アパート経営に必要となる基本的な維持費

アパート経営を始める方の目的は、利回りによる収益を得ることです。そのために、経費や無駄遣いを少なくして、利回りを高めるという考え方は正しいです。しかし、アパートを快適な住まいに保つために必要な維持費までも削減するべきではありません。
入居者の立場になってイメージしてみてください。備え付けの設備の破損、水道やガスの不具合などに対して、いくら修繕をお願いしても対応してくれない・・・そんなアパート、早く退去したくなるでしょう。
そうならないよう、オーナーは建物管理に必要かつ適切な維持費について理解しましょう。

1. 一般的に必要な建物管理の維持費

一般的にアパート経営で必要となる維持費は、建物のための費用と、付帯設備のための費用です。建物を維持するための費用は、例えば次の通りです。
・ 水道管などの配管維持、交換費用
・ 外壁塗装費用
・ 屋根のメンテナンス費用
・ 老朽化によるリフォーム、改修費用
・ 大雨や台風などによる修繕費用

また、維持や交換が必要な付帯設備は、次のようなものです。
・ ガス給湯器
・ エアコン
・ システムキッチン
・ トイレ、バス
・ 共用部分設備

2. 物件によって維持費の負担が大きく異なる

当然のことですが、新築や築浅物件では建物や付帯設備の維持費がかかりにくく、築年数が経過するほど多くかかります。「アパート経営は、築古物件を安く買うことが成功の秘訣」という人もいますが、それを真に受けて築古アパートを買った結果、修繕やリフォーム費用が多額となり、トータルだと築浅の方が安く買えたというケースも少なくありません。
アパートの維持費は物件により異なりますので、候補物件別に計算しましょう。

3. エアコン、システムキッチン費用を軽く見ない

築20年以上のアパートの場合は、キッチンが低くて狭い、エアコンも旧式のため電気代がかかるなど、入居者を逃しやすい課題が多いことでしょう。そこで、管理会社から「各部屋のエアコンとキッチンを交換すれば、空室率も低くなります。」と持ち掛けられることがあります。しかし、この費用は高額になりやすいので、注意してください。
仮にエアコンの購入・設置費用が1台10万円、キッチンの購入・設置費用が15万円とすると、8部屋のアパートで、25万円×8部屋=200万円となります。
さらに忘れてはいけないのが、この出費によって入居者が保証されるわけではない点です。借入れまでしてエアコンを設置したのに、入居者がいなければ返済費分で実質利回りは低くなり、下手をすれば赤字経営に陥る可能性も十分あります。
このような状況にならないための対策としては、
・ 「エアコンは入居者が自分で付ける」という条件で敷金を下げる
・ 管理会社に、ターゲットはキッチンをあまり使わない層(若い男性など)にする方向で仲介をお願いする

など、オーナーができるだけアパートに手を入れなくて済むように考えて経営すべきです。

4. 結果的に、保険加入が維持費を抑える

アパート経営において、いくら適切な建物管理をしていてもどうしても避けられないことがあります。それは、火災や地震、台風などの天災によるダメージです。こればかりは、保険という手段でリスクヘッジをするしかありません。
中でも地震保険は火災保険に含まれないため、別契約が必要です。さらに地震の可能性が高いエリアは、低いエリアに比べて保険料が割高のため「とりあえず火災保険だけでいい」と思うオーナーもいますが、地震保険に加入することをお勧めします。
最近は大きな地震がいつどこで起きるか分かりませんし、ある程度の地震が起きると必ず修繕費用などの維持費が発生するからです。火災保険や地震保険などは建物を維持するために必要な費用ですので、内容の充実した保険に加入してください。

5. 10年、15年先を考え、維持費を計算する

アパート経営では、短期に転売利益を得るというよりも、長期間、賃料収入を得てから、できる限り高く売るという手法が基本ですので、長期保有する前提で維持費を考える必要があります。将来的な大規模修繕やリフォームの費用を、忘れずに計算しておいてください。
もし15年後に多額の維持費が発生しそうであれば、その前に売却して次の物件を購入するのも堅実な方法でしょう。反対に、購入してから数年以内に大規模修繕やリフォームをした場合は、すぐに売却せず建物を大切に維持し、長期間の賃料収入を得てください。
そして、次回の大規模修繕などの前に売却すれば、最終的に手元に残る利益が最も多くなる可能性が高いです。
アパート経営において、建物や付帯設備を維持するための費用は、大切な「必要経費」です。とはいえ、建物に費用を掛け過ぎて赤字になっては、何のためのアパート経営か分かりません。建物自体の維持や補修はともかく、付帯設備の維持・交換については、築年数が相当経過した場合や手持ち資金に余裕がある場合に行えば、建物の価値を高める効果的な維持費になるでしょう。
「自分の計画する所有年数でアパートの維持費も異なる」という点も意識して、必要な経費を判断してください。