法人化してアパート経営するメリットとは?

アパート経営をしている地主オーナーは「大家さん」とも呼ばれ、どちらかというと、個人や地主夫婦で入居者への対応をしている印象が強いでしょう。この大家業による家賃収入が一定の割合を超えると、会社を設立して法人事業としてアパート経営をした方が、メリットが多くなるという面があります。
今回は、法人化してアパート経営を行うメリットについて解説します。

1. 法人化の目安は「年収2,000万円」

個人としてアパート賃貸事業を行う個人事業主から、会社として事業を行う法人格に切り替える目安は、年収が2,000万円を超えるかどうかです。この「年収」は不動産収入に限らず、事業所得や山林所得など一部の所得税も含めての金額です。
個人事業主に課せられるのは、所得税と個人事業税です。一方で、会社の収益に対して課税されるのは法人税です。これら税金は課税額が異なるため比較することはなかなか難しいですが、2,000万円以上の利益が見込める場合は、法人化をした方が納税の面でメリットがあるといわれています。

2. 法人税は減税傾向にある

個人事業主に対する主な税金は所得税です。これは所得が大きくなればなるほど税額が高くなる「累進課税」が採用されています。所得税の計算はとても複雑ですが、目安として課税所得(収入から給与所得控除や生命保険料の控除などを差し引いた金額)が1,800万円を超えた場合、所得税の最高税率は40%が適用され、住民税と合わせると収益の半分を税金として納めなければならないことがあります。
その一方で、法人税はどのような傾向があるのでしょうか。法人税も、企業の収益に対して数十パーセントの税率が課せられるため、「法人成り」したからといって大幅な税金削減が見込めるわけではありません。
ただし、景気浮揚策の一環として法人税は削減傾向にあり、基本の税率も25.5%から23.4%に下げられたばかりです。この基準でも諸外国と比べると高いので、日本で展開する外国企業などからは法人税の更なる減税要求が高まっています。

3. 法人化は相続にも有効

賃貸アパートの所有は、子世代にも大きな影響を及ぼします。現在の所有者が亡くなったとき、物件の所有権は子どもなどに「相続」されます。個人で賃貸アパートなどの不動産を所有していると、不動産の相続税評価額(相続における不動産の実勢価格)に応じて相続税が課税されます。
一方で、賃貸アパートを「会社」で所有していると、その会社の株式を上手に移転することによって事業となり、法人相続税の課税対象外とすることができます。この場合、相続税より税額の低い法人税の課税対象となります。

4. 銀行融資が受けやすくなる

法人で不動産所有をする場合、一般的には銀行融資が受けやすくなるといわれています。不動産を所有者しているのが会社名義だと、返済能力があると判断されることが多いためです。
特に最近は、築年数の経過してきた所有物件に、積極的な改修工事を仕掛け、賃貸アパートの価値を再構築する「リノベーション物件」がとても流行っています。リノベーション資金を借入する際の金利も、個人の大家さんよりも低金利が期待できて賃貸経営の安定化に繋がるでしょう。

5. 法人化は株式会社「だけではない」

この「法人化」というのは、株式会社にすること方法だけをいうのではありません。
密かに注目されているのが、「一般社団法人による賃貸アパートなどの不動産所有」です。一般社団法人は、よく「非営利」と誤解されていますが、非営利のNPO法人とは異なり、収益を発生させることが可能で、株式会社に近いものです。
複雑なスキーム(構造)になるため詳細は割愛しますが、一般社団法人を活用すると、株式会社が不動産物件を所有するのに比べて、更なるメリットがあるといわれています。
ただし、それは法整備の遅れによるもので、30年後、50年後にも同様の方法が使える保証はありません。実際に利用するかどうかは、客観的に判断できる専門家に相談してからにしましょう。

法人化してアパート経営するメリット

代表的な税金面だけでなく、さまざまなメリットがある法人化。安定して高収入を得られている場合は、ぜひ積極的に検討するようにしましょう。
また、上述のように、株式会社だけではなく、一般社団法人も選択肢の一つになります。大家さんの中には、社団法人化にあたり、「一般社団法人が狙い目」と一本で法人化を考えている人もいます。ただし、狙い目というわけなのではなく、不透明な部分が多いのも事実という面も大きいです。
結論としては、多角的に分析をして、賃貸アパート経営にメリットのある法人化を選択することが大事です。