意外と知らない「旧耐震」。補助が出る今が狙い目?

よく言われる中古物件の選定基準の一つに、「1981年6月以降に建てられているかをチェックする」というものがあります。その理由は、1981年6月の建築基準法改正に伴い、耐震基準も大きく変わったことにあります。改正前の耐震基準を「旧耐震」、改正後の耐震基準を「新耐震」と言います。
これについて最近、行政から「旧耐震」で設計された物件に対して、助成制度が導入されたことをご存じでしょうか。今回は、旧耐震の物件に対する助成制度と、助成制度を活用した投資について考えてみます。

「旧耐震」への助成制度とは

1981年6月1日に行われた建築基準法改正により、構造計算上で必要な耐力壁の量や、軸組みの種類と倍率についての改正が行われました。簡単に言うと、改正以前よりも丈夫な建物でないと、建築が認められなくなったのです。
実際、この新しい耐震設計基準(新耐震)による建物は、阪神大震災においても被害が少なかったといいます。このため、不動産投資に関する書籍や情報サイトの多くは、「新耐震基準で建てられている建物であること」を中古物件の選定基準としています。ここまでの内容についてはご存じの方も多いのではないでしょうか。
そして、改正前の設計基準(旧耐震)の物件に対する助成制度を行政は導入しました。助成範囲や助成内容は、区や市によって異なります。実際に助成制度を利用する場合には、対象物件が存在する区や市のホームページを確認してください。

東京都における助成制度

東京都における助成制度(2016年8月現在)について、詳しい内容を以下に紹介します。

● 対象物件

1. 「1981年5月31日以前に建築されていること」これはほとんどの区において条件になっています。
2. 「区内業者に発注する工事であること」こちらは中央区の条件として明記されています。ホームページに条件が見当たらない区や市であっても、念のために確認しておいたほうがよいでしょう。
3. 「個人の場合、世帯全員が住民税の滞納をしていないこと、及び世帯全員の所得の合計が800万円以内であること」こちらは新宿区の条件として明記されています。既に数棟のアパート経営をしている方にとっては、所得が800万円以内というのはかなり厳しいハードルです。法人化されている場合は、中小企業であることが条件とされています。
4. 「その他」住民税や固定資産税を滞納していないことを条件に明記している区や市もあります。条件に記載されていなくても、滞納している場合には助成を受けられない可能性が高いと考えてください。不動産投資を考えている方が滞納することはないと思いますが、払い忘れは金融機関の融資時にもチェックされる内容なので注意しましょう。

● 補助の内容

中央区では、所定の条件を満たした場合に、以下の補助が受けられます。同様の補助を設けている市区町村もありますので、詳しくは直接お問い合わせください。
1. 「耐震診断」対象物件の耐震診断を無料で行ってくれます。
2. 「耐震補強工事」木造建築物に対して、工事費用の2分の1(限度額300万円)の助成金があります。

補助制度の活用方法

耐震診断や耐震補強工事を行うだけでは、旧耐震の物件が耐震補強されただけなので、特に旧耐震の物件を購入するメリットにはなりません。活用方法としては、以下が考えられます。

● 耐震工事と同時に大規模なリフォーム作業を依頼

耐震工事に対しては、値引き無しで工事を請け負ってもらい、その代わりにリフォーム工事に対して大幅な値引き交渉を行うというのが一つの方法です。旧耐震の物件は築年数が経っており、物件価格もリーズナブルです。助成金を活用した割安なリフォームを行うことができれば、築年数を感じさせない賃貸物件として貸し出すことができます。
加えて取得価格が低いので、築浅物件とも価格競争で勝つことができるでしょう。築浅で賃料もそれなりに高い物件と、築古でも築年数を感じさず内装も新築同様の割安賃料の物件の場合、後者を選択する入居希望者は必ずいます。

● 助成金を建て替え費用として使用

区によっては、旧耐震の物件の撤去や建て替え費用を助成してくれるところもあります。土地から取得して新築アパートを建てたい方は、あえて旧耐震の築古物件を探して購入し、助成金を新築費用に充てるのも一つの方法です。
また、物件購入時には、売主側に「更地に戻さなくて良い」という条件で、撤去費用分の価格交渉を行うという方法もあります。
物件として弱みだった内容が、助成制度により強みに転じることがあります。現在の助成制度にはどのようなものがあるかを確認し、上手に活用した投資を行うことが大切です。少し前に終了した「省エネ住宅ポイント制度」も、古くなった内装を一新するには良いタイミングでした。
入居者に喜ばれる部屋作りを行うことが、長期的な安定経営につながります。利用できる助成制度はどんどん活用して、物件の価値を高めていただければと思います。