不動産投資型のクラウドファンディングとは

新たな資金調達法「クラウドファンディング」が、さまざまな業界で注目されています。
クラウドファンディングとは「crowd(群衆)」と「funding(資金調達)」を組み合わせた造語で、インターネットを介して不特定多数の人から資金の出資や協力を募る仕組みをいいます。
これまでの不動産投資の資金調達は、金融機関から融資を受けることが基本でした。金融機関に、実績や担保が十分でないと判断されれば融資を得られず、案件を諦めねばなりませんでした。
しかし、実績はなくとも魅力的な事業であれば、クラウドファンディングで資金調達できる可能性が広がります。
特に今回は、クラウドファンディングの中でも不動産投資の資金調達を可能とする「貸付型」について、詳しく解説していきます。

クラウドファンディング「貸付型」とは

クラウドファンディングには、商品・サービスのリターン(見返り)を求める「購入型」、リターンを求めない「寄付型」と、金銭的リターンを求める「金融型」の3種類に分類されます。
そして「金融型」は、見返りの内容によってさらに「貸付型」「ファンド型」「株式型」の3つに分けられます。
「貸付型」はソーシャルレンディングとも言われ、クラウドファンディング運営会社が、主に個人から少額の資金を集め、事業者に融資を行う仕組みです。
運営会社は、出資者から集めた資金を運用して得られた利益を分配するという契約(匿名組合契約)を出資者と締結します。そして運営会社は資金を必要とする事業者に貸し付けます。
事業者が調達する金額は数十万円~数億円までと幅があり、返済期間は数ヵ月~5年程度が多いようです。

事業者のメリットとデメリット

事業者にとってのメリットは、これまで金融機関の融資を受けられなかった場合でも、事業の安全性と収益性が評価されれば、資金調達の可能性があることです。
具体的には「実績が不足している」「掛け目が低く多額の自己資金が必要となる」「毎月の元本返済を伴いキャッシュフローと合わない」などの理由で、銀行の融資条件に合致しない場合も、クラウドファンディング運営会社の融資基準による審査を通過すれば、融資を受けられる可能性があります。
また、元本保証や事業者の個人補償も必須ではなく、既に銀行からも融資を受けている事業者も、新たな資金調達の手段を増やすことができます。
デメリットは、不特定多数の応募を待つため、期日までに資金が集まらない可能性があることです。また返済不能となった場合は、第三者に債権を売却される可能性を伴います。

不動産投資の資金調達

不動産投資の資金調達に貸付型クラウドファンディングを活用するメリットは、建物の築年数が古く銀行融資が通らないケースや、竣工するまで建物が担保対象にならないため、建築資金の融資が受けられないケースでも、融資対象になる可能性があることです。
不動産会社の場合、同じ資金調達でも、株式増資と比較すると、貸付型クラウドファンディングは経営権を付与する必要がないため、経営の自主性が脅かされません。また、条件を満たした場合は、金融機関が融資の際に自己資本の一部とみなしてくれる可能性があります。
デメリットは返済期間です。事業のキャッシュフローを考えると長期返済が圧倒的に有利ですが、新築3ヵ月から長くても10年程度で償還しなければならないのです。

出資者のメリットとデメリット

一方、出資者としてのメリットは、3%~15%という高い利回りと、少額から出資でき(1口1万円など)分散投資が可能なことです。また、返済期間が数カヵ月~5年程度と比較的短いことが多く、融資の特性上、事業の業績にかかわらず、決まった額が返済されることです。
デメリットは、調達者の事業不調による回収不能や、クラウドファンディング運営会社の倒産による貸し倒れリスクがあります。また、海外案件では為替リスクや高額の為替手数料が発生する可能性もあります。

不動産投資への資金出資

少額からの不動産投資という点で、「J-REIT(不動産投資信託)」との違いも確認しておきましょう。
多くの投資家から資金を集める点は両者同じですが、J-REITは投資法人の保有する物件全体(オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産)への投資となります。一方、不動産投資のクラウドファンディングでは物件自体を選択することが可能です。

日本のクラウドファンディング市場はどうなる

不動産投資に興味があり、「『投資した資金が何に使われ、どのように役立つのか』への実感が持てること」を重視する層にとって、こうしたクラウドファンディングが魅力的に映ることは想像に難くないでしょう。
ケンブリッジ大学「オルタナティブ・ファイナンス・ケンブリッジ・センター」の調査によると、英国の2015年クラウドファンディング市場は前年度84%増の32億ポンド(約5,000億円)で、今後も緩やかな成長を続けると予想しています。中でも不動産は一番人気で7億ポンドも占めると言います。
海外と同じように日本国内で開花するかどうかは定かではありません。しかし、マイナス金利が導入された日本において、注目すべき市場であることは間違いないでしょう。