「IRR」とは? 不動産投資における重要指標を解説

皆さんは「IRR」という言葉をご存じでしょうか。
「internal rate of return」の略で、「内部収益率」のことを指します。不動産投資における重要な指標で、この内部収益率が高ければ高いほど、投資効率がいいと判断することができます。
今回はこのIRRの計算式をはじめ、IRRを通して本当の意味で効率の良い不動産投資を行うために必要な事項について整理していきます。

IRRの計算式

まず、IRRの計算方法についてご説明します。計算式は以下の通りです。
0=C0+ C1/(1+r)¹ + C2/(1+r)² + C3/(1+r)³ …+ Cn/(1+r)n
C0=投資額(100万円の投資の場合、C0=-1,000,000)
C1=1年目の収益
C2=2年目の収益
C3=3年目の収益
Cn=n年目の収益(投資終了年:元本返済や投資対象の売却を収益に含む)
この計算式を満たす、「r」の値が、内部収益率(IRR)となります。
実際にこの計算で「r」を導くには、Excelの「IRR関数」を利用すると便利です。C0~Cnの値を連続したセルに入力し、別のセルに「=IRR(C0のセル:Cnのセル)」とすれば算出できます。

IRRの計算式が持つ意味

次に、上記のIRR計算式が示す意味について考えてみます。
計算式では、「n」の値が大きいほど、除数は大きくなっています。ここから分かるのは、IRRの計算においては、将来的な収益よりも、直近の収益が評価されるということです。具体例をみてみましょう。
100万円を投資し、以下の2例の結果が得られた場合、どちらも10年後の利益は50万円です。
例1. 1年目に150万円の収益、その後9年間の収益は0円
例2. 9年目までの収益は0円、最後1年間の収益は150万円
しかし、それぞれIRRを計算すると、例1ではIRR=50%、例2ではIRR=4.14%となり、例1の方が効率の良い投資ということになります。
なぜ、10年後の利益は同じであるにも関わらず、例1の方が効率のいい投資となるのでしょうか。それは、IRRは「複利効果」を加味した値になっているからです。
100万円を利回り4.14%で運用し、投資から得られる収益も再投資した場合、10年後には150万円となります。逆の考え方をすれば、利回り4.14%で運用できる環境では、10年後の150万円は現在の価値に置き換えると、100万円の価値しかないということになります。
不動産投資は、元本返済や売却までを考慮しなければ、本当の意味で効率のいい投資とはいえません。
例えば、1,000万円の不動産を購入し、毎年100万円の賃料収入がある場合、年利10%の高利回り投資であるといえますが、10年後に不動産の価値が200万円になってしまう場合、IRRは3%となります。
つまり、10年後に元本が満額返済となる年利3%の投資を行うのと変わらないため、高利回りとはいえません。

どのような不動産を選ぶべきか

こうしたIRRの考え方をもとに、どのような不動産を購入するべきかを考えます。ポイントは2つあります。
1つめは、キャッシュフローを生む不動産に投資するべきということです。多くの場合、金融機関から借入をして不動産投資を行いますが、収益のほとんどが金融機関への返済に充てられると、収益は複利効果を発揮できません。(返済した金額分を新たに借入れ、次の投資を行う場合は別)
また、キャッシュフローを生まない不動産投資では、退去時の設備交換にお金を掛けられず、賃料を下げなければ次の入居者が決まらない状況に陥る可能性があります。賃料(収益)が下がれば当然IRRも下がります。
では、キャッシュフローを生む不動産とは、どのようなものでしょう。
それは利回りが高く、融資期間を長く取れる不動産です。最近では、木造アパートでも30年以上の期間で融資してくれる金融機関が多いです。また建築条件にもよりますが、アパート投資は同地域の区分マンションや一棟マンション投資よりも、比較的利回りが高くなる傾向にあります。
2つめは、資産価値の下がりにくい不動産に投資するべきということです。目先の利回りが高くても、資産価値の下落が激しい不動産は、結果的に効率のいい投資にはなりません。その地域の人口推移や賃貸需要を考慮し、将来的な賃貸ニーズがあるかを考えて不動産の選定を行うようにすることが大切です。
IRRの高い不動産投資を行うということは、多くのキャッシュフローを生み、かつ資産価値の下がりにくい不動産を購入するということになりますが、両方の条件が揃っている不動産はまずありません。
資産価値が下がりにくい人気の地域は、そもそも不動産価格が高いため、利回りは低くなりがちで、キャッシュフローが少なめになる傾向にあります。一方、利回りの高い地方の不動産は、将来的な人口減少の可能性が高く、資産価値の下落が懸念されます。
利回りや融資期間、資産価値の下落リスクを加味した不動産の選定を行うことが、本当の意味で効率のいい不動産投資を行うことになります。今後は、投資検討の不動産に対してIRRの計算を行い、購入の是非を判断していただければと思います。