人口予測データでみる不動産の二極化とは?

不動産投資を成功させるために、絶対に外せないポイントとは何でしょうか?
「長期的」かつ「安定的」に収益を生み出す物件を見つけることは何よりも大切でしょう。将来にわたって人口が減らない地域の物件を購入できれば、不動産価格の暴落や空室・家賃下落などのリスクも極力回避できるはずです。
今回は都心部の人口予測データを通して、今後、人口増加が見込める地域と減少する地域を洗い出し、「不動産の二極化」について考えてみたいと思います。

2040年、足立区と葛飾区は人口が2割減

2010年の国勢調査をもとに、国立社会保障・人口問題研究所が2010年~2040年までの30年間を5年ごとに区切り、都道府県別・市区町村別に将来人口を算出した「日本の地域別将来推計人口(13年3月推計)」があります。
まずは東京都内の人口予測を見てみましょう。
東京23区内で、2010~2025年の間に人口が増えると予測されたのは、千代田区、中央区、新宿区など14区です。このうち2040年の人口が10年時よりも増加していると予測されたのは6区のみでした。中でも中央区の伸び率は高く、2025年がプラス16%、2040年もプラス14%を維持しています。
逆に、2010~2025年の間に人口が減少すると予測されたのは、台東区、目黒区、渋谷区など9区で、特に足立区と葛飾区の2区は、2040年には2010年と比較すると20%も減少するという予測です。
23区以外の市町村では、住みたい街ランキングで常に上位の「吉祥寺」を擁する武蔵野市が、2025年にマイナス3%、2040年にはマイナス10%超になるという予測があります。また、郊外の青梅市や福生市でも、2040年の人口増減率はマイナス25%と大きく落ち込むと予測されています。
他方、武蔵野市に隣接する三鷹市、東村山市や稲城市では、2025年、2040年ともプラスの予測結果が出ています。

首都圏でも顕著な人口増減率の格差

東京以外の首都圏についてはどうでしょうか。
まず神奈川ですが、横浜市都筑区と川崎市高津区の2地区は、2025年と2040年の人口増減率がともにプラスの予測です。
特に、自然と共生する街として有名な「港北ニュータウン」を擁する都筑区では、2025年がプラス17%、2040年にはプラス25%と、大幅な人口減少が予測されるなか驚異的な伸び率となっています。
広域道路網の整備や鉄道交通アクセスが便利なこと、交通網の開発計画が複数あることなど利便性の高さが背景にあると考えられます。
反対に、横須賀市や三浦市などでは人口減少率が高く、保養温泉地として有名な箱根、真鶴の2町にいたっては、2040年の人口が2010年時の半数になるという深刻なものです。
千葉県の銚子市や南房総市では、2040年の人口が2010年時の5割近くまで落ち込むほか、特に海水浴や観光の拠点として賑わう内房・外房のほとんどの地域で、2040年の人口が2010年時の6~7割近くになるとされています。
今後、観光地の別荘やリゾート物件などの不動産投資には慎重な姿勢が必要かもしれません。
また、埼玉県では、秩父市や幸手市など10地域で、2040年の人口が2010年時よりも5~6割減少すると予測されています。

「人の二極化」が「不動産の二極化」をもたらす

東京を中心に、首都圏での人口増加・減少の予測を見てきました。人口の偏りと聞くと、単純に「東京圏」と「地方」の格差と考えがちですが、都内および首都圏内だけを見ても、このように「二極化」が進むのです。当然ながら、地方の人口減少はさらに顕著です。
人の多い地域には街があり、仕事があり、豊かな暮らしがあります。人々は、より人の多い地域に流れるようになり、人口の「二極化」は加速化します。そして、人の多く集まるエリアでは、不動産の需要が増して価格が上昇します。逆に人の少ないエリアでは、需要は減り、価格は下落します。
人の二極化は、「儲かる不動産」と「儲からない不動産」の二極化も同時にもたらすのです。

人口増加率・全国14位の「村」とは

人口増減率という点で、興味深い事例を一つご紹介しておきましょう。富山県の舟橋村をご存じでしょうか。北陸地方唯一の村であり、面積が最も小さい市町村として知られています。
しかしこの村は、平成22年国勢調査で、人口増加率が11%で全国14位、幼少年(15歳未満)人口の割合が21.8%で全国1位に輝きました。しかも、2040年の人口は2010年時よりも14%も増加すると予測されています。
その理由は、子育て世代にとって住みやすい環境が整っているからであると言われています。舟橋村には、駅舎に併設した図書館があります。この図書館は赤ちゃんから年配の方まで幅広い年代が利用できると評判の図書館で、村外の利用者も多く日本で一番子どもにやさしい図書館といわれています。
そして、舟橋村は富山市から車で20分のベッドタウンです。都心や駅近のような優れた立地条件でなくとも、住みやすい環境や施設を備え人口増加を促すような施策があれば、人の流出は免れるという好例でしょう。
人口減少に向かう日本では、今回紹介したような人口の「偏り」は避けられません。不動産投資を成功させるには、街の今だけでなく、将来を見極めることが重要となります。
それは、単に街の規模や都心からの距離だけで測れるものではなく、舟橋村のように小さくとも人が住み良い街づくりがされているかという点も重視すべきです。そして、将来の人口予測という視点が、不動産投資を成功させるために、大切なポイントになっていくのではないでしょうか。