最新版! 主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~

活用されていなかった土地や建物を所有する権利者同士が、それらを持ち寄り、デベロッパーや行政の助けを受けながら、街を活性化させる「市街地再開発事業」。再開発が行われた街は、街の機能や景観などの魅力そのものを高められ、土地の価値も上がると言われています。
某大手デベロッパーの関係者からは、「駅前再開発の分譲マンションは、周辺相場の2~3割増のプレミアムが付く」という話まで出ており、マンション市場においても、再開発物件は資産価値の高い物件として認識されています。
その市街地再開発事業と密接な関係にあるのが「高度利用地区」です。
都市再開発法第3条には、「市街地再開発事業の施行区域は高度利用地区内でなければならない」と定められており、高度利用地区であることが再開発事業を行う条件になっています。
現在、再開発が行われていない地域であっても、高度利用地区であれば将来的な再開発の可能性は高く、こうした土地の地価動向を探ることは今後の不動産投資戦略を練る上で、大変重要な意味を持ちます。
そこで今回は、国土交通省が6月に公表した「主要都市の高度利用地地価動向(地価LOOKレポート)」を参考に、最新の高度利用地に関する地価の動向をみてみましょう。

最新の主要都市の地価動向が読み取れる「地価LOOKレポート」

今回、私たちが参考にする「地価LOOKレポート」は、国交省が日本不動産研究所に委託して、毎年1月1日、4月1日、7月1日、10月1日の計4回実施しているもので、6月に公表されたものは、2016年第1四半期 (2016年1月1日~4月1日)の動向になります。
調査対象は三大都市圏や地方中心都市など、特に地価動向を把握する必要性の高い地区で、東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方中心都市等23地区 の計100地区です。なお、今期は熊本地震の影響により、熊本市を除く99地区(住宅系地区32地区、商業系地区67地区)で実施されました。

上昇地区が全体の9割、高水準を維持

それでは調査地点99地区の総合評価を見てみましょう。
今回の上昇地区は89(前回89)、横ばい地区は10(前回11)、下落地区は0(前回0)で、上昇地区が全体の9 割を占めるなど、前回と同様に、上昇地区の割合が高水準となりました。また、32ある住宅系地区のうち、上昇地区は26(前回26)、横ばい地区は6(前回6)で、約8割の地区が上昇しました。
67ある商業系地区では、上昇が61 地区(前回61)、横ばいが6 地区(前回6)となり、9 割超の地区で上昇が確認できました。
次に上昇地区の変動率です。
● 0~3%
71 地区
● 3~6%
住宅系2地区:宮の森(札幌市)、番町(東京都千代田区)
商業系14地区:駅前通(札幌市)、銀座中央(東京都中央区)、日本橋(同中央区)、虎ノ門(同港区)、新宿三丁目(同新宿区)、渋谷(同渋谷区)、表参道(同渋谷区)、上野(同台東区)、金沢駅周辺(金沢市)、名駅(名古屋)駅前(名古屋市)、京都駅周辺(京都市)、心斎橋(大阪市)、三宮駅前(神戸市)、博多駅周辺(福岡市)
● 6%以上
商業系2地区:太閤口(名古屋市)、なんば(大阪市)
上昇地区の割合が高水準を維持していることに関して国交省は、「大都市圏を中心にオフィス市況の回復基調が続き、大規模な再開発事業が進捗している。訪日客による購買・宿泊需要も高水準で推移しており、金融緩和などによる良好な資金調達環境を背景に、法人投資家などの不動産投資意欲が引き続き強いことが原因」との見解を示しています。

再開発地区の地価動向、堅調に上昇

次に、圏域別の地価動向を見てみましょう。今回は、国内の不動産取引の大部分を占める東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)を中心に分析したいと思います。
東京で調査対象になったのは27地区で、全地区で上昇が確認できました。中野区中野駅周辺では、東京五輪までに駅ビルの西口改札・西口南北道路などの整備が行われる予定で、駅南口・北口でも再開発事業の動きが見られるなど、今後、相乗的な地域発展が期待できる地区という予想が出されました。
また、立川駅周辺では、今夏に駅周辺の再開発ビルが、今冬には立川基地跡地に複合施設が竣工する予定で、地価動向は引き続き上昇するという見方が示されています。
日本橋2丁目地区や日本橋室町東地区、都市再生特別地区に指定されている中央区日本橋、駅前を中心に複数の大規模再開発が進捗中の渋谷区渋谷は、地価上昇率が著しい注目地区です。今後も不動産投資家の投資開発需要などが見込まれると予想されています。
一方、神奈川で調査対象となったのは7地区で、こちらも全地区で上昇が確認できました。良好な交通利便性を備え再開発事業が進捗する川崎市中原区武蔵小杉では、新築分譲マンション市況が引き続き好調です。旺盛な不動産投資意欲を背景に、今後も優良物件を中心とした強い需要が続くと予想されています。
千葉の調査対象地区は5地区で、浦安市新浦安と柏市柏の葉を除く3地区で上昇が確認できました。
千葉市中央区千葉駅前では商業施設が閉店する一方、西口地区の再開発事業が進展しており新駅舎および3階商業ゾーンが今秋開業予定です。また、東口地区でも今秋に再開発事業が始動予定であることから、将来の地価動向は上昇すると考えられています。
最後に埼玉ですが、調査対象となった4地区のすべてで上昇が確認されました。さいたま市中央区ではJR上野東京ラインの開業、さいたま新都心駅東口・西口にある大型商業施設の順次開店などで、駅周辺地区の利便性が大きく向上し、マンション取得需要も旺盛であることが指摘されています。
また、所沢駅西口でも、鉄道車両工場跡地に複合商業施設の開発が予定され、駅周辺の街路整備などを含む大規模な開発計画があります。その他にも同東口地区では駅周辺を含む包括的な大規模再開発計画が予定されていることから、今後、土地取引が活発になることが見込まれています。
東京圏を中心に、「地価LOOKレポート」の分析結果をみてきました。
いずれの結果からも分かるように、将来的に地価動向が上昇すると判断された地区には、必ずと言っていいほど再開発事業が絡んでいます。複合商業施設の新規開業や新路線の乗り入れや、新駅開業などがある場合も将来の地価動向は上昇すると見られます。
アパートやマンションに投資を行う場合は、こうした条件も加味しながら、先行的な投資を行っていく必要があるでしょう。