変調を迎える首都圏マンション市況

日銀のマイナス金利の影響による住宅ローン金利低下や、円高による海外からの不動産投資などを背景に、依然として首都圏のマンションに対する注目は高い状況です。
また、都知事選挙でも「マンションの耐震性工事を100%にする」という公約を掲げた候補者がいたように、政治的にも、都心のマンションは重要な意味を持っています。
景気回復が一般庶民にまで浸透していないといわれていますが、首都圏のマンション市況は、今どのようなステージにあるのでしょうか。

新築竣工数は減少傾向、投資熱は一段落か

不動産経済研究所が今月に発表したデータによると、6月の首都圏でのマンション供給戸数は前年比12.9%減の3,050戸でした。また、2016年内に発売される年間供給戸数も約3万7,000戸という予測で、これは2009年以来の低水準です。
この数字が物語っているのは、新築マンションの供給が一段落を迎えたのかもしれないということです。
気になる販売価格も、前年比-2.5%の5,672万円となっており、下落傾向が見え始めました。また、マンション契約率も70%を切ってきており、「思うように販売が進んでいない」、「投資需要も一段落したのではないか」という見方もできます。
1平方メートル当たりの単価も首都圏で82万円、23区内の物件では106万円と前年から下落をしています。数字だけを見ると、庶民にも手が届きやすくなっていると思われがちですが、実は23区内の5,000万円以下のマンション戸数は減少しています。
子育て世帯にとって通勤利便性が高いエリアのマンションを購入するには、依然として高いハードルがある状況は変わりません。
デベロッパーの竣工数減少は、市場の投資熱を受けての反応だと捉えられることが可能なので、もしかすると、しばらくの間、マンション建設に対する意欲は、購入層、販売層の双方とも低下するかもしれません。
その背景には、中国の景気が低迷する傾向にあり、為替相場も円高で推移しているため、日本の不動産に投資する海外投資家が取らなければならないリスクが高くなってきていることもあります。

中古物件の価格が上昇、今後も持続するか

東京カンテイが発表したデータによると、2016年5月の中古マンション価格は、前月比+0.7%の3,452万円となりました。
特に東京では、23ヵ月連続で上昇しており、23区内の70平方メートル当たりの中古マンション価格は5,268万円と、ここ数年で最も低かった2013年1月に比べ実に約1,300万円、33%の値上がりとなっています。
新規に開発できる土地が少なくなったこと、建築費が高騰したことなどから、価格が高騰した新築マンションに割高感を覚えた顧客が、中古マンション市場に流れたことを伺わせるデータです。
双方の差は縮まりつつあるとはいえ、23区内の新築マンションが1平方メートル当たり106万円、中古マンションが1平方メートル当たり75万円なので、依然として約30万円の差があります。
しかし、このところの中古マンション価格の上昇は、新築マンションに対する価格優位性を失わせつつあり、設備面、特に耐震性を含めた安全面に関しては、新築マンションに優位性があります。
「都心に住むこと」が目的の購入層以外は、東京23区との価格差が広がり、さらにお得感が出てきている、埼玉、神奈川、千葉といった都心近郊のマンションへの関心を高めていくかもしれません。

マンション価格にゲームが影響?!

不動産投資に関する興味深いトピックとして、国内外で大変な話題を呼んでいる任天堂のゲーム「ポケモンGO」が今後の不動産市場に影響をもたらすのではないか?という話題が、業界内で挙がっていることを指摘しておきます。
「ポケモンGO」は、現実の街中で、ポケモンを探して捕まえるというゲームですが、人気のポケモンがいるスポットに無断で立ち入る人が増えたことがニュースで伝えられています。病院や神社といった施設にまで立ち入る事態が起こり、人が来ることを逆手に取った犯罪まで発生して社会問題になりつつあります。
日本での配信開始は7月22日で、テレビなどでも大きく取り上げられて話題となっています。また、「ポケモンGO」との提携を発表したマクドナルドの株価が、その詳細が未定にも関わらず大幅に上昇するなどの現象が発生しました。
ゲーム内の重要なスポットである「ポケモンジム」や「ポケストップ」になった施設の周りに人が集まり、経済効果が生まれ、ゲームの世界が現実に大きな影響をもたらしているという、一昔前では考えもできなかった仮想と現実の融合がAR技術により実現しています。
渋谷や原宿など、都心のほうが地方よりもポケモンの出現率が高く、また、上記のスポットも多く設置されているため、熱心なユーザーが集まっているようです。
もしかしたら、非常に強力なポケモンや有名なポケモンを捕獲できるスポットが、所有する不動産物件の近くにあるとセールスポイントになるかもしれません。
不動産は今、新しい時代に突入しつつあるようです。

不動産市況をしっかり確認しよう

最後に、首都圏での新築マンション竣工ペースは一段落の様相を見せています。その一方で、資金的に新築マンションの購入が難しい層が、中古マンションに流れて人気が上昇しています。
こうした変調を見逃さず次の一手を用意することが、不動産投資で成功する秘訣です。常に市況を注意深く見ておくことをお勧めします。