都心回帰、再び。都心マンションのリノベーションニーズの増加

都心の中古マンションに対するリノベーション需要が増加しています。背景には、再び注目されている都心回帰の動きがあります。余裕のあるシニア層や職住近接を模索する若い世代も加わり、いずれもライフスタイルを重視しているのが特徴です。
今回は、さまざまなリノベーションニーズの事例やその背景について取り上げます。

首都圏の人口増にはライフスタイルの変化も影響

少子高齢化の進行による人口減少に頭を悩ます自治体が多い一方で、首都圏では人口増加が目立ち始めています。特に東京都心では、千代田区、港区、中央区で2004~2014年の10年間で、人口が約3〜4割も増えています。
人口増加の理由として、都心での住宅着工戸数が伸びていることや、2020年の東京オリンピック開催を控えた都心の再開発事業などが挙げられています。
東京駅周辺や渋谷駅周辺、田町〜品川駅間など複数のエリアで大規模な再開発が予定され、オフィスビルも併設されるなど街自体の求心力をこれまで以上に高める結果になっています。
また、共働き世帯の増加というライフスタイルの多様化も関係しています。厚生労働省が発表した2015年版の「国民生活基礎調査の概況」によると、共働き世帯は1,114万世帯と伸び続け、この傾向はしばらく続きそうな勢いです。
通勤時間などはできるだけ短縮し、その分子育てや家族との関係を深める時間を持ちたいという共働き世帯のニーズが、駅直結のタワーマンションや徒歩圏内の大型マンションの人気を高めているようです。住まいの都心回帰や職住近接志向といった動きは、今後ますます加速しそうです。

「都心回帰」の背景にあるリノベーションニーズ

都心回帰の新しい波に伴い、住まいに自分好みのスタイルを模索するリノベーションニーズが高まっています。例えば、山手線東京・山手線内側の準都心エリアには、第一種低層住居専用地域が残っていて、都心にありながら陽の光や緑に囲まれた街に暮らすというイメージを与えてくれます。
そうした雰囲気を求めるシニア世帯が、郊外の戸建て住宅を手放し、アクセスも環境も良い都心のマンションなどに移り住むケースは珍しくありません。
こうしたブームを敏感に受け止めているのが、リノベーション会社です。壁紙の張り替えやキッチンのリフォームなどとは違い、明確なコンセプトを打ち立てての大規模なリノベーションが、ライフスタイルを優先する人から支持を受けています。
さらに最近では、物件探しから住宅ローン、リノベーションに関するサービスまで、ワンストップを売りにして、スムーズな手続きやトータルの費用を抑えることなどをアピールしています。
リノベーションを検討する世帯は、築年数にはこだわらず全面的にリフォームすると世帯と、築年数が新しい中古住宅を一部リフォームするという世帯に分けられます。リノベーション済みの中古マンションを選ぶ選択肢もありますが、いずれにしても「どうせ住み替えるなら、自分たちのスタイルを貫きたい」という、ニーズは共通しているものと見られています。

リノベーションを望むライフスタイル

世帯が求めるライフスタイルに応じたリノベーションの事例を、あるリノベーション会社の実例で見てみましょう。
例えば、「趣味をとことん楽しみたい」という夫婦には、好きなもので囲まれた空間をイメージしてもらうために、まず自宅のテーマカラーを提案するそうです。夫婦の好きなナチュラルカラーでまとめた床材やフロアをベースに、趣味の陶器を飾る壁面収納やエントランス部分のデザインで盛り上がり、交渉も順調に進んだそうです。
ユニークな例としては、「開放的な空間で雑念を払いたい」という夫婦の要望に対して、コンクリート打ちっ放しの壁に、木のアクセントを効かせたシンプルな造りを提案し、瞑想空間として、近所の人も集まる人気の家となったそうです。
子育て世帯の事例では、あるご家庭の「子ども部屋はいらない」「部屋にこもってほしくない」といった切実な問題をリノベーションで解決しました。ご家族がリビングを中心にした暮らしをするため、帰宅すると、必ずリビングを通る導線を作り、家族同士が顔を合わせるようにした間取りを提案。大規模な工事になりましたが、「子どもたちとの会話が増えた」と喜ばれています。
新たな都心回帰の動きと、リノベーションニーズについて見ていきました。都心回帰を目指すきっかけはさまざまです。しかしライフスタイルの多様化と、豊富な選択肢とが鍵となるのは間違いないようです。マンションのあり方も、リノベーションなどをきっかけにまだまだ模索が続くようです。