中古物件だからこそ知っておきたい耐震性能の見極め方

多くの方が、4月に起きた熊本地震の被害の様子をテレビのニュースなどでご覧になったと思います。木造家屋の倒壊やマンションの損壊は、他人事ではありません。そこで今回は、中古物件を購入する際の耐震性能の見極め方を確認していきましょう。

耐震構造の基礎知識

まず「構造設計」や「構造計算」について確認します。これは建物に必要な強度を得るために、どういう柱や梁がどの箇所にどのくらい必要かを計算し、設計することです。
地震対策という観点から構造設計や構造計算を考えた場合、真四角に近い家が最も地震に強い構造となります。上階の荷重を、下階と一体となった壁や柱を通じて建物下部の地盤にまで一直線に流すことができるからです。上階と下階の同じ場所に柱が入ることで、家の強さが増します。これを「通り柱」と呼びます。通り柱が上階と下階を一体化するので、地震に対して強くなるのです。
複雑な形状の家は、地震の揺れに対して複雑で不均衡な動きをしてしまい、地震には弱くなります。ひどい場合は、地震の応力が建物の一カ所に集中してしまうこともあります。その部分が破壊すれば、そこから家全体が倒壊する危険を招いてしまいます。
地震に弱い家の場合は、さまざまな耐震補強を施します。基礎の補強や、梁・土台・柱・筋かいなどの接合部の補強、構造用合板を用いて、耐力壁を増やす補強、また屋根の軽量化も良い方法です。

耐震・免震・制震それぞれのメリットとデメリット

耐震構造には、「耐震」「免震」「制震」の3種類の構造があります。それぞれどのような構造上の特長を持っているのでしょうか。

● 耐震構造

耐震構造とは、建物の構造体(柱や梁など)自体が、地震に耐えられる強度に造られ、地震の揺れに耐えられるように設計された構造です。建物の荷重支持と建物に入力した地震エネルギー吸収の2つの働きのすべてを、建物の構造体に委ねます。
メリットは、免震構造や制震構造に比べてコストが安いという点でしょう。市場での普及率も非常に高いです。デメリットは、地震のエネルギーが直接建物に伝わってしまうため、免震や制震と比べて建物の揺れが大きくなり、地震時に室内の家具などが損傷する可能性が高くなります。

● 免震構造

免震構造は、建物と地盤の間に、揺れを吸収する積層ゴムなどの装置(免震装置)を設け、地震の力が直接建物に伝わらないように設計された構造です。地震の入力エネルギーを免震装置で吸収し、柱や梁をエネルギー吸収の役割から解放しようとするものです。この免震構造は1995年の阪神淡路大地震以降、急速に全国に普及しました。
メリットは、耐震構造の建物と比べて揺れが1/3~1/5に軽減される点です。揺れが建物に直接伝わらないため構造や設備の損傷も抑えられ、室内の家具の転倒や照明器具の落下などを防ぐことができます。デメリットは、コストが高い点です。また、上階ほど揺れが大きくなるロッキング現象が起きたり、強風でも建物が揺れたりする場合があります。

● 制震構造

耐震・免震に次いで実用化された耐震構造です。建物の内部にダンパーなどの制御装置を組み込み、地震時にそれが作動することで地震エネルギーを強力に吸収し、柱や梁によるエネルギー吸収を不要にしようとする構造です。
メリットは、耐震構造の建物と比べて揺れが20~30%軽減される点です。建物のひび割れや構造の損傷などを少なく抑えられます。また、免震構造に比べてコストが安い点もメリットです。デメリットとしては、地震のエネルギーが建物に直接伝わってしまうことでしょう。

旧耐震基準と新耐震基準の解説

耐震基準に関する法的な背景についても説明しておきます。
現在の耐震基準は、1981年6月に改正された「新耐震基準」です。新耐震基準では、頻繁に起こる強さの地震に対して、建物の被害が軽くて済むことが目標とされました。分かりやすく言うと、建物に寿命がある間に1度起こるかどうかという強さの地震に対しては,ある程度の被害はやむを得ないこととし,建物の中もしくは周辺にいる人に、被害が出ないようにするということです。
つまり、新耐震基準は地震で建物が壊れないようにすることではなく、建物を使う人の安全を守ることが規定されているのです。
また新耐震基準では、地震によって建物にかかるであろう地震力の算定方法の規定も変わりました。
大地震時に必要な保有水平耐力(地震による水平方向の力に対する建物の強さ)を、建物が保有しているかどうかを検討する規定です。「建物の耐震強度が50%」という場合は、建物の保有水平耐力が必要な耐力の50%であるという意味になります。
一方、「旧耐震基準」(1981年6月以前の旧基準)で建てられた建物は、設計法が現在と異なりました。そのため現在のような保有水平耐力に基づく方法で、耐震性の検討を行うことができません。
さらに2000年には、家を建てる前の地盤調査が事実上義務化されました。また、地耐力に合わせた基礎構造や柱頭、柱脚、筋交いの接合部の接合方法、使用する留め金物の種類なども具体的に明記され、耐力壁のバランス計算も規定されました。

まとめ

中古物件を購入する際に見極める重要なポイントは、その建物の確認申請が新耐震基準に改正された1981年6月以前なのか以降なのかという点と、耐震仕様が具体化された2000年より以前なのか以後なのかという点です。
もし、旧耐震基準で設計された建物で、現在も必要な耐震性能を満たしていない中古物件であれば、将来、耐震補強を行う必要性の検討が求められます。
また、上述の通り、ひと口に耐震構造といっても、工法や耐震性能はさまざまです。購入物件が、いずれの構造を取り入れているかは、必ず事前に確認しましょう。