賃貸不動産経営管理士は2017年が取り得?!

2016年9月1日、国土交通省の賃貸住宅管理業者登録制度改正により、賃貸住宅管理業者登録制度に登録をしている業者に、「賃貸不動産経営管理士」(もしくは管理事務に関し6年以上の実務経験者)の設置義務、また賃貸不動産経営管理士による重要事項の説明義務などが追加されました。
敷金返還などトラブルの増加を受けて、2011年に国土交通省が賃貸人と賃借人の利益保護を図る目的で施行した「賃貸住宅管理業者登録制度」をさらに強化するものです。
日本の住宅戸数の4分の1以上を占める賃貸住宅は、借り手にとって大切な住宅であるとともに、アパート経営者など貸し手にとっても重要な資産です。今回は、賃貸管理などの適正化、健全化に寄与する資格「賃貸不動産経営管理士」に注目します。

国土交通省の「賃貸住宅管理業者登録制度」

総務省統計局2008年度資料によれば、当時の民間賃貸住宅は約1,770万戸、そのうち8割強は個人所有で、さらにその8割は管理会社に委託、つまり日本全体の6割以上の民間賃貸住宅を、管理会社が一部もしくは全体を運営していました。
そして一部の悪質な管理会社の存在による敷金トラブル、更新料、家賃滞納者に対する強引な取り立てについて、数多く国民生活センターに寄せられるようになりました。
また、賃貸住宅管理について全国で統一されたルールもなく、管理会社の対応の差も借り手に混乱を招き、ひいては不動産賃貸管理業全体の信用も問われることになりました。
そこで2011年12月、管理業者の業務内容にルールを義務付けることで、賃貸住宅のトラブルを防ぐための制度「賃貸住宅管理業登録制度」が誕生しました。登録者には、管理委託契約時や賃貸借契約更新時、および終了時などに説明や書面交付を行うなどのルールが課せられました。
このような管理業務のルールは借主と貸主双方の利益を保護します。この普及により賃貸アパート・マンションの管理が適切に行われるようになると、安心して住める賃貸住宅が増えるほか、登録事業者・管理業者の公表情報は物件選択の判断材料となります。

賃貸住宅管理業者登録制度の9月改正ポイント

さらなる適正な管理業務の普及に向けて、2016年に行われた賃貸住宅管理業者登録制度に係る検討委員会のとりまとめ結果が公開されました。この結果を受けた改正では、賃貸住宅管理業者登録制度に登録をしている業者は、一定の業務を賃貸不動産経営管理士等に担わせるルールが追加されました。
一定の業務とは、以下の3つです。
1. 賃貸住宅管理に関する重要事項説明および重要事項説明書の記名・押印
2. 賃貸住宅の管理受託契約書の記名・押印
3. 事務所における資格者の設置義務

なお、賃貸不動産経営管理士等とは賃貸不動産経営管理士、もしくは管理事務に関し6年以上の実務経験者です。

注目される賃貸不動産経営管理士

賃貸不動産経営管理士は、全宅連、(公財)日本賃貸住宅管理協会、(公社)全日本不動産協会の3団体で構成する「一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会」が実施する業界統一資格制度です。
2007年に賃貸不動産経営管理士資格制度として創設後、これまでに約3万人の賃貸不動産経営管理士が輩出されました。ホームページでは、都道府県・登録年度などによる登録者の検索が可能です。
賃貸不動産経営管理士は、賃貸不動産管理のスペシャリストです。貸主と賃貸不動産の管理業務を受託する契約から始まり、入居者の募集や契約業務により希望者を入居させ、入居中の建物の維持管理や不具合の対応、契約終了時の原状回復工事などさまざまな業務を担える知識を問われます。
試験は毎年11月に、全国11都市で開催されます。問題数は40問ですが、2日間の賃貸不動産経営管理士講習を受講すると4問が免除されます。合格すれば、賃貸不動産経営管理士として登録が可能です。
誰でも受験は可能ですが、登録するためには宅地建物取引士、または協議会が認める賃貸不動産関連業務2年以上の経験が求められます。気になる合格率は2013年85.8%、2014年76.9%と取得しやすい状況でしたが、2015年は54.6%と大幅に下がりました。

まとめ

今回は賃貸不動産経営管理士の資格について紹介しました。9月の制度改訂により、宅地建物取引士とある意味類似した重要な役割が付与されたことで、管理士の国家資格化への風も強まったとされ、今後の賃貸住宅業界の適正化を担う専門家として注目されています。
自主管理をする大家さんはもちろん、管理会社に委託する大家さんにも役立つ資格の一つになるかもしれません。資格としての人気が高まれば、試験が厳しくなるかもしれません。そうなる前に取得することを検討してみてはいかがでしょうか。