今更聞けない利回りの表現。ネット? グロス? NOI?

不動産投資を行うにあたって、物件購入の際に投資家が必ず気にするのが「利回り」です。しかし、不動産投資の初心者の場合、利回りの基本的な知識はあっても「ネット」や「グロス」など専門用語が出てきた時に、その場ですぐに理解できない人がいるかもしれません。
そこで今回は、不動産投資を行ううえで知っておくべき利回りとその意味について、簡単に解説してみましょう。

グロス(表面利回り)

年間で得られる家賃収入の額を、物件の購入価格で割り戻した数字を「表面利回り」と呼びます。英語では「グロス」といいます。 投資物件を探す時の最初の目安となるもので、物件の販売図面にも記載されています。多くの場合、この表面利回りの基準値を決めて物件を絞りこみます。なお、表面利回りには、物件の維持費や管理費などのコストが一切含まれていません。表面利回りは、次の式で計算できます。
「年間の家賃収入÷物件の購入価格×100」
例えば、
(1) 物件価格2,000万円、年間の家賃収入300万円のアパート
(2) 物件価格3,000万円、年間の家賃収入400万円のアパート
この2つの物件を表面利回りで比較した場合、
(1) 300÷2,000×100=15(%)
(2) 400÷3,000×100=13.33…(%)
となるため、この場合は(1)のアパートの方が、表面利回りは高いということになります。

ネット(実質利回り)

不動産投資では、家賃収入だけでなく、物件の修繕費や固定資産税などの費用についても考慮しておく必要があります。年間の家賃収入から諸経費を引いて計算した利回りは「実質利回り」と呼ばれます。英語では「ネット」といいます。前述の表面利回りとは異なり、経費を差し引いてどれくらいの金額が手元に残るのかを示すのが実質利回りです。実質利回りは、次の式で計算できます。
「(年間の家賃収入−年間の支出)÷物件の購入価格×100」
先ほどの事例を使って比較してみましょう。
(1) 物件価格2,000万円、年間の家賃収入300万円、表面利回り15%のアパート
(2) 物件価格3,000万円、年間の家賃収入400万円、表面利回り13.3%のアパート
この2つの物件の諸経費が年間100万円だったとすると、
(1) (300−100)÷2,000×100=10(%)
(2) (400−100)÷3,000×100=10(%)
となり、(1)と(2)の物件の実質利回りは同じになります。もちろん、新築・中古の違いなどで実際の経費はかなり異なります。あくまでも参考の数字として見ておきましょう。

NOI(想定利回り)

例えば一棟アパートを購入した場合、設定した家賃で満室が続けば問題ありませんが、場合によっては満室にならず空室が続くリスクがあります。その間は家賃が入らないため、満室時とは得られる家賃収入の額が変わってきます。このように、空室時に出る損失などを差し引いたものが「想定利回り」です。専門用語で「NOI」とも呼びます。想定利回りは、次の式で計算できます。
「空室リスクなどを差し引いた年間の家賃収入(想定)÷物件の購入価格×100」
例えば、駅から徒歩10分の場所に3,500万円で全6室(1K)の一棟アパートを購入したとします。家賃を6万円に設定し、満室が通年続けば年間で432万円の家賃収入が得られることになります。
この場合の想定利回りは、
432÷3,500×100=12.34…(%)
となります。しかし、そのうちの1部屋が1年間空室になってしまうリスクを想定すると、家賃収入は年間360万円になります。
この場合の想定利回りは、
360÷3,500×100=10.28…(%)
となります。また、当初設定していた家賃では人が入らず、家賃を下げなければならなくなる可能性もあります。空室があり、かつ家賃を下げることになると、実際の利回りはこの想定利回りよりもさらに下がることになります。もちろん、持っている土地にアパートを建てた場合は建築コストしか掛からないので、利回りは高くなります。

まとめ

アパートに限らず、不動産投資の平均利回りは「新築なのか、中古なのか」「都心なのか、郊外なのか」といった条件のみならず、設備などでも大きく変わります。もちろん、利回りが高い物件がいいのですが、グロス(表面利回り)だけを見て、「利回りが高いからいい物件だ」と安易に購入するのはキケンです。
実際に購入してみると修繕費がかさんだり空室が続いたりして、トータルで損失が出てしまい高利回りにならないこともあります。不動産投資で安定した収益を得るためには、「経費は年間どれくらいか」「空室リスクはどれくらいか」「家賃設定は適正か」なども考えておく必要があるのです。そのためにはネット(実質利回り)やNOI(想定利回り)が重要な指標となります。言葉の意味も含めて、きちんと理解しておきましょう。