オリンピック開催で今後どう変わる? 知っておきたい湾岸エリアの計画

2020年に東京オリンピック開催が決まり、施設建設を始めとするインフラ整備の必要から、国は財政出動を行っています。その財政出動により、日本にもたらされる経済効果を期待した「オリンピック景気」という言葉が、一時期もてはやされたほどです。
今回は、東京オリンピックに伴う開発の中でも、競技場の数が多く大きな開発が予定されている「湾岸エリアの計画」に注目してみました。

湾岸エリアの地価について

「湾岸エリア」は今、インフラ設備の改修や建設がさらに進むことで、人口増加が見込まれています。例えば、競技場が新設されれば、そこでイベントが行われ、たくさんの人がやってくるでしょう。そのため、商業施設が増えて、街が活性化すると予測されています。
利便性が高くなれば、そこに「住みやすさ」を感じる人たちが集まり、今度は「人が多いから商売になる」と感じた企業が集まります。結果的に需要が高まって、不動産価格は上がります。

湾岸エリアの具体的な開発計画

東京オリンピックに向けて2016年7月現在、湾岸エリアで計画、実行されている主な開発は次の通りです。
1. 晴海エリアの選手村予定地に大規模マンション
2. 環状2号線(新橋~有明)の延長
3. 各種スタジアムの建設

これらについて詳しく見ていきます。

1. 晴海エリアの選手村予定地に大規模マンション

晴海エリア(現在「晴海埠頭」と呼ばれている場所)には、オリンピック出場選手やその関係者が宿泊する「選手村」が建築されます。そこに建つ大規模マンションは、オリンピック終了後はそのまま分譲マンションとして供給される予定です。
もちろん、まだ売り出し価格は公表されていませんが、70平方メートルの部屋で7,000万円以上になると言われています。かなり高額ですが、この価格設定には根拠があります。それは、オリンピック開催の決定後に、最寄りの勝どきエリアに住友不動産が総戸数1,450戸の「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」という新築マンションを売り出しました。
2000年~2010年までは、勝どきエリアの新築マンションの分譲価格は、坪単価200万円台前半でした。ところが上記のDEUX TOURSに設定された坪単価は、330万円程度(70平方メートルほどで約7,000万円)だったのです。そう考えると、選手村の分譲マンションが上記の価格になると予測されるのもうなずけます。晴海エリアの計画によって、地価同様マンションなどの不動産価格は上昇しています。
DEUX TOURSの他にも、坪単価300万超で総戸数712戸の「勝どきビュータワー」の分譲が始まりました。勝どきや月島エリアで、マンションの建設ラッシュが起きています。湾岸エリアは公的な計画以外に、民間での分譲マンション計画も加速していることが分かります。
また人口増加に伴い、公共施設の改修も着手されました。都営大江戸線「勝どき駅」は、2014年から駅の拡張工事を行っています。現行ではホームが1つで、出入口につながる階段やエスカレーターが2つしかない駅ですが、エスカレーターと出入口の増設に加えホームも増設する計画を立てています。

2.環状2号線(新橋~有明)の延長

かねてより環状2号線の延長工事は計画済みでしたが、なかなか進みませんでした。それが、東京オリンピック開催決定の影響もあり、工事は進められています。
環状2号線が完成すると、晴海やお台場などの湾岸エリアから、新橋・虎ノ門・赤坂方面へ行きやすくなります。湾岸エリアは、銀座や有楽町などの都心に近い点が魅力でしたが、新橋や赤坂方面へは直線的に行く道路がなく、迂回する必要がありました。しかし環状2号線ができれば、直線的に行くことが可能になります。
そのため、オリンピックの競技場へ向かうルートが、従来の晴海通り以外に環状2号線も利用できるようになるため、混雑が緩和され利便性も向上すると期待されています。

3. 各種スタジアムの建設

湾岸エリアに選手村が建設される一番の理由は、湾岸エリアにオリンピックの競技場が多数建設されることや、湾岸エリアにある既存の競技場を利用することです。東京オリンピックの競技用スタジアムとして、有明体操競技場・有明アリーナ・有明BMXコースなどの建設や改修が始まっています。
政府の意向により、これらの競技場の建築や改修がストップしたり再開したりと紆余曲折はありますが、いずれにせよ、湾岸エリアで多数のオリンピック競技が行われることには変わりありません。
湾岸エリアは東京オリンピックの会場として、「主役」の一つになりました。東京への五輪誘致が念願であった政府からすれば、「ようやく開発に着手できる」といったところでしょう。
東京オリンピックに関わる開発で、湾岸エリアの価値が上がっているのは事実です。しかしどこまで上昇するのか、オリンピック終了後はどう変わるのかという点はまだ誰にもわかりません。その動向については注視が必要です。
Roman Yanushevsky / Shutterstock.com