住宅ローン金利が数ヵ月ぶりに上昇! 今後の不動産投資の見通しは

構造的なデフレが続く現在の日本。国内製造型でなく海外生産型の産業構造に転換し、「モノを買いたい」という気持ちが乏しくなってしまった社会。少子高齢化に伴う人口減少がインフレを阻んでいます。
日銀は2012年12月の安倍内閣発足以来、消費者物価指数を2%まで上げようと国債を自ら購入し続けてきました。2016年1月にはマイナス金利を導入、思わしい成果が見えない中で最近注目されたのが、不動産指標の一つでもある住宅ローン金利の上昇でした。

物価2%誘導の結果は…

物価指数を2%まで上げようという政策は、結局うまくいかなかったといえます。2016年9月20〜21日に日銀が開いた金融政策決定会合で、新しい政策の枠組みとして現状マイナス0.1%程度の短期金利と、長期金利(10年もの国債)を0%程度に誘導するという金利誘導策を決めました。
年間80兆円という規模の国債購入には言及しませんでしたが、後になって10月の購入額を減らすと発表。今後減らす可能性はありますが、具体策は明らかにしていません。
「長期金利操作付き量的・質的金融緩和」と名付け、資金供給量(マネタリーベース)誘導から金利誘導への路線転換を打ち出しました。その説明にさまざまな言葉をちりばめたことで、株式市場は数日間混乱、上げ下げが交錯する局面もありました。
黒田東彦日銀総裁の任期切れまで残り1年半。もはや日銀が大胆な政策を発動することはできないだろうとの見方が強まっています。

住宅ローンは長期金利に連動する

住宅ローンには、変動型、固定型(固定期間選択型を含む)の2つの金利タイプがあります。半年ごとに金利が変わる変動型の金利は、短期金利に連動しています。一方、「フラット35」に代表される固定型の金利は、長期金利をもとに決まります。
「日銀は、短期金利は調整できるが、長期金利は資金調達市場で決まるものであるため、日銀による誘導は難しい」というのがこれまでの定説でした。しかし、日銀が既に国債の多くを買っており、その長期国債購入によって長期金利をある程度操作できるようになっています。
金融政策によって、短期金利、長期金利、マネタリーベースを整合的に誘導するのは不可能に近いのですが、国債「買い占め」によって固定型金利も日銀の政策から影響を受けやすくなっているわけです。9月の政策会合以降、その長期金利はいったんマイナス0.09%まで下がり、10月に入ってからはマイナス0.08〜マイナス0.06%になっています。

住宅ローン金利は、今後もさほど上がらないと見る向きが一般的

住宅ローンの固定金利に影響を与える長期金利について、日銀は9月の金融政策決定会合で「10年物国債金利(代表的な長期金利の指標)がおおむねゼロ%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行う」としているほかは、目標が明らかにされていません。エコノミストの間では「今後も超長期国債の利回りの天井は低い」との見方が強いのです。
加えて、金融機関同士の融資客獲得が激化していることもあって、低金利競争が続いています。固定金利が変動金利を下回る「固変逆転現象」も起きています。住宅ローン金利は、今後もさほど上がらないと見る向きが一般的です。

不動産投資ローンについて

不動産投資ローンの返済原資は、住宅ローンは毎月の給料、不動産投資ローンは不動産から得られる家賃収入です。後者は毎月安定した家賃収入が見込めるかどうかがポイントで、金融機関は不動産の収益力と担保力を重視します。
不動産投資ローンを借りて不動産収益事業に投資する人は、スケールメリットを求めたりレバレッジ効果を狙ったりするわけですが、その一方で今後ローン金利が上昇するのであれば、早めに借りて投資するか、先々の投資を慎重に考える必要があります。
不動産投資ローンの金利は、1〜4%台と金融機関によってさまざまですが、住宅ローンよりは高めに設定されています。
基本的には、その金融機関の調達金利に一定の利益を上乗せして設定されますから、市場金利の影響を受けるのです。その市場金利が落ち着いているため、不動産投資ローン金利も急上昇することは考えにくいでしょう。
9月に上昇の動きは見られたものの、住宅ローン・不動産投資ローンとも、今後急に金利が上昇することはないとみられています。一方、マイナス金利導入以降住宅投資は活発で、1〜6月の貸家新規着工件数は20万戸弱と約9%増えています。それにはさまざまな要因が考えられますが、ローン金利の低下が無関係でないことは明らかです。
今後も市況を慎重に見ながら、収益不動産を注意深く探す必要があります。