REITと実物資産のメリット・デメリットから知る、 自分に適した資産運用

皆さんは、資産運用として人気の高い「REIT投資」と「実物不動産投資」はご存知でしょうか。
今回は、それぞれのメリットとデメリットを解説します。これから始めたい方や迷っている方は、ぜひ今後の資産運用の参考にしてください。

REIT投資のメリット・デメリット

「REIT(Real Estate Investment Trust)」とは、不動産の運営や売却で収益を上げて、投資家に還元するスタイルの投資商品のことをいいます。
株式や投資信託を小口に分けて販売されており、ビルを中心に運営しているもの、ホテルや住居専用のもの、両者をバランスよく取り入れたものなど、商品によって特色があります。

● メリット

1. 少額から投資ができる
多くの投資家から資金を集め、その資金を元に運営を行うREITは、数万円程度の少額から投資が可能なため、非常に参入しやすいといえるでしょう。
2. 分散投資になるためリスクが小さい
REITは集めた資金を使って複数の不動産を運営します。投資家は、それら複数の不動産を、投資した金額の割合で持つことになります。
例えば、10万円という少額の投資でも、REITを構成する一つひとつの不動産に対して、数千円の持ち分があるということです。そのため、一つの物件で収益が上がらなくなったとしても、全体の収益に与える影響は小さくなります。
3. すぐに現金化できる
REITは流動性が非常に高く、また売却も容易です。急に資金が必要になった時などに売却すれば、数日で現金化が可能になります。

● デメリット

1. 資産価値の値動きが激しい
安定しているといわれるREITといえども、株式、投資信託という商品であるため、日々の値動きがあります。景気に左右されやすく通常の株式や投資信託よりも値動きは緩やかではあるものの、2年で倍になることもあれば半分になることもあります。
日々の値動きで一喜一憂してしまう方には、不向きな投資といえるでしょう。
2. 投資した金額がゼロになる可能性も…
不動産を取り扱う以上、資産がゼロになることはないだろうと思うかもしれません。しかし、運営方法が原因で過去に破綻したREITも存在するのです。
「ニューシティ・レジデンス投資法人(NCR)」は、ある大型不動産の取得を発表しましたが、その資金調達計画が無謀だったため、実際には達成できず、50億円以上の違約金が発生しました。取得した不動産からの運営収益も安定せず、結果的に2008年に破綻しました。
とはいえ、過去の事例からもREITが破綻するケースはまれであり、通常の株式、投資信託と比べてはるかにリスクが低いのは確かです。

実物不動産投資のメリット・デメリット

続いて「実物不動産投資」です。これは、株式などではなく実物の不動産を購入し、入居者から得られる賃料を収益とする投資です。景気次第では、売却による利益も期待できます。
実物不動産投資には、区分マンション、戸建て、一棟アパート、一棟マンション、商業ビルなどさまざまな種類があります。

● メリット

1. 自分でリスクをコントロールできる
実物不動産投資では、投資物件を選択するのは自分自身です。不動産の所在地や地域の人口推移、賃貸需要などの情報は自分で調べられますし、販売会社に聞くこともできます。最終的に自分で物件を選定する以上、第三者に無計画な運営をされる心配はありません。
加えて、区分マンション以外の実物不動産投資では、建物の修繕や、将来的な建て替えの時期などについても、自分でコントロールできます。
2. 融資を活用した効率の良い投資が可能
実物不動産投資は、REITに比べて効率の良い投資が可能です。その理由は、融資を活用してレバレッジを利かせられるからです。
例えば、500万円の資金をREITで投資した場合と、実物不動産(新築一棟アパート)で投資した場合を比べてみましょう。
現在のREITは利回り5%~8%(国内不動産REITの場合)のため、500万円を投資した場合の収益は、年間40万円程度になります。なお信用取引により、総合的な利回りを上げることは可能ですが、値動き次第で追証(強制売却)が発生するためお勧めできません。
一方、実物不動産投資の場合を考えてみましょう。サンプルとして、本稿執筆時(2016年7月)時点で不動産情報サイトに広告されている東京23区、または横浜市、川崎市内にある駅歩10分以内、3,000~6,000万円以内の新築アパート10件の平均値を採用します。
・ 平均価格 : 4,833万3,000円
・ 平均戸数 : 4.9戸
・ 平均年間賃料 : 345万円

この物件を購入した場合の諸経費と金利を計算してみましょう。
・ 委託管理費 : 18万6,000円(賃料の5%×消費税8%と仮定)
・ 金利支払 : 123万円(融資額の3%と仮定)
・ 修繕費 : 58万8,000円(1戸あたり月額1万円と仮定)

この物件から得られる年間収益は、REITの3倍以上となる年間144万6,000円(345-58.8-18.6-123=144.6)で、投資金額(頭金500万円)に対する利回りは、実に28.9%にも上ります。
3. 収益以外の間接的効果が期待できる
実物不動産投資には、相続税対策や生命保険代わりになるという間接的な効果も期待できます。
REITの株式、投資信託を相続した場合、市場価格が相続税評価額となります。一方、実物不動産の場合、土地については路線価方式や倍率方式、建物については固定資産税評価額という算出方法が採用され、いずれも実際の市場価格より低い相続税評価額となります。
また、融資を使って実物不動産を購入している方は、万が一の時には融資額の返済を免除される「団信保険制度」などがあるため、安定した収益を生み出す資産を、負債が無い状態で家族に遺すことが可能です。

● デメリット

1. すぐに現金化することは難しい
REITと違い、実物不動産はすぐに現金化できません。売却手続きから現金化までには、短くとも数ヵ月はかかると思ってください。すぐに直接買取してくれる不動産会社もありますが、当然、買取価格は市場価格より安価となってしまいます。
2. 空室だと収益を得ることができない
当然のことながら、入居者が退去して空室になっている期間は、そこから収益を得ることができません。安定的な収益を得るという点では、少々不安が残ります。
ただし、メリット1にも挙げたリスクコントロールができていれば、長期間の空室ということは起こりにくいでしょう。また、一棟アパートや一棟マンションの場合、複数の部屋のうち1部屋が一時的に空室になったとしても、経営が行き詰まるほどの収益悪化にはなりません。
さらに、新築物件では空室でも家賃が保証される「サブリース契約」が可能なケースも多いです。

投資先として検討するには

REITは少額から参入できるので、資産運用の初心者は始めやすいでしょう。ただし、株式や投資信託と同じ性質を持っており、大きな資産をREITで運用することはあまりお勧めできません。ある程度大きな資産運用を扱うようになってきたら、REITよりも投資効率の良い実物不動産への投資がお勧めです。
融資を活用すればREITよりも大きな収益を得られます。その中でも、建て替えを含めたリスクコントロールや投資効率、空室リスクなどを考慮すると、一棟アパートへの投資が一番のお勧めです。
REITにも実物不動産投資にも、それぞれ良い点と注意する点があります。ご自分の状況によって、バランスの良い投資を選択していただければと思います。