高齢者の入居者問題をIoTが解決する? スマート住宅のススメ

2016年6月に総務省が発表した「平成27年国勢調査」によれば、全人口の26.7%が65歳以上の男女であるという結果が出ました。国民の4人に1人が高齢者・シニア世代となった今、「高齢社会」はすでに現実のものとなりつつあります。
さらに、2016年7月に厚生労働省が発表した「日本の統計」では、2015年時点での日本人の平均寿命は男性80.79歳、女性87.05歳と、過去最高となっています。長生きする高齢者の割合が増えるにしたがって、高齢者の1人暮らしの割合もさらに増えていくと考えられます。
そこで今回は、今後、増加が見込まれる高齢者の入居問題と、その需要に対応するための「IoT(モノのインターネット)」の活用について解説します。

高齢者の入居リスクを懸念するも、受け入れざるを得なくなる

高齢者が賃貸物件に入居すると、若者やファミリー層とはまた違った問題が出てきます。オーナー側が懸念する最大の事項は、部屋の中で亡くなるリスクが若年層に比べて高いことです。家族と住んでいれば誰かが異変に気付くこともできますが、1人暮らしの高齢者の場合、倒れてから数日間、誰にも気付かれなかったという事態もあり得るでしょう。
もし、自分の部屋でこのような問題が起こった場合、物件の価値は下落しかねません。また、身寄りのない高齢者の場合、入居時に保証人になってくれる人がいないケースも考えられます。
最近では、専任スタッフが常駐して安否確認を行うなど、さまざまな設備を備えた「サービス付き高齢者住宅」も増えています。しかし、一般的な住宅に比べると家賃は高くなる傾向にあり、収入や資産などが十分でないと入居審査で落とされることもあります。
それならば、単身高齢者であっても身の回りのことを自分でこなせて介護の必要性がなければ、1人で暮らすという選択はごく自然なことなのです。
冒頭で示したように、今後は人口が減少して高齢者の比率が増えることは明らかです。今後増加する高齢者の賃貸住宅入居に関して、オーナー側で対応できることはどのようなものがあるのでしょうか。

生活に普及しつつあるIoTを不動産活用し、高齢者需要に対応する

近年はIT技術の発達により、上述の高齢者の賃貸住宅入居に関して、オーナー側で事前に対策が準備できるようになっています。
例えば、家電製品にIoTを活用した「スマート家電」(通信機能を搭載して遠隔操作などを可能にするなど)が挙げられます。もちろん、スマート家電も有効な方法の一つですが、IoTのサービスの中から、特に高齢者対策への活用が期待できる最新IoTを紹介します。

1. Nest Protect

アメリカのNestが販売している「Nest Protect」は、室内の一酸化炭素・煙・熱・動作などをセンサーで察知し、スマートフォンに通知してくれる火災警報器システムです。
高齢者で多いのが、冬場にストーブをつけたまま眠ってしまったり、コンロで火を付けたことを忘れて外出してしまったりといった事例です。
仮にそうした事態に陥っても、室内の様子は専用アプリから常に確認することができるため、火災リスクを減らすことが可能です。また、火災が起きた時には、音声で避難経路の誘導も行ってくれます。

2. おげんきりずむ(仮称)

「おげんきりずむ(仮称)」は、NTTコミュニケーションズが事業化に向け開発を進めている高齢者生活見守りサービスです。
高齢者の世帯にセンサーを設置し、電力の利用状況に応じて入居者の活動・睡眠時間などをアプリでデータ化、スマートフォンから確認するというものです。監視カメラなどとは異なり、センサーで感知するため、高齢者のプライバシーが守られるというメリットもあります。
また、室内で電力が長時間使用されていない場合には、「ちょっと心配メッセージ」が通知され、入居者の変化を早い段階で知ることも可能です。
同サービスは2015年8月、金沢西病院(石川県)でフィールドトライアルが開始されました。正式なリリースはまだのようですが、今後の展開が期待されます。

まとめ

人口減少・高齢社会が確実なものとなる中、オーナーも高齢者の入居を受け入れることが必要になるでしょう。オーナーは、今回紹介したようなIoTのサービスなどを積極的に取り入れることで、単身高齢者のさまざまなリスクを軽減できるでしょう。
さらに、人口減少に伴い賃貸物件が供給過多に向かうと考えられます。しかしその際、IoTサービスなどの設備投資は、それ自体が他物件との差別化を図るうえでも効果的でしょう。
IoTを活用したサービスは、今後もさらに開発・運用されると予想されます。アパート経営に上手に取り入れ、今後の高齢者需要に対応しましょう。

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