ミニマリズムの生き方とアパート住まいの心地良さ

最小限のモノしか持たず、それでいて個性的に暮らす「ミニマリズム(最小限主義)」という生き方が注目されています。また、それを実践する「ミニマリスト」の存在も認知されてきました。
もともとミニマリズムは、余計な装飾を排してシンプルな機能を追求する目的で、美術、建築や音楽、ファッションなどの分野の最先端トレンドとして海外で広まりました。日本では「断捨離」が大きな話題になったこともあって、モノを極力持たないスタイルそのものとしても認知されています。
写真共有SNSのInstagramで「ミニマリズム(#minimalism)」を検索すると、400万件以上の画像があり、圧倒されます。画像情報のPinterestも同様で、「ミニマリストホーム」のカテゴリはどちらかというと、アパートなど一人暮らし中心の収納、インテリア紹介のようです。
今回は、収入が多くてもアパート暮らしでユニークなライフスタイルを実践しているというミニマリストの実態を探りました。アパート経営における、入居者ニーズのひとつのトレンドとしてご覧ください。

家族に「モノを持ちすぎ」と注意され…

最近、都心のアパートに引っ越した30代のAさんは、ミニマリストを自称する一人。IT企業に勤めるAさんは独身ですが、以前の住居は通勤1時間弱の1LDKマンションでした。わざわざマンションからアパートに引っ越したきっかけは、ミニマリズムに感化されてのことだそうです。
もともとはモノにこだわるタイプだったAさんは、収入が高かったこともあって、気に入ったものは時計からビジネスバッグまで、何でも高級品を揃えたことがあります。しかし、仕事が忙しく深夜に帰宅することも多く、休日は寝だめで大半が潰れる生活が続いた結果、体調を崩してしまったそうです。看病に来た姉からは「モノを持ちすぎ」と注意されたといいます。

ライフスタイルの変化も促す3つのルール

Aさんの「気付き」は早く、「多くのことを抱え込むよりも、シンプルに一つのことに集中する」「どれも中途半端にならないように、優先順位を考えて行動する」。そういう思いに至ったそうです。仕事でいうところの業務の改善とモチベーションアップにつながるようなものですが、ことはライフスタイルの変化にまで及びました。
通勤時間が30分の好立地に移ったことも行動を加速させさる要因となりました。改めて何もない部屋を見回し、ミニマリストとしてのコツと3つのルールを作り上げたそうです。それは、次のようなものでした。
1. 収納家具は置かない。モノはすべて押し入れなどに収納して、部屋をすっきりさせる
2. ベッドと机のみ(人によってはベッドも必要なし)のシンプルな部屋作りを目指す
3. お気に入りのラグや部屋に飾る絵など、素材にこだわった「いいモノ」は残す

Aさんの部屋に入ると、何も飾りのない白い壁が、すっきりと印象を際立たせ、清潔感があふれています。以前のようにモノがあふれ、生活道具が積み重なり、ポスターや好きなプラモデルで壁が埋まっていた状態は一変しました。

余計な設備は必要ない

また、以前の住まいにあった浴室換気乾燥機や、キッチンのディスポーザーなどの設備は、「必要ない」と決めました。今のアパートを選んだ決め手も、「築年数は古くても構わない、広めの部屋とシンプルなキッチンがあればいい」ということでした。このため、駅から近い物件を比較的楽に探せたそうです。
ゴミはできるだけ出さず、何もない部屋に物干しを1本渡して、洗濯物は楽に部屋干しします。単身の自由を満喫するAさんは。これまで引っ越しを続けてきましたが、今ではこのスタイルが気に入り、このアパートには長く住むことになりそうです。
今回は、ミニマリストの求める「住まい」がどのようなものか、その一端ながら知っていただけたかと思います。海外では、Aさんのように広い部屋からあえて小さめの部屋に移り、ミニマムな生活を選ぶ行動派が多いといいます。
ブームとなった「断捨離」は、とにかくモノを捨てて、モノに持っていたこだわりから離れるという理念のようなものも感じますが、Aさんのように環境を変えて心の変化を呼び起こすというライフスタイル派も増えていきそうです。
入居者全体からするとこうした需要は多くないかもしれませんが、アパート経営者も、こうしたシンプルな住まいを自ら求める層があることを知っておいて損はないと思います。そこにターゲットを絞ることで、独自の販路が開けるかもしれません。