マイナス金利時代の不動産投資ローン ~変動と固定の違い~

2016年2月に導入されたマイナス金利で、住宅ローンや不動産投資ローンに注目が集まりました。不動産投資そのものは、数年前から既に人気が高まってきており、低金利以外にも注目すべき点があります。ここでは、多角的な視点から不動産投資ローンを見てみます。

不動産投資にはREITやアパート経営などがある

不動産投資といっても、土地やアパートの経営、売買もあれば、REIT(不動産投資信託)のような金融商品もあります。REITは他の金融商品と比較しても利回りが高く、世界的に資金が流れ込んでおり、日本でも人気が高まっています。
一方、不動産を購入するタイプの不動産投資は、一部の富裕層以外は、まだまだ利用者が少ないのが現状です。日本では借金(借り入れ)を嫌う人が多く、ローンを組んでまで、不動産投資をするのはリスクが高いと判断する人が多いようです。
しかしここ1~2年で、土地や建物を手に入れるタイプの不動産投資も活性化してきました。
都市部では土地価格が高騰して高いリターンが見込めること、アパートの一室だけを購入するといった比較的低価格の投資方法が浸透してきたこと、そして金利低下によって不動産投資ローンを組むことへのハードルが下がったことが活性化の大きな要因ではないでしょうか。
さらに極め付けは、2016年2月のマイナス金利導入です。

マイナス金利と不動産投資ローン

マイナス金利導入により、不動産投資ローンの金利も、一部の金融機関で引き下げる動きが出てくるでしょう。ただし、住宅ローンと同じように考えて良いものでもありません。不動産投資ローンと住宅ローンの違いは、以下のようなものです。

1. 諸経費が高め

事務手数料は融資額の2%程度、繰り上げ返済手数料は返済元本の2%程度(元本1,000万円なら20万円)とする金融機関が多く、どちらも融資額が多いほど負担が大きくなります。中には、事務手数料が定額という金融機関もあります。
なお、繰り上げ返済は、住宅ローンの場合は無料とする金融機関が多いので、その点の違いには注意しておきましょう。

2. ローン金利が高め

住宅ローンの場合は、ローンの買い取り(フラット35)や住宅ローン控除といった政策的支援があります。不動産投資ローンにはそういった支援がないため、金融機関だけで利益をあげなくてはなりません。
そのため、審査によっては金利が高くなる可能性もあり、マイナス金利下といっても安心は禁物です。

3. レバレッジ効果で高い利回りが期待できる

ここが不動産投資ローンの最大の魅力です。少ない自己資金で、不動産という大きな投資を行うことができます。
借入れは一つのリスクですが、同時に強みでもあります。強みを生かしつつ、リスクを抑えるためには、返済方法が重要です。

固定金利と変動金利

次に、不動産投資ローンの変動金利と固定金利について見ていきましょう。
不動産投資ローンの場合は、固定金利といっても3〜5年程度が一般的です。上述の通り、もともと不動産投資ローンは金利が高めのため、全期間固定金利だとかなりの高金利となり結局借り手がいないのです。
したがって、ここでは3〜5年の場合の、固定金利と変動金利について見ていきます。

● 変動金利

変動金利の魅力は、固定型よりも金利が低いことです。もちろん、金利変動リスクはありますが、そのリスクも物件によっては小さいといえます。
つまり、金利上昇の局面は、基本的に景気が良い時期です。立地が良い人気物件ならば、景気とともに賃料の増額も期待できるため、金利上昇分をカバーできる可能性が高いのです。
ただし、金利上昇後に地価上昇というタイミングだと、一時的に返済が苦しくなるかもしれません。なお、地方や駅から遠い土地など、景気の影響を受けにくいエリアもあります。その場合は余裕資金の有無で判断しましょう。

● 固定金利

固定金利は金利が多少高くなりますが、一定期間の金利が固定されるため初期の返済計画が立てやすくなります。
固定金利期間終了後に金利が上昇する場合、住宅ローンでは繰り上げ返済によって金利上昇分を吸収したりします。しかし不動産投資ローンの場合は繰上げ返済手数料が発生するため、この手法は取りにくいといえます。
そこで3~5年は返済実績を積み、固定金利期間が終わるころ金融機関へ金利交渉を行いましょう。後の交渉をスムーズにするためにも、契約時から金融機関とは良好な関係を築いておきましょう。

状況に応じて常に最善の対応をする

変動金利も固定期間もそれぞれ特色が違いますが、共通しているのは状況に応じて常に最善の対応をすることだといえるでしょう。「どちらが得なのか」という視点ではなく、どういう返済方法が自分、もしくは自分の保有する不動産に合っているのかで考えると良いでしょう。
低金利をうけて不動産投資が注目されて、都市部の地価が上昇しているのは既述の通りです。「マイナス金利なのだから、不動産を買わなくては損だ」という考えの人もいます。
しかし、いくら低金利で借入可能だったとしても、物件価格がそれを上回る上昇では利益を得るのが難しくなります。追い風の今だからこそ、物件価格はシビアに判断しましょう。
超低金利の状況では、利率ばかりに目がいきがちですが、立地や物件によっては、マイナス金利の恩恵が受けにくいこともあります。借入額・地価・物件価格などのバランスを重視して、購入妥当額を判断してください。
そして、マイナス金利はプラス材料の一つと心得て、より良い物件を購入していくようにしましょう。