FinTechの次に来る「不動産テック」とは

銀行や証券といった金融・保険などのサービスを、インターネット技術を活用して提供する「Fintech(フィンテック)」が、近年世界中で話題となっています。
「Fintech」とは「finance(金融)」と「technology(技術)」を掛け合わせた造語で、例えばスマホなどから簡単に決済や資産運用、口座管理を行えるサービスなどがあります。アメリカ発の動きですが、日本でもベンチャーを中心に100社以上がフィンテックを開発していると言われています。
最近ではこのフィンテックに続くものとして、「不動産テック」が注目されています。その名の通り「不動産」と「Tech(技術)」を合わせた造語で、不動産売買サイトなどはその代表です。今回は「不動産テック」について詳しくご説明します。

不動産業者と顧客の情報格差をなくすことが目的

以前から日本の不動産業界では、業者でしか見ることのできない、不動産流通機構の「レインズ」と呼ばれる物件情報データベースがあります。この物件情報データベースは顧客に公開されていないことなどから、「情報の非対称性・不透明性」が高いと言われてきました。
アメリカでは不動産業者情報システムが活用されており、物件情報が一般公開されています。そのため、売主・買主やその代理人(エージェント)が情報を入手しやすい環境にあり、公平な取引を行うことが可能となっています。
これまでの日本にはそのようなサービスがなく、情報を持たない顧客は業者の言うことを信じるしかありませんでした。言い換えると「納得いかなくても他に参考にする情報がないため何もできない」という状況だったのです。こうした顧客と不動産業者との「情報格差」がたびたび問題として取り上げられてきました。
「不動産テック」が次々と生み出される背景には、「情報格差を是正し、顧客の情報量を増やして選択肢を増やすことで、より効率的な不動産取引ができるようにしよう」という目的があると考えて良いでしょう。

不動産テックの具体的な事例

ここでは、現在各社から提供されているさまざまな「不動産テック」のサービスの中から、特に注目したい2つを取り上げて具体的にご紹介します。
● 不動産売買におけるデータを独自に収集・分析し公開する「IESHIL(イエシル)
2015年8月に株式会社リブセンスがサービスをスタートさせた不動産サイト「IESHIL(イエシル)」(https://www.ieshil.com/)は、数千件のマンションのデータを独自に収集・分析し、1部屋単位で物件価格を推定し、公開しています。
当初対象エリアは東京23区のみでしたが、2016年4月からは1都3県にエリアを拡大しています。価格情報の提供だけでなく、専門家によるアドバイスを受けられるサービスもあります。
また、物件の価値を総合的な観点から中立に評価する「レーティングサービス」が、近日サイトで公開される予定です。これは、物件そのものの情報だけではなく、周辺環境や利便性、施設の充実度や治安なども加味した評価になります。
さらに、公示地価や景気指数、人口統計といった公的なオープンデータなども参考に作成される予定です。このサービスが適用されれば、顧客は物件の周辺環境のメリット・デメリットを十分に把握した上で、納得のゆく判断ができるようになります
● 自動的に投資判断をしてくれる不動産投資サポートサービス「ファミリーオフィス
不動産売買だけでなく、不動産投資向けのサイトにも、不動産テックを活用したサービスが登場しています。
株式会社リエゾン・アーキテクツが運営する「ファミリーオフィス」(https://familyoffice.estate/)は、富裕層の高齢者向けの不動産投資サポートサービスです。同社は2016年2月に、不動産テックサービスを運営する株式会社おたにと業務提携を行い、顧客への情報提供力の向上を目指しています。
ファミリーオフィスが取り扱っているのは、一棟アパート・マンションなどの収益物件や海外不動産に特化しており、無駄なく投資用物件を見つけることができます。
また、業界初となる「投資判断システム」という不動産テックが利用できます。これは会員登録の際に、情報を入力するだけで、融資限度額や投資目的、希望エリアなどを判断し、適切な投資用物件を紹介してくれるというシステムです。
富裕層の高齢者がメインターゲットとなっており、相続税対策に投資用物件の購入を希望する顧客や、資産で不動産投資を考えている顧客へ向けたサービスが充実しています。
● 土地の購入から管理までをまるごとサポートしてくれる不動産投資アプリ「TATERU(タテル)
弊社、株式会社インベスターズクラウドが運営する「TATERU」は、土地の紹介からデザインアパートの提案、建築、賃貸管理までをワンストップサービスで提供しています。非公開の土地を直接仕入れているため、投資コストを押さえることができます。
「アプリではじめるアパート経営」を掲げ、不動産投資アプリ「TATERU」も用意しています。このアプリでは建築実例を確認できるほか、疑問に思ったことをすぐにチャットでコンシェルジュへ相談することが可能です。
本業が多忙で店舗に赴く事ができない顧客がメインターゲットとなっており、より気軽に不動産投資を始められるようきめ細やかなサービスを提供しています。

まとめ

不動産テックを活用することで、顧客側は不動産業者側からの一方的な情報だけではなく、客観的な情報を自ら得ることができるようになります。それにより、不動産取引で不利な立場になることを避けられると期待されます。
しかし、不動産テックにも問題はあります。それは不動産取引を行う人の中で、不動産テックの機能をきちんと使いこなし、豊富な情報を正確に判断できる人がまだまだ少ないという点です。
確かに、日本における不動産テックの認知度・浸透はまだ高くありません。しかし、今後、不動産テックのサービスが一般的となり幅広い層に普及すれば、上記のような問題も解決され、一般顧客は手間をかけずに、より効率的で満足度の高い不動産取引が可能になるのではないでしょうか。
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