頭金なしでもいい? フルローン・オーバーローンにメリットが出てくる理由

不動産物件の購入にあたって、銀行など金融機関への借入のローン金額はできるだけ下げた方が良いと思われがちです。借入額が少ないほど、利息の対象となる元本額も減少しローン返済者の負担も減るからというのが、主な理由です。そのローンの借入総額を下げるのに最も効果的な方法は、「頭金」を準備することでしょう。準備できる金額が多いほど、当たり前ですが、借入金の額は下がります。
ところが最近、頭金なしの「フルローン」や「オーバーローン」にはメリットがあると言われるようになっています。それはなぜでしょうか?

不動産物件を購入する時に必要な費用とは

不動産物件を購入する際に必要なお金は大きく分けて3つです。
1. 地代金
2. 建物代金
3. 諸費用(登記費用、銀行手数料、火災保険料、仲介手数料、固定資産税清算金、不動産取得税など)

これらの合計が不動産購入に必要な資金となり、これを「総事業費用」と呼びます。また、1と2を合計したものを「物件価格」と呼びます。
不動産を取得する費用(総事業費用)は、通常自己資金と金融機関からの融資とで工面します。この際、自己資金を入れずに、すべて融資で支払うのが、上述の「フルローン」や「オーバーローン」です。
フルローンとは、頭金がなく、物件価格すべてを借り入れるローンです。また、ここで言うオーバーローンとは、物件価格のみならず、諸費用(一般的に物件価格の2割前後)や税金部分も含めた金額を借りるローンを指します。

フルローン・オーバーローン利用のメリット

フルローンやオーバーローンの一番のメリットは、自己資金を温存しながら物件を購入できることです。また、頭金を貯める必要がないので、良い物件を見つけた時すぐに購入することができます。
居住用物件も同じですが、特に不動産投資物件は、購入の「タイミング」が大切です。購入したい物件が見つかったその時に、もし頭金が準備できておらず頭金を貯めるために購入を先延ばしにした場合、頭金が用意できていざ購入しようとする頃には、他の不動産投資家に先を越されているかもしれません。それに、今でこそ歴史的な超低金利ですが、購入する頃には金利が上昇している可能性も否定できません。
「買いたい!」と思った時に、ローン審査さえクリアできれば、すぐに物件を購入できる点は、フルローンやオーバーローンのメリットです。もちろん借入額は大きくなりますが、年齢が若いうちに長期ローンを組めれば、月々の返済額を相応に少なく抑えることもできます。
また、自己資金を減らすことなく物件の購入が可能なので、2軒目、3軒目の物件へと比較的スムーズに展開でき、総収入を増やすことができます。さらに、借入金の利息は経費扱いになるため、特に物件を購入した初年度に課税所得が減少し、資金を増やしやすくなるというメリットもあります。

フルローン・オーバーローン利用のデメリット

一方で、フルローンやオーバーローンのデメリットも知っておく必要があります。
まずは冒頭にも少し触れましたように、これらのローンでは、返済総額や月々の返済額が大きくなる点です。特にマンションやアパートの運用の場合、満室条件を前提に資金計画を立ててしまうと、意に反して空室が続くなどにより、月々の返済が困難になる事態が起きやすくなります。そうなってから不動産を売却しても、ローンの返済が残る可能性が高いです。
また、返済期間中に物件のメンテナンス費用やリフォーム代が必要となっても、すでにフルローンやオーバーローンを組んでいると、二重ローンの審査は通りにくくなってしまいます。
なおフルローンの場合は、諸費用は自己資金で支払うこととなるため、注意が必要です。必要な諸費用は、物件価格の2割程度と言われており、1億円の物件をフルローンで購入する場合は、諸費用として自己資金2,000万円程度が必要ということです。

まとめ

フルローン・オーバーローンの特徴について説明しました。結論としては、これらのローンを利用して、頭金なしで不動産物件を購入するのは不可能ではありません。ただ、そのメリットとデメリットを把握した上で、無理のない返済計画を立てることが大切と言えます。不動産を費用面から見る分析力と、購入のタイミングを見る目を磨いて、効率的な不動産投資を実現させたいものです。