民泊物件として運用する際に注意すべき3つのこと

2015年、日本に訪れた海外からの観光客数は過去最高の約2,000万人を記録しました。その背景にはアベノミクスによる円安、隣国・中国の好景気、品質の高い日本製商品の人気、観光地が海外で紹介されるなど、さまざまな要因があります。
しかもこの傾向は一過性のものではなくしばらく持続すると見られており、特に2020年の東京オリンピックでの海外観光客は4,000万人に達する見込みです。そのため、宿泊施設は必ず不足するだろうと政府も予測を立てています。
観光客向けの宿泊施設の不足を補うために、民間の住宅やアパートなどを宿泊施設に改装し、観光客に貸し出す「民泊」が脚光を浴びています。東京都大田区を筆頭に、面積や設備などの規制も緩和され、今後さまざまな業者が、そして個人不動産投資家も民泊施設の運営に乗り出してくと予想されています。
しかし、民泊施設の運用にもリスクがあります。ここでは、特に多いと言われる3つのリスクと対策をご紹介します。

1. 賃貸物件の無断転貸は違法になることも

民泊事業に乗り出そうにも、まずは貸し出す部屋がないと始まりません。そのために格安物件を購入してリフォームを行う業者や個人がいる一方、さらに初期投資額を下げる方法として、個人向けの賃貸マンションを借り、部屋に家具などを置いて民泊施設として転貸する人もいるようです。
しかし大家に無断でこのような行為をすると、民法612条により、賃貸人側から契約を解除することができます。賃貸物件において「又貸し」は禁じられていることが多いうえに、契約書に記載がなくとも、無断で行った場合は賃貸人に契約解除の権利が与えられているので、転貸から民泊に乗り出したい場合は、必ず大家の許可を取るようにしましょう。敷金を多めに支払うことで、許可してくれるケースもあります。

2. 衛生管理は必須。南京虫には要注意

民泊物件では、宿泊客は日本人よりも海外からの観光客がメインとなります。多種多様な国となると、それぞれ食習慣や宗教、生活様式などの異なる人たちが泊まります。そのため、日本人には気付かない、予期せぬトラブルが発生することもあります。
その例の一つが、南京虫という害虫です。南京虫はダニのように布団などの布の隙間に住み着き、人間を刺して腫れやかゆみを発生させます。海外では「bed bag」という名前で恐れられており、日本でも戦後間もない頃などはよく発生していたようです。日本では現在、ほとんど発生しませんが、海外では発生している地域もあります。そうした国からの観光客が宿泊した後、その人に付着していた南京虫が布団などに移り、次に宿泊した人間を刺してしまいクレームが来るという事態も増加しています。
対策としては基本的な害虫駆除の手順と同じで、殺虫剤で駆除する、スチームなどで加熱駆除する、掃除機などで徹底的に吸い取る、などの方法があります。殺虫剤は効果が大きいですが、人間の肌に触れるものに殺虫剤を使用するのに抵抗がある場合は加熱駆除を選びましょう。最近では、民泊施設を専門で清掃し、害虫対策を行ってくれる業者も増えています。適切な対策を行い、トラブルの発生を未然に防ぎましょう。

3. 高稼働させるために必要な要素

民泊施設の需要が増えているとはいえ、それ以上に参入者も増えています。流行しているからと安易に民泊運営に乗り出しても、他物件と差別化ができず稼働率が低くなり撤退を余儀なくされるかもしれません。そうならないためにも、稼働率を高める対策を行いましょう。

① 価格に依存しない高付加価値

外国人観光客を迎え入れるには、ソファーなど外国人が使いやすい設備を多くする、畳部屋に布団など日本ならではの設備を設けるなど、宿泊客に喜んでもらえるようにしましょう。
また、浅草など外国人観光客が多く来るような観光地の近くに民泊施設を作るといった、立地面の考慮も集客には重要です。また、近年アニメ関連のミュージアムも人気が高まっているので、そのような場所付近でも多くの宿泊客需要が見込める可能性があります。

② 観光客の流入経路を増やす

民泊施設の仲介サイトに登録し、たくさんの方に検索してもらえるようにします。仲介サイトは、最もメジャーな「Airbnb」(https://www.airbnb.jp/)の他にも、「HomeAway」(http://www.homeaway.jp/)、「Roomoram」(https://www.roomorama.jp/)などがあります。ただし、多くのサイトに登録することで流入数や露出を増やせば稼働率は高められるかもしれませんが、ダブルブッキングに注意が必要です。

③ 初期投資費用を抑える

不動産経営の鉄則ですが、物件の購入価格と、1年で回収できる収益の割合を表した「利回り」をしっかり見るようにしましょう。キャッシュフローに余裕がないと、高額な物件を購入してもなかなか回収できずにローンの支払いが滞ってしまうことにもなります。最初に民泊経営に乗り出す時は、初期投資費用を抑えて見込み利回りを10%以上にしましょう。

まとめ

民泊は、ワンルームマンションなどの空室対策としても近年大きな脚光を浴びています。日本ではまだまだ馴染みがない宿泊施設の形態だけに、ノウハウの蓄積も不十分な面があります。上述の3つのリスクと併せて、さまざまな運営例や民泊施設に関するトラブル、法律の知識を知ることで、民泊経営を軌道に乗せていきましょう。