富裕層が行う不動産の分散投資術

不動産に限らず、投資を行う場合、リスクヘッジは非常に重要です。外国為替証拠金取引(FX)であれば、複数の通貨ペアに投資を行います。株式も購入銘柄を異なる複数の業界に分散したり、変動率が高いものと安定性が高いものを組み合わせたりすることで、一気に財産を失ってしまうリスクを防いでいます。
投資である以上、不動産投資においてもリスクヘッジの考え方は必要ですが、例えば資金に余裕のある富裕層は、どのような分散投資をするのが良いのでしょうか。

単身者向けとファミリー向けなど用途の異なる物件を持つ

まずは、不動産投資物件の「種類」を分散させることを考えましょう。
例えば、単身者向けのアパートは入居者の流動性が高く入居が決まりやすい一方で、2年毎の契約更新の時期に退去する可能性も高いということになります。そのため、入居者募集の手間が発生しやすく、稼働率という点では安定に欠けるという面があります。
対処方法としては、広い部屋面積は必要ないので、部屋数を増やすことでリスクを減します。
その一方で、ファミリー向けの物件は、簡単に入居者が決まらないもののいったん入居すると長く住んでもらえることが多いので、単身者向けよりも稼働率の面で安定性があります。ただし、最低でも部屋数は2DK以上が必要で、部屋の広さや設備も充実させなければなりません。
また、住宅以外にも、手間の掛からない駐車場、一度契約すればやめる人が少ないレンタルボックス、高い収益が見込める民泊など、それぞれの物件の特性を見極めて組み合わせることで、不動産投資でもリスクを分散することが可能です。また、都心部と郊外、東京、大阪、名古屋など、エリア的な物件の分散も有効です。

成長の目覚ましい国へ不動産投資を行う

不動産投資の対象として最初に選ぶのは、「自分が住んでいる地域周辺」という人がほとんどです。近場なので物件を何度も見に行けますし、地域のことをよく分かっています。また、不動産屋に何度も通うことができて、情報も収集しやすいので、リスクも低めと言えます。
しかし、日本は既に人口減少のサイクルに入っています。東京、神奈川といった都心やその近郊は依然として人口増加の傾向にありますが、東北や中国地方などでは人口減少が顕著です。2040年には、2015年と比較すると人口が2,000万人減少、全都道府県でも人口が減少するという予測もあります。
さらに、少子高齢化がこれに追い打ちをかけます。土地や家が余る時代になれば、不動産の賃貸需要も減ります。
もちろん、老人向け物件の開拓、海外富裕層の受け入れ、移民への対応など、日本国内でさまざまな対策が実施されるでしょうが、ここは発想を転換して、国外不動産投資に乗り出すという選択肢もあります。
経済成長の目覚ましい中国などで人口が増えれば、当然、住宅需要も高まります。急速に人口が増加する国の物件を購入すれば、賃貸収入以外に売買益も見込めます。
新興国だけではなく、観光需要の高い国のリゾート物件などもそうした対象になります。グローバル化が進んだ今は、日本に住みながら海外不動産投資をすることも可能なのです。

今、日本人投資家の人気が高い国「フィリピン」

海外不動産投資で、日本人の人気が特に高いエリアは東南アジアです。そして、その中心にあるのがフィリピンでしょう。フィリピンのマンションなどを購入する投資家が増えています。
人気の理由としては、まず物価の安さが挙げられます。フィリピンの富裕層が住むコンドミニアムのようなマンションでも、日本の価格の10分の1程度となっています。また、不動産投資家向けのクオータービザ(永住権)を取得すれば、現地の銀行から融資が受けられるので、現金がなくても不動産投資が始められます。
また、他の東南アジアの国々と比較すると距離が近く、日本との往復も容易で、現地の様子を見に行きやすいこともアドバンテージとなっています。現地の公用語が英語で、英語が出来る安価な労働力市場としての期待も高く、将来的な経済成長が見込まれています。
さらに、人口構成で若年層が多く、人口が増加傾向にあることも見逃せません。フィリピン国民は日本に対して親近感を持っており、現地では日本のアニメが大変な人気です。こうしたことも、投資しやすい環境と言えます。
ただし、現地の業者が日本人投資家を対象にしたツアーを頻繁に開催していますが、中には悪質な業者もいるので注意が必要です。いずれにせよ、発展が見込める国への不動産投資は検討する価値があると言えます。

リスク回避を考えよう

FXや株式などの金融商品と比較すると、不動産の下落リスクはそれほど高くはありません。しかし、物件あたりの購入コストは高いので、富裕層であっても購入には慎重にならざるを得ない面があります。
リスクを回避するために、計画的な分散投資を行ってください。また、海外旅行の機会があったら、レジャーを楽しむだけではなく、不動産投資の視点も養うようにしましょう。