しくじり大家に学ぶアパート経営③ 「空室対策を甘く見ちゃった大家さん」

アパート経営最大のリスクは「空室リスク」だといっていいでしょう。これを回避するには「空室の発生を未然に防ぐ対策」と、「発生した空室を速やかに埋めること」が極めて重要になります。
しかし、大家さんの中にはこの『アパート経営の生命線』ともいえる空室対策を、軽視してしまう方も少なくありません。その結果、キャッシュフローが悪化し、家賃低下や入居者の質の低下、建物の荒廃といった、取り返しのつかない事態へと転落することになるのです。
そこで今回は、大家さんが陥りがちな空室対策の失敗パターンを例に対策のポイントを学んでいきましょう。

空室の発生を未然に防ぐポイント

1. 経年劣化と築古物件化への対策

アパートは年々劣化します。劣化したアパートは人気が落ち、空室リスクが高まっていきます。また、デザインや仕様の陳腐化(時代遅れ感)も進行します。結果として、入居希望者は年々減っていくことになります。
ところが、これらの劣化症状は急激に変化するのではなく、非常にゆっくり進行します。そのため、多くの「しくじり大家さん」はこの対策を打つのが遅れがちになるのです。
アパート経営は大規模な修繕が必要になってから対策を打とうとすると、莫大な費用が発生してしまいます。だからといって、修繕をためらっていると空室率は悪化する一方です。空室の目立つアパートでは修繕費用の融資を受けるのも難しく、たちまち負の資産に転落してしまうことにもなりかねません。
このような悪循環を回避するには、小まめな手入れを早め早めに行うことがポイントです。常に美観を高めておけば入居者も大切に住んでくれるものです。
適切な対策を打ち、常に魅力度を高める努力を続けない限り「現状維持」はできません。

2. 管理会社に任せっきりにしない

「建物の管理は、管理会社に任せてあるから大丈夫」と、呑気に構えている大家さんは少なくありません。
修繕やリフォームが必要な場合は、管理会社が連絡してくれるので問題ないだろうと考えているのです。
しかし、これでは建物の美観までは保てません。
「階段のペンキが剥がれ始めている」、「照明器具に錆が浮いてきた」、「郵便受けが凹んだままになっている」といった、「機能的には問題ないが美観が損なわれている」程度の変化までは、報告されないのが普通です。
そして、このような小さなマイナス要因こそが空室率に響いてきます。決して軽視はできないポイントなのです。
この問題を回避するためには、大家さん自身が時々所有物件まで足を運び点検することが大切です。入居者の視点で、小さな問題点を見つけ出し、管理会社に早め早めに対処してもらうことが重要なのです。

3. 空室対策のウラワザ

「しくじり」とは少し離れますが、空室対策に有効なちょっとした裏技を一つご紹介しましょう。外部から目に付きやすい給湯器は、長い間に錆が浮いたりデザインの陳腐化が始まったり、物件の魅力度を大きく引き下げてしまいがちです。しかし、全戸の給湯器を新品に替えるには、多額の費用が発生します。
賢い大家さんは、ある方法で、ガス給湯器を「無料」で更新しているのをご存じでしょうか。
ポイントはプロパンガス会社です。プロパンガスは都市ガスと違って、複数の業者を競わせることができるため、業者の切り替えを条件に、新品の給湯器を無料で付けてもらうことが可能になるのです。
それでもプロパンガス会社は、月々のガス料金で給湯器代を回収できるため、快く協力してくれるわけです。これは、プロパンガスを使うアパートが多い理由の一つでもあります。

発生した空室をいち早く埋めるポイント

1. 退出意向の早期キャッチと特別キャンペーン

空室期間をできるだけ短くするためには、現在いる入居者の退出意向を、できるだけ早くキャッチすることが大切です。退出の2~3ヵ月前にその意向をキャッチできれば、入居者募集やハウスクリーニングなどを計画的に行えます。
また、敷金・礼金を無料にする「ゼロゼロキャンペーン」や、一定期間の家賃を無料にする「フリーレント」などの特別キャンペーンを投入する時間的余裕も生まれます。1度入居すれば2~3年は住んでもらえる可能性が高いため、家賃設定を引き下げるよりもキャンペーンははるかに有利です。

2. 内見で差を付ける

周囲にライバルアパートが多い場合などは、プラスアルファの魅力付けが大切です。特に、募集広告では分からない魅力をアピールできる内見はとても大切です。
ドアノブや照明スイッチをお洒落なものに交換したり、棚を取り付け観葉植物やインテリア小物を置いたりと、ちょっとした演出を加えてみましょう。ほんの数万円を掛けるだけで、お部屋はグンとイメージアップします(小道具はそのままプレゼントすると喜ばれます)。
1年間の空室が数十万円のロスになることを考えれば、こうした内覧時の演出は、経済的かつ効果的な方法です。

まとめ

アパート経営にとって空室対策は最大の課題です。たとえ満室が続いていても、大家さんは安心してはいけません。アパートは必ず劣化し、やがて築古物件になります。早期対策を心掛け、常に魅力を保つ努力を続けるのがポイントです。
また、管理会社に任せっきりにせず、大家さん自身が時々足を運んで物件を点検することも忘れてはなりません。空室リスクを最小化するための入居者管理や入居促進策を実施していきましょう。
早め早めの空室対策が「しくじり」をなくし、より少ないコストで満室経営を持続させることにつながっていくのです。
しくじり大家に学ぶアパート経営シリーズ
・しくじり大家に学ぶアパート経営① 「レバレッジを利かせすぎた大家さん」
・しくじり大家に学ぶアパート経営② 「インターネットを鵜呑みにしちゃった大家さん」
・しくじり大家に学ぶアパート経営③ 「空室対策を甘く見ちゃった大家さん」
・しくじり大家に学ぶアパート経営④ 「管理会社選びを軽視しちゃった大家さん」
・しくじり大家に学ぶアパート経営⑤ 「リフォームに我を出しちゃった大家さん」
・しくじり大家に学ぶアパート経営⑥ 「資金管理で失敗しちゃった大家さん」