入居率アップや空室対策に必要なマーケティング手法とは?

アパートや賃貸マンションの繁忙期は、大きく分けて年2回ほどあります。学生の入学時期や新社会人のスタートである春と、サラリーマンに多い異動の秋。春は単身向けのワンルームが人気で、秋はファミリー向けの広めの部屋に問い合わせが集中します。
そして、賃貸物件のオーナーともなれば、こうした市場へ的確にアプローチし、入居者を増やすためのマーケティング活動が必要となります。
今回は、今あることからできる身近なマーケティング手法について説明します。

身近な業界との比較

「マーケティング」というと難しく聞こえるかもしれません。その目的をわかりやすく説明すれば、アパートの入居率を高めること、あるいは空室をできるだけ減らすことです。「顧客ニーズを把握し、そのための施策を行い、問い合わせが成約につながるようにする」と言い換えることもできます。
身近な別の業界を参考に考えてみます。それは「学習塾」業界です。少子化のあおりを受けてマーケティングもさぞや最先端かと思いますが、いまだに口コミとチラシで入塾勧誘に成功している業界です。総務省「経済センサス」の事業所産業小分類統計によると、学習塾の数は、1991年は4万5,856でしたが、2014年では5万5,037に増えています。子ども1人当たりの学習塾数も増えています。
これは、塾側が受験対象の塾から英語対策の塾まで教える分野を広げていることと、また塾の形態そのものも個別塾から集団塾、あるいはグループ対象など、さまざまなニーズに対応して生き残りを図っていることが理由の一つです。
しかも、塾に通う子どもたちは、自宅から半径500メートル以内が基本です。有名受験塾のように電車で通う場合もありますが、あくまで地域に根ざした「塾」としては、この範囲内の顧客との接点を深め、ニーズを総ざらいするためにチラシが有効なのです。
そしてチラシの第一の目的は、ほとんどの場合は親から問い合わせを受けることです。この時の電話対応は、アパート経営の空室問い合わせと比較にならないほど神経を使います。この対応次第で入塾するかどうかが半ば決まるためで、塾の見学やその後の面談は迷っている親の背中を押すだけ、と言い切る塾オーナーもいます。

問い合わせへの対応を丁寧に、適切に行う

アパート経営ではさすがに、入居者募集のチラシをまくことはありません。しかし問い合わせに対して、管理会社がどう対応するかは、入居率のアップにつながる重要な点です。オーナーとして常にチェックするべき項目で、前述の塾業界のように問い合わせが来ること自体が最大のチャンスと受け止めて対応するべきなのです。

ヒアリング項目の確認は重要

また、管理会社には決まったヒアリング項目があるのか確認しましょう。初めての問い合わせなのか、何がきっかけなのか(転勤、通学など)、問い合わせ内容(立地、駅からの距離、家賃、設備など)は何なのか。こうした聞き取りがしっかりできているかどうかで、管理会社としての対応力が判断できます。
特にうっかり見逃すものに、問い合わせが男性なのか、女性なのかということがあります。ある不動産会社では、内見の80%が女性主導で決まるといいます。学生ならば母親です。男性でも交際している女性や友人といった具合です。

ネットでのアプローチは十分か確認する

所有物件への入居希望者の大半が単身の社会人であるならば、そのニーズを捉え提供することが求められます。その場合の最適アプローチ手法は、言うまでもなくインターネットです。インターネットで物件を探す人に対して、提供している画像や物件情報は適切でしょうか。これも一つのマーケティングでしょう。中にはインターネットの物件検索サイトなどを閲覧し、内見ゼロでも決めるという人さえいます。
ある調査では、ネットの賃貸物件情報をユーザーが見た時の「写真・動画を見て良かったと思う部分」のベスト3は、「風呂」「トイレ」「キッチン」だったそうです。こうした設備の詳細が分かる写真を掲載しておくのはマーケティングとして当然のこと。設備の古さや状態が写真や動画で一目瞭然ですから、入念にチェックしておきましょう。
マーケティング手法と一口に言っても、「販売活動全般」として捉えれば、やるべきこと、やれることはいくらでもあります。その中から今回は、見込み客とオーナーとの最初の接点「問い合わせ」「ネット検索」における留意点に触れました。
管理会社と協力しながら、難しいアプローチではなく、身近でできることを着実に実践してきたいものです。