「空き家バンク」全国版、国交省がHP開設で空き家活用に光!

総務省の調査によれば、2013年時点で日本全国にある空き家の数は約820万戸となっています。これはすべての住宅の約13.5%で過去最高です。20年前と比較すると、約1.8倍も増加したことになります。
この状況を改善すべく、国土交通省は空き家バンク情報の全国版ホームページを開設する方針を明らかにしました。
今回は日本の空き家の現状と、空き家対策の一つである「空き家バンク」全国版について解説します。

約70%の所有者は「何もしていない」

価値総合研究所が2013年に行った「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、個人用住宅の空き家を所有する人で、空き家対策を「特に何もしていない」と答えた人は、全体の約70%にのぼりました。
その理由として最も多かったのが「空き家が遠方にあり、自分で管理できないから」で40.4%でした。次に多かったのが「しばらく住む予定がなく、管理する必要性を感じないから」で40%となっています。
親などが亡くなった後に田舎の実家を相続したものの、仕事や家族の都合で都心に暮らしているため管理ができないという人が少なくありません。特に近年は都心への人口流入が進んでいることから、地方の空き家を管理するのが難しくなっています。
また、相続した人が高齢化し、体力的な理由などから空き家管理が難しいという背景もあります。2015年の国勢調査の結果によれば、日本の65歳以上の人口は27.3%と、日本で暮らす人の4分の1以上が高齢者となっています。
このような事情から、正しく管理されずに放置されている空き家が、全国にたくさんあるのです。
国内における世帯数の減少も、空き家増加に拍車をかけています。日本は戦後しばらく世帯数に対して住宅の供給数が少ない状況が続いていましたが、1968年頃から、住宅の数が世帯数を上回るようになりました。今後、さらに人口・世帯数の減少は続くでしょう。そのままにしておけば、空き家はさらに増えてしまいます。
また、固定資産税の問題もあります。所有する土地に家屋が建っている場合、何もない場合に比べて、支払う固定資産税が少額になります。空き屋を取り壊すことで税金が増えるのを避けるため、やむを得ず、そのままにしている所有者もいるようです。

国の特措法により、市町村は空き家対策をとりやすく

空き家が適切に管理されず放置されたままになっていると、さまざまな問題が出てきます。敷地の草木が伸び放題になったり、ゴミを捨てられてしまうなど景観を悪化させたり、勝手に見知らぬ人が住みついてしまったり、放火の恐れや老朽化による家屋倒壊などの心配もあります。
このような状況を受けて、2015年5月、「空き家対策特別措置法」が施行されました。この法令は、市町村が空き家の活用や施策などを推進しやすくするため、基本方針を策定したものです。
これにより、倒壊などの恐れがある空き家は、市町村が所有者に改善勧告などを行うことができ、対応しない場合には強制撤去することができます。また、改善勧告を受けた所有者に対して土地の固定資産税を増額するなどの措置があります。

「空き家バンク」全国版により、全国の空き家・空き地を探しやすくなる

このような状況にある一方で、上述の価値総合研究所のアンケートによれば、空き家対策をしていない所有者の47.6%が、空き家を「賃貸してみたい」「賃貸を考えてもよい」と回答しています。当たり前のことですが、「何とかしなければ」と考えている所有者は半数近くいるのです。
こうした空き家の活用のため、数年前から地方自治体で「空き家バンク」の運営が行われています。これは、市町村のホームページなどで空き家や空き地を紹介し、購入・賃貸を希望する人に仲介するという制度です。しかし、市町村ごとに運営しているため、物件が検索しにくい、利用者が少ないなどの問題がありました。
そうした問題を解消するために、国交省は全国の空き家・空き地情報を集約し、利用者が情報を検索できるホームページを開設する方針を打ち出しています。
これにより、所有者は空き家や空き地を売買・賃貸できる可能性が広がり、利用者は、限られた地域だけでなく全国の空き家・空き地を検索できるなど、双方にとってメリットがあります。民間の不動産業者との連携も予定されており、仲介業者が間に入ることでトラブルを防ぎ、手続きなどの軽減が期待できます。
空き家バンクの全国版ホームページ開設は、所有者が管理に困っていた空き家の買い手・借り手が見つかりやすくなるだけでなく、不動産投資を行うオーナーにもメリットがあるといえます。
空き家バンクだけに掲載されている全国の「掘り出し物」の住宅を、安い価格で購入してリフォームし、賃貸物件として収益を得ることがしやすくなるでしょう。また、リフォーム費用はかかるものの、アイデア次第では空き家を高利回り物件に変身させることも可能でしょう。
不動産投資家が空き家を活用するチャンスを大きく広げるかもしれない空き家バンクに期待したいところです。