もう「目利き」は不要? AIとビッグデータによる不動産分析とは

従来、不動産サービスは他の業界に比べてデジタル化が遅れていると言われてきました。
しかし、2014年頃、金融とITサービスを組み合わせた「FinTech(フィンテック)」が話題になったことから、不動産業界でも不動産とITサービスを組み合わせた「不動産テック」と呼ばれるサービスが続々と登場しています。中でも、物件データを活用した投資分析ができるサービスが話題となっています。
今回は、今後の不動産サービスにおいてますます活躍が期待される、人工知能やビッグデータなどのテクノロジーを駆使した「不動産分析サービス」について解説します。

業者・顧客の情報格差をなくし、効率的な物件選びを可能に

不動産業界では、業者と顧客の間の情報格差が大きいことから、「情報の非対称性」が以前から指摘されてきました。顧客に知識が少ないのを良いことに、顧客のためではなく業者にとって都合の良い契約を結ばせる、「タチの悪い」不動産会社も散見され、顧客があらゆる情報を比較し、自分で判断して選ぶことが難しいという状況にありました。
また、不動産投資では物件を選定する際に、「この物件に投資することで、将来どれくらい収益が得られそうか」という「目利き」が欠かせません。収益性の高い物件を選ぶには、築年数や立地条件、利回りなどはもちろんのこと、設備や間取り、周辺環境なども調べた上で比較・検討する必要があります。
しかし、不動産投資に慣れていない初心者は、その判断を誤る可能性も少なくありません。物件のチェックポイントを把握できていないがために、自分では好条件の物件を選んだはずなのに、いざスタートすると思うような入居率を得られないなど、失敗してしまうリスクもあります。
信頼性の高い不動産分析サービスを活用することにより、業者と個人の情報格差は少なくなり、収益性の高い物件を探しやすくなるでしょう。また、すべての物件を実際に見に行かなくても比較ができるため、より効率的に投資物件を選ぶことができるようになるでしょう。

独自の機能で、より正確な情報から投資をシミュレート

2015年7月にイタンジ株式会社からリリースされた「VALUE」(https://value.heyazine.com/)は、不動産市場に流通するすべての物件の中から、価値が高い物件を人工知能で独自に分析し、登録しているユーザーにメールで自動配信されます。
収支表なども人工知能が予測して作成してくれるため、物件選びの参考になります。こちらのサービスは個人を対象にしており、現在の対象エリアは東京都のみですが、エリア拡大を予定しています。
また、2016年6月にリーウェイズ株式会社からリリースされた不動産取引プラットフォーム「Gate.」(https://gate.estate/)では、同社が独自に収集した約4,000万件にも及ぶ不動産データを、人工知能に学ばせて、「物件が将来どれくらいの収益を得られる価値があるのか」を予測します。
表面利回りだけでなく、投資額に対する利回りを算出できるのも特徴です。膨大なデータをもとに分析することから情報の精度も高く、長期的な視点から見て収益が得やすい物件を探すことができます。
「Gate.」のサービスは、不動産投資を行う個人はもちろん、仲介・管理などを行う不動産業者もすべて無料で利用できます。個人のみならず業界全体で利用できる不動産テックのサービス提供は、画期的と言えます。

不動産分析サービスの今後

このような不動産分析のサービスが登場することで、「従来の不動産業者の存在意義がなくなってしまうのではないか」と危惧する関係者もいます。確かに、不動産テックのサービスを提供する企業は増加していますが、だからといって、今すぐに従来の不動産取引の慣習がなくなるとは考えにくいでしょう。
理由としては、不動産テックのサービス自体が近年登場したこともあって、まだ世間一般には浸透していないことや、不動産テックのサービスを使いこなし、分析データを収集・比較できる不動産投資家があまり多くないことなどが挙げられます。
ITを使いこなせる不動産投資家と、そうではない投資家の間で、得られる情報量に差が出てしまう可能性もあります。
しかし、不動産分析サービスの登場により、今後、投資家が情報の取捨選択をできるようになったり、不動産業界の情報の透明性が向上したりすることは間違いないでしょう。

まとめ

AIやビッグデータを活用して不動産分析を行う不動産テックについて紹介しました。
不動産テックは、今後も不動産業界全体に幅広く普及されていくことが予想されます。また、今回のような不動産分析においても、物件購入・売却はもちろんのこと、住宅ローンのシミュレーションなど、さらに幅広い分野で精度の高い分析が可能になるでしょう。
ITに日頃から慣れ親しんでいる若者にとって、不動産投資がより身近なものになってきていると言えそうです。
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