消費増税延期! 不動産価格は? 8%に上がった時を振り返ろう

2017年4月に予定されていた消費税率10%への引き上げを、2019年10月に再延長すると表明してから初めて行われた7月10日の参院選で、与党である自民党と公明党は両党で過半数を超える圧勝を収めました。
これを受けて安倍首相は、引き続き景気対策のために大型補正予算を組み、財政出動を行う「アベノミクス」を強化する方針を明らかにしました。今後、不動産価格はどのような動きを見せるのでしょうか。
そこで今回は、過去2回実施された消費税の増税が住宅購入にどのような影響を与えたのかを振り返り、今後の不動産価格を大胆に予想してみたいと思います。

過去、消費増税前の住宅購入状況はどうだった?

消費税は1989年4月に導入されました。当時の税率は3%。1997年4月に5%、2014年4月に8%と、段階的に引き上げられてきました。
国土交通省が公表している着工数の統計を見ると、3%の消費税導入前と税率5%引上げ前に着工数は大幅に増加し、その後、反動と思われる減少があったことがわかります。また、税率5%引上げ前の時には及ばないものの、8%への引上げ前にも着工数の伸びが確認できました。
ところで、住宅価格はどうだったのでしょうか。
不動産経済研究所が発表した2005~2014年の全国のマンション価格推移を分析した結果、消費税率8%が実施される1年前の2013年ごろから価格上昇の傾向が見られ、マンションの平均分譲価格が全国平均で4,174万円となっていたことが分かりました。2012年の平均価格は3,824万円です。増税前の駆け込み需要で1割近くも価格は上昇しました。
特に顕著だったのは2013年9月でした。不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向2013年のまとめ」によると、2013年9月は販売戸数5,970戸、契約戸数4,988戸、契約率83.6%と驚異的な数字を記録しています。
この理由として考えられるのが「消費税率引上げに伴う住宅に関する経過措置」です。消費税率8%を実施する際、政府は消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を緩和するため、2013年9月30日までに契約した住宅については旧税率を適用させるという措置を設けました。
購入予定者の多くがこの制度を活用しようと、利用期限までに契約を急いだと考えられます。

消費増税8%後、住宅購入状況はどうなった?

不動産経済研究所による全国のマンション価格推移などから、消費増税8%後の住宅購入状況を見てみると、増税前の駆け込み需要の反動で、2014年の全国マンション販売戸数は2013年よりも2割減少し、8万3,000台となり契約率も悪化しました。
その一方で、販売価格は全国平均で4,306万円と、2013年より100万円以上も上昇しています。消費税が5%に引き上げられた1997年は金融情勢が非常に不安定な年で、バブル崩壊後の地価下落で住宅価格が下がり続けていたことを考えれば、消費増税5%と8%の時では真逆の現象が起きていたことが分かります。
駆け込み需要の反動減を受けながらも、消費税率8%引上げ後に全国のマンション価格が上昇した理由は、アベノミクスによる金融緩和と円高の是正により、物価上昇率がプラスに転じて建築資材価格が上昇、また、人手不足による人件費の高騰が原因と考えられます。
特に金融緩和による投資の活性化、公共投資によるインフラ拡充などの影響を受けやすい首都圏のマンション価格は上昇が続き、消費マインドの低迷が深刻化しています。

消費増税10%による住宅取得の駆け込み及び反動減が起こるのはいつから?

19年10月に予定通り消費増税10%が実施された場合、消費税率8%への引上げ時と同様、住宅ローン減税の拡充や「すまい給付金」、「消費税率引上げに伴う住宅に関する経過措置」が適用される可能性は高いでしょう。
その場合、同措置の適用条件は2019年3月31日までに契約、または2019年9月30日までに引き渡し完了となるとみられており、首都圏のマンション市場などでは、2019年3月に向けて販売価格および契約率が徐々に高まっていくと思われます。
消費税率8%引き上げ時には、約1年前から駆け込み需要と見られる現象がありましたので、おそらく2018年の夏のボーナス時期ぐらいから、何らかの動きが見られるかもしれません。
ただし、不動産経済研究所の「首都圏マンション市場動向2016年(上半期)」によれば、6月の首都圏のマンション契約率は7割を切っています。また、首都圏の建売住宅の契約率は5月3割台、6月5割台と、少し元気のない状況が続いています。
首都圏のマンション価格はここ2ヵ月ほどで下がってきていますが、消費マインドを回復させるまでには至っていません。それにはまだもう少し時間が必要と思われます。

中古市場は消費税の影響を受けにくい

最近、注目を集めているのが消費増税の影響を受けにくいとされる中古マンション市場です。売主が個人である中古住宅は、消費税が不要なうえに新築物件より価格が安いので、若者を中心に需要が高まってきています。
購入した中古住宅をリノベーションして、自分の好みの内装や設備に入れ替えるのが人気で、中古マンションの価格も上昇の兆しを見せています。今後の不動産市場を見る上で、中古市場の動向には注意しておく必要がありそうです。
さて、今回は消費増税をめぐる不動産市場の動向について、過去を振り返り、将来を予測してみました。恐らく、増税前の駆け込み需要はあるでしょう。
しかし投資家としては、同じように「増税前が買い時だから予算内で買えるところを買おう」というのではなく、十分に吟味したうえで資産価値の高い物件を選ぶことが、投資を成功に導く近道になると思います。国内だけでなく、世界的な経済情勢にも考慮しながら、不動産市場動向は予測しましょう。