アパート経営のPDCA! 事業収支計画書作成のポイントとは?

人口が増加し、慢性的な住宅不足が続いていた時代は、アパートも貸し手市場で老朽化した物件でも十分に収益が確保できました。しかし、人口減少社会に突入した現代では、利益どころか赤字を出すだけのアパートとなってしまった物件も少なからず存在しています。
そのような事態を避けるには、アパート経営に乗り出す前に、収益性をしっかりと見極めることが重要です。具体的には「収支計画書」を作成し、十分な収益が見込めないアパートならば、経営には乗り出さないぐらいの慎重さが必要になります。

1. 収支計画書とは

収支計画書とは、長期間にわたる収入と支出をシミュレーションするものです。アパート経営の場合、歳月とともに建物の老朽化が進むため、それに伴う家賃の低下や空室率の増加が予想されます。また、10年単位で屋根や外壁の塗り替えなどの大きな修繕費用も発生します。従って、現在の収支だけを見るのではなく、向こう20年、30年の収支を計算して、それでも利益が出るかどうかを判断する必要があるのです。そのために作成するのが収支計画書です。

● 収入となる費目

アパート経営における収入とは、家賃、礼金、共益費、駐車場代などです。保証金は預り金なので、収入には入れません。ただし最終的に売却することを考えているのなら、これも収入に入れて考えてもいいでしょう。

● 支出となる費目

支出は、ローン返済金と必要経費に分けられます。必要経費は、租税公課(固定資産税・都市計画税・事業税及び不動産取得税・登録免許税など)、火災保険料、修繕費、共用部分の光熱水道費、管理費(管理会社に委託している場合)、雑費(清掃費や消耗品代など)などで、これらは現金で支出されます。

2. 収支計画書作成のポイント

新築アパートの場合、不動産会社などが収支計画書を作ってくれることがあります。中には、アパート建設を決意させるため、かなり“ピカピカ”の計画になっていることもあります。「家賃が相場より高い」「満室状態がずっと続く」「修繕費用が安い」など、甘い条件設定の収支計画書を鵜呑みにすると、最悪の場合収益どころか赤字になる恐れがあります。
そのため、アパート経営を始める前に自分で収支計画書を作ってみることが重要です。インターネット上には収支計画書の事例や、ローン返済シミュレーションなども用意されています。これらを活用すれば、ある程度の収支計画書は自作できます。

● 収入推移の考え方

オーナーチェンジ(中古)の場合は、現在の家賃を、新築の場合は、周辺類似物件の家賃をベースに考えます。築年数でどの程度家賃が下がるかを調べ、それをもとに家賃の推移をシミュレーションします。さらに、これに空室率を掛けます。空室率も歳月とともに悪化する可能性が高いからです。築10年目以降は、20~30%程度の空室率を見込んでおくのが妥当です。
礼金については、新築以外では受領しないケースが増えているので見込まない方がいいでしょう。共益費や駐車場代は変動が小さいので、一定でも問題ないはずです。最終的に売却を考えているのなら、手堅く土地の売却代金のみを計算に入れましょう。

● 支出推移の考え方

支出のうち、最も大きいのがローンの返済金です。ローン返済シミュレーションのサイトで、借入金額や返済期間を入力して、ローン期間中の返済金額を計算します。アパートの構造や築年数などによって、返済可能な期間も変わってくるので、不動産会社や金融機関に相談してみましょう。
租税公課や火災保険料、管理費、雑費などには大きな変動はないので、類似物件の金額を参考に数字を入れます。また、修繕費用は家賃収入の5%程度を毎月積み立てていきます。
こうして、20~30年先の事業収支を計算し、トータルで収益が見込めるかどうかを慎重に判断することが大切です。ローンの借入金額をかなり抑えないと、利益が残らないというケースが多いはずです。しかし、それがアパート経営なのです。堅実に設定した条件で、収益が見込めるまで借入金額を抑える。自己資金を増やしてからアパート経営に乗り出すことが安定経営のポイントなのです。

3. 節税効果について

アパート経営には実際のキャッシュフローの他に節税効果もあり、これがメリットの一つに挙げられます。ただし、節税効果だけを求めるのではなく、キャッシュフローがプラスになるように、シビアな収支計画書で判断することが、成功への第一歩といえます。

● 減価償却費による所得税減税

アパート経営では、年数とともに建物の価値が目減りする分を「減価償却費」として経費計上します。つまり、実際の支出に減価償却費を経費として加えるので、その分所得税を抑えられます。

● 相続税の圧縮効果

相続の際、現金よりもアパートで相続させると課税評価が大きく抑えられるため、節税効果が高まります。相続税対策を考えている方にとって、アパート経営は大きなメリットがあります。

まとめ

「自己資金0円でもアパート経営を始められる」といった広告をしばしば目にします。確かにその通りなのですが、だからといってどんな物件でも必ず収益が上がるとは限りません。立地環境で収益性は大きく変わります。長期で収支をシミュレーションするシビアな収支計画書で投資判断することが、アパート経営で成功するためには重要なのです。