賃貸物件の立地の「将来性」は何によって決まるのか?

賃貸マンション・アパートなどの収益不動産の将来性は、住宅用不動産で言う将来性とは若干異なります。それは「収益性」という観点に重きが置かれるからです。
住宅の場合、土地部分は価値を維持しても、建物部分の価値は大きく失われていくため、資産としての将来性は悪化の一途をたどります。これに対して、収益不動産の場合は、家賃収入がある限り、築年数とは関係なく一定の資産価値を維持することができます。
言い換えると、アパート・マンションなどの収益不動産を検討する場合は「将来にわたる収益性」を判断することが重要なポイントになってきます。ここでは、将来の収益性をはかる上で大切な立地に関するポイントを説明します。

収益不動産の将来性=入居希望者の将来推移

今、賃貸マンション・アパートなどの収益性はもっぱら家賃収入(インカムゲイン)で計られます。8年ぶりに路線価が上昇したとの報道もあるものの、それは大都市部の商業地などが底上げしたものであり、地価上昇による売却益(キャピタルゲイン)が見込まれる賃貸物件は、ごく稀であることに変わりはありません。
そして、賃貸住宅の収益性は、家賃と入居率で決まってくることになります。つまり、将来にわたって入居希望者が多く、現在の家賃水準を維持しつつ、満室状態を維持できる物件が、将来性の高い収益不動産と言えるのです。

将来の安定を期待できる「立地」とは

では、どのような立地が、将来にわたって豊富な入居希望者を期待できるのでしょうか?

・ 人口増加エリア

まず、人口が増加傾向にあるエリアであることが大前提です。同じ東京でも、増加しているエリアもあれば、逆に深刻な人口減少に悩むエリアもあります。また、もともと人口が多かったエリアには賃貸マンションやアパートも多いため、それが減少に転じると競争が一気に激しくなり、家賃低下や空室に悩む危険性があります。

・ 若者の多いエリア

賃貸住宅の入居者は多くが10~30代の比較的若い世代です。従って、この世代の人口構成が厚いエリアは旺盛な賃貸需要が期待されます。逆に、40代以上の人口が多いエリアは、将来的に空き家が発生し、それが空き家対策として賃貸住宅に転用される可能性も高く、需要を供給が上回る事態も懸念されます。
すでに税金対策として需要を無視した賃貸住宅が多数建設され、深刻な空室率に悩むエリアも発生しています。このような物件は、当のオーナーだけでなく、エリア一帯のオーナーまで経営危機に巻き込みます。需要を見極めた上で、新築アパート・マンションの建設は行わなければなりません。

・ 駅近物件

大学やショッピングセンターなど若者層を呼び込む大型施設のあるエリアは、賃貸需要が旺盛です。しかし、そうした施設が移転したり、閉鎖されたりといった将来リスクは必ずあります。20年先、30年先までの長期間経営を考えると、大型施設だけでは必ずしも安泰とは言えません。
そう考えると、移転の可能性が非常に低い「駅」に近い場所が狙い目です。もちろん、駅といっても多くの若者が利用する駅であることは大原則です。

手堅い物件を目指す事が重要

成熟社会となった日本では、もはや、みんなが貧しかった戦後から高度成長期にたどった「一億総○○」という社会現象は起きにくくなっています。価値観やライフスタイル、働き方は今後さらに多様化していくでしょう。それと同様に、住まい方もさまざまに変化していくことが予想されます。
例えば、在宅ワークやノマドワークが広がれば、日本中、あるいは世界のどこに住むのも自由になるかもしれません。あるいは、中核都市への人口集中とコンパクトシティ化が進み、日本中の都市の再編が進む可能性もあります。さらには、少子高齢化の加速、外国人の流入といった変化が、賃貸住宅には追い風になるのか逆風になるのか、現段階では判断できません。
収益不動産の将来性を正確に見通すことは、大変難しい時代になっているのです。このような不透明な時代に入った今、不動産投資を考える際には、「無理をせず手堅い物件を押さえる」ことが、ますます重要となってきます。再開発や新しい交通網敷設だけを頼りに先行投資するのではなく、将来変化に影響されにくい物件を探すのです。
収益不動産の「将来性」を立地という面から見ていきました。
人口減少社会に突入した日本では、地価上昇によるキャピタルゲインは見込みにくく、そのため収益不動産は収益性でのみ将来性が計られます。家賃水準と入居率の将来推移が、将来性のバロメーターになるでしょう。
どんなに時代や環境が変わろうとも、安定した賃貸需要が見込める立地というものはあります。またそうした立地にある物件こそ、将来性の高い資産になると考えられるのです。