2016年「民泊」最新情報まとめ

個人や一般家庭の戸建て住宅やマンションに旅行者などが有料で宿泊する「民泊」は、空き家問題の解決や訪日外国人の宿泊施設不足を解消する手段として期待されています。
今回は、民泊に関する最新情報を紹介するとともに、民泊運営への影響について解説します。

民泊市場を取り巻く環境について

1. 訪日外国人の増加

訪日外国人は、2015年に1,973万人を突破し、2011年の621万人と比較して3倍以上となりました。
2016年も、国土交通省から発表されている1~6月までの訪日外国人は、前年比28.2%増の1,171万人となっており、今年は2,000万人突破が濃厚です。こうした訪日外国人の増加に伴い、民泊需要もさらに高まることが予想されます。

2. 違法民泊業者の問題

その一方で、急速に拡大する民泊需要に、制度や規制・監視体制が整っておらず、違法業者も増加しています。
東京都台東区では、民泊を無許可で営んだとして2016年7月13日に、民泊業者とその子会社の2社が旅館業法違反(無許可経営)容疑で書類送検されています。2015年から2016年にかけての1年間で、約1,300人を無許可で宿泊させ、1,300万円以上売り上げたとされています。
現在は、このように事業単位で違法な運営をしている会社が書類送検されています。いずれ法整備が整うにつれて、監視体制はより厳しくなるでしょう。

3. 「民泊サービス」の新制度

厚生労働省は2016年6月20日、「『民泊サービス』の制度設計のあり方について」という最終報告書を発表しました。
家主居住型(ホームステイ)と家主不在型の規制の区分けや、仲介業者に対する規制などが盛り込まれていますが、民泊運営として最も重要なのは年間提供日数を「半年未満(180日以下)」とする点でしょう。
年間提供日数を180日以下とする案は、5月13日に行われた「第10回「民泊サービス」のあり方に関する検討会」の中で検討されています。
ある委員が提出した資料において、初期投資や平均稼動日数などを試算して「年間180日以下の稼動日数制限がある場合、経営的観点からビジネスとしての参入は不可能」とされていました。他の委員の資料においては、30日以内にするべきという提案がされました。
自分たちのライバルが増えるわけなので当たり前といえば当たり前ですが、旅館業を営んでいる人たちは、民泊をビジネスとして行うことに対して否定的です。
なお、年間180日以上の民泊運営を行うためには、旅館業法の許可を得て簡易宿泊所として運営することになります。しかしそのためには複数の条項を満たさねばならず、事業者として本腰を入れて勉強する必要があります。

4. 今後の展開

訪日外国人は2016年も増加しており、民泊需要はさらに高まると予想されます。
しかし、ビジネスとして民泊を運営することは、上述した通り当面は厳しい状況になりそうです。新制度が施行されてから民泊を行うためには、一般的な賃貸経営と民泊事業のハイブリット経営など、オーナーは柔軟な対応が必要になりそうです。
ただし、取り巻く環境は厳しいものの人口減少による国内需要の低下を考えると、訪日外国人の民泊需要の取り込みは不動産経営で生き残るためには必須となる可能性があります。

5. 民泊 「2泊3日以上」に短縮

2016年10月25日付の日本経済新聞社の報道によると、民泊での最低宿泊日数を「6泊7日以上」から「2泊3日以上」に短縮することが閣議決定されました。31日付けで施行されるようなので、この規制による企業の民泊事業への参入障壁が低くなったと言えます。

民泊事業の新サービスについて

民泊需要の高まりとともに、民泊に活用できるサービスが次々に登場しています。以下にその一部を紹介します。

1. 後付型電子錠の登場

EPIC社より、後付型電子錠「N-TOUCH/TOUCH」が2016年7月1日に発売されました。既存の扉に後付けできるため、今あるご自宅や所有物件を民泊にするためのセキュリティ向上が簡単にできます。
1度だけ解錠が可能なワンタイムパスワードが設定でき、その後、部屋に設置したICカードがキーとなるという仕組みで、宿泊者との鍵のやりとりが必要なくなります。

2. Airbnbメッセージ・電話対応代行サービス

株式会社オックスコンサルティングによる、民泊・Airbnbのゲスト対応代行メッセージ・電話代行サービス「My Messenger」が2016年7月13日に開始されました。
専属のネイティブスタッフのみを採用した品質の高いサービスでありながら、メッセージや電話対応代行に特化することで、サービス料金を月額2万円/物件に抑えることが可能となっています。

3. スーパーホストの清掃

株式会社Cultures Factoryの「purity」は、2015年7月からサービスを提供している、Airbnbのスーパーホスト(Airbnbで、かなり厳しいレビュー評価や基準をクリアしている住居提供者)が運営を行う清掃代行サービスです。
スーパーホストとしての実績と民泊のノウハウがあるため、品質の高い清掃サービスが期待できます。

民泊を成功させるためには

今回は、民泊についての最新事情を、「環境」と「サービス」に分けて紹介しました。
民泊を規制する動きも見られる中、民泊事業は各サービスに特化した業者やツールを利用して高い品質を提供しつつ、宿泊料金に競争力を持たせる必要がありそうです。
今回紹介した内容を、民泊事業を展開している方や、今後検討されている方は是非参考にしてみてください。