っても、変わらずに賃料収入をもたらす不動産は強い抵抗力があるといえます。
不動産の基本は賃料収入です。もちろん、不動産を売却益(キャピタルゲイン)目的で考えると、経済危機や金融市場の暴落時には不動産の価値も下がるので、売ってしまうと損が出ます。しかし、そのまま所有し続けて、賃料収入を得ていれば、必ずしも損をすることにはなりません。

まとめ

年初来からの株式市場の下落で、株価が下がる株式が多いのに対して、不動産市場での不動産価格は高値を保っています。ポートフォリオでみると、株式市場の下落前と比べて、不動産の割合が増え、株式は減っているのではないでしょうか。資産三分法に従えば、現在の状況は、高値の不動産を売却し、安値の株式を大量購入するようなポートフォリオの組み直しが検討されるタイミングといえます。