積算価格とは何? 知っておきたい不動産の3つの価格

地価には、「公示地価」・「基準地価」・「相続税路線価」・「固定資産税路線価」の4つがあります。これら4つの地価は、それぞれ異なる観点・基準で決められた土地の価格です。中でも不動産の「費用性」に注目して決定された価格のことを「積算価格」とよびます。
今回はこの積算価格、合わせて知っておきたい「収益価格」「比準価格」について詳しくご説明しましょう。

モノの価格を決める3つの観点

モノやサービスの価値は下記の3つの観点からアプローチすることでより確実に見えてきます。
・ 収益性 : そのモノは将来どれだけの収益を生むのか
・ 市場性 : そのモノがマーケットで取引されている金額はいくらか
・ 費用性(原価性) : そのモノを作るのにどれだけの費用がかかったのか

不動産価格も同じで、これら3つの観点から決められます。それぞれの観点で不動産価格はどう決まるのでしょうか。

収益性に注目する「収益還元法」

収益性に注目して決定された不動産価格を「収益価格」といいます。
・ 収益価格=1年間の収益÷利回り
このように収益を利回りで割り戻すことを「還元する」といい、「収益還元法」とよばれます。収益価格の元になる収益とは、収入(家賃)から管理費などの費用を引いたネットの純収益が基本です。利回りは年率を使うので、収入も1年間の合計額になります。
また、この計算式で使われる利回りを「還元利回り(キャップレート)」といい、省略して「キャップ」とよばれます。一般の物件案内で表示される利回りは、実際の収入や想定家賃を物件価格で単純に割った「粗利(グロス利回り)」が使われます。もし、実際の収入と費用から純収益が分かる場合は、「ネット利回り」と表示されます。利回りには、グロスとネットの2つがあることに注意しましょう。

市場性に注目する「取引事例比較法」

市場性に注目して決定された不動産価格を「比準価格」といいます。これはマーケットで取引された同等の不動産物件と比較して求めます。「あの物件は○○万円で取引された。それと比較すると、この物件は××万円くらいが妥当」と考えるアプローチです。比較する物件が多いほど、物件の価格がより正確に見えてきます。
比較する項目はいろいろありますし、項目にも優劣があります。一般にマンションの場合は、交通、方位、階数、日照や眺望でしょうし、住宅地の場合は、交通、周囲の環境、道路の幅、騒音でしょう。また、ライフスタイルや価値観によっても、比較する項目や優劣はそれぞれ違います。「どうしても自分はこの項目を重視したい」というこだわりもあるでしょう。そして物件を比較する時は、自分がその物件を使う場合でも、家主であるという「投資家目線」を忘れてはなりません。

費用性に注目する「原価法」

費用性に注目して決定された不動産価格が、今回のタイトルにもある「積算価格」です。名前の通り、土地の価格はいくら、建物の価格はいくらというように、コストを積み上げて決定されます。
例えば、建物価格については、最初に当該建物と同じものを新築するのに必要な費用(再調達原価といいます)を考えます。続いて、建物の新築時からの経過年数、建物や設備の状態などを見て、老朽化により価値が減った金額を考えます(減価といいます)。最後に、再調達原価から減価を差し引いて建物価格を求めます。
それでは、土地の価格はどう求めるのでしょうか。例えば分譲地ならば、山林や農地など宅地のもとになった土地の購入や造成工事などに掛かった費用に、利益をのせて販売価格が決まります。もちろん、この費用性から求めた価格が、周辺相場より高ければ、その土地は売れませんから市場性とも関係があります。
新たに造成することがない、通常の市街地にある住宅地の場合、土地の価格は上述の「取引事例比較法」から求めた価格を便宜的に使います。

不動産価格はどう決まるのか

以上3つの観点、評価方法の名称、評価方法を使って求めた価格の名称を整理すると、次の通りになります。
【1605-03】積算価格とは何? 知っておきたい不動産の3つの価格-図1
3つの価格が同じ価格になることはまれですし、常に3つの価格が求められるわけではありません。購入目的でも、使用する価格は変わります。例えば、新築の戸建住宅を購入する場合は、取引事例比較法による比準価格と、原価法による積算価格との比較になります。出来上がった物件を買う場合と、自分で建てる場合を比較するのです。自分で使う戸建住宅なので、収益還元法による収益価格は必要ありません。
中古の戸建やマンションを購入する場合は、取引事例比較法による比準価格が不動産の価格になります。このケースでは、新築ならばいくら、減価はいくらといった積算価格は考えないでしょう。ただし、将来何らかの事情で賃貸したと仮定して、収益価格を求めてみることをお勧めします。状況次第で投資物件に変更される可能性もあるからです。
投資物件ならば、収益還元法による収益価格が不動産の価格になります。利回りの設定は投資家それぞれで皆違います。また、収入や費用も変化しますので、不動産の価格もどのようにでも変化します。魅力ある投資物件は競争相手も多く、(物件価格が高くなるので)購入するには利回りが低くなります。
投資物件として高いか安いかは、自分が確保したい利回りと比較することで決まります。自分なりの利回り感覚が、価格の高い・安いを見極める有効な方法になります。

まとめ

不動産価格はアプローチ方法で変わります。そのため、どの価格が高いか安いか一概にはいえません。不動産の使い方(自分が使うのか、他人に貸すのか)や、賃貸する場合はどれだけの収益が上がるのかなど、さまざまな要因が価格決定に関わっていること、そして、不動産の価格には3つの観点があることは理解しておいてください。
積算価格におけるコスト感覚や比準価格におけるマーケット感覚を持つことが、自分の投資スタンスをより確かなものにするでしょう。